校長メッセージ

2021年3月の記事一覧

令和2年度3学期終業式校長講話

                         思いやりある人に

皆さん、おはようございます。

 今日で令和2年度が終わります。この1年を振り返ってみると、本当に我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月から約3ヵ月も続いた臨時休業。1年生の皆さんにとっては、入学式に出席して以来、約2ヵ月学校が始まらず、高校生になった自覚や喜びも感じられないまま6月を迎え、突然高校生活が始まったという感覚だったでしょう。高校生としての心の準備もままならなかったと思います。その後の学校生活も我慢と不自由の連続でした。文化祭や体育祭も中止、部活動もかなり制限されました。そして何と言っても修学旅行の中止。2年生の皆さんは、本当に悔しい思いをしたと思います。そんなこれまで当たり前にできていたことができなかった制約と我慢の1年が今日で終わります。学校行事の形も変わりました。放送での始業式や終業式もすっかり定着してしまいました。

 この1年間、校長として始業式、終業式でいろいろ話をしてきました。ちょっと振り返ってみたいと思います。1学期の終業式には「コロナに打ち勝て」という話をしました。コロナのせいにしないで今やるべきことをしっかりやって、将来「コロナのおかげで今の自分がある」と言えるようにしてほしいと話しました。

  2学期の始業式には「ありがとう」という言葉の力、大切さについて話しました。終業式には「高校生らしさ」とは何か、「真面目さと素直さ」ではないかという話をしました。

 そして3学期の始業式では、アフターコロナの世界、エネルギーの大転換を図り脱炭素社会を目指す「グリーン・リカバリー」についてお話ししました。

 そして今日は今年度、最後の校長講話です。とってもシンプルで身近なこと、だけどとても大切なことをお話したいと思います。それは、「思いやりを持つ」ということです。思いやりのある優しい人間になってほしいということです。

 私は思いやりを持って接する対象は3つあると思っています。1つ目は「自分」2つ目は「周りの人」そして3つめは「社会」です。

 まずは自分。自分に対して思いやりを持って接してください。疲れている時、心が苦しい時、辛い時、無理しないでください。思いやりをもって自分の心と体を見つめ、そして対話をしてください。時には心と体を休めてほしいと思います。また何かいやなことがあった時、諦めたり自暴自棄になるのではなく、心を鎮め静かに1度立ち止まってください。そして丁寧に冷静にそのことに対処してほしいと思います。怒りや諦めは決して皆さんの生活を豊かにするものではありません。

 次に周りの人。悩んだり悲しんでいる人がいたら、そっと寄り添ってください。話を聞いてあげてください。一緒に悲しんであげてください。家族の誰かが忙しそうにしていたら何かできることを見つけて手伝ってください。白杖をついて歩いている人を見かけたら勇気を持って声をかけてください。皆さんが思いやりを持って笑顔でいれば周りの人も笑顔になります。そして、周りの人の心が穏やかになれば皆さんの心も穏やかになります。

 そして最後は社会。社会に思いやりを持って行動していますか。ゴミの分別をちゃんとやっていますか?電気や水を無駄に使っていませんか?献血をしたことがありますか?何かボランティア活動はしていますか?若い皆さんには思いやりの心を持てば社会のために今できることがたくさんあります。

 自分に、周りの人に、そして社会に思いやりを持つ。是非、心に留めて実践してください。もう少し続くコロナ禍の世の中には特に大切だと思います。そしてそのことが、みなさんの生活、人生を豊かで楽しいものにしてくれます。思いやりのある優しい人になってください。

 最後に4月はもうすぐです。4月になると2年生は最上級生、1年生は学校の中心的存在である2年生になります。そしていよいよ後輩が入学してきます。新年度の準備をしっかりしてください。今自分ができること、しなければならないことをコツコツと実行してください。もうしばらく我慢の日々が続くと思いますが、正しいやり方で行えば少しずつやれることが増えていくと思います。もし状況が許せば始業式は、体育館にみんなで集まれればと思います。希望を持って新年度を迎えてください。4月8日、元気に登校してください。

 

 

 

第50回卒業証書授与式校長式辞

                                                                                      式  辞

 只今、卒業証書を授与された224名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんにとって、高校生活最後の1年は、我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月からの約3ヶ月にもおよぶ臨時休業。希望をもって締めくくりの1年を迎えようと張り切っていたみなさんにとって、本当に辛いスタートだったと思います。それまで頑張ってきた部活動の集大成である最後の大会やコンクールも多くが中止になりました。また文化祭、体育祭など、仲間との最後の思い出づくりの場も奪われてしまいました。そして、それぞれの進路を決める活動についても少なからず影響があったと思います。もしかしたらコロナ禍の影響で、家庭においても何か辛い思いをした人もいるかもしれません。しかしそうした全ての事を乗り越えて、みなさんは今日の日を迎えることができました。改めて、心からお祝い申し上げます。

 卒業は、人生にとって大きな節目であり、新しい世界へ羽ばたく出発点であります。この輝かしい門出に当たり、私から二つのことをお話したいと思います

 1つ目は「意思決定プロセスへの参加」ということです。この1年コロナ禍の世界において、私たちの心を曇らせたことがあります。それは民主主義への攻撃です。香港では国家安全維持法が施行され、政府に異を唱える議員や活動家が次々と逮捕され、現在も香港の人々から自由や人権が日に日に奪われています。また2月には、ミャンマーでクーデターが発生しました。この10年、目覚ましい経済発展を遂げてきた民主的な政権が再び軍隊に乗っ取られてしまいました。そして1月6日のアメリカ連邦議事堂への乱入事件。世界の民主主義をリードしてきたアメリカ合衆国のまさしく民主主義の象徴である連邦議事堂を破壊し、乱入する暴徒の姿に誰もが目を疑いました。民主主義の脆さを目の当たりにした瞬間でした。このようにこの1年、世界の各地で民主主義が危機に陥りました。 

 では民主主義が脅かされる時、つまり政治や社会が、おかしな方向に進もうとしている時また進んでいると感じた時、みなさんはどうすればいいのか。それこそが「意思決定のプロセスに参加する」ことです。自らの意志を社会に示し、物事を決めるプロセスに参加することです。自分の意見を言葉にし、間違っていることには間違っているとはっきりと伝える。そして正しいと信じることを訴えていく。そうすることで、意思決定のプロセスに参加し、これからの民主的な社会を創り上げていく。それは皆さん一人ひとりの責任なのです。選挙で1票を投じること、つまり選挙権を行使することは勿論ですが、しかしそればかりではありません。平和的なデモに参加する、SNSで意見を発信する、アンケートに答える、会議で発言するなど自分の意志を示す方法はいくらでもあります。是非みなさんには、責任のある大人として民主的な社会の「守り手」になってほしいと切に願っています。

 2つ目は「所商で出会った友人を大切にしてほしい」ということです。コロナ禍はしばらく続くでしょう。しばらくは人との接触を避ける生活、会議や授業はオンラインで行われ、人との繋がりや親睦を深める機会がなかなか持てないでしょう。そうした生活の中で、もしかしたら寂しさや孤独を感じてしまうかもしれません。そんな時、大きな力となるのが、所商で出会った友人です。3年間、共に生活し育んだ友情は、たとえ皆さんがそれぞれ違う道に進むとしても変わることはありません。寂しい時、不安な時、遠慮することなく連絡を取り、お互いを励まし合い、助け合ってほしいと思います。所商で出会った友人は間違いなく、みなさんにとって一生の宝物です。大切にしてください。

 最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間で立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。

皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

 結びに本日、このように第50回卒業証書授与式を保護者の皆様と共に挙行できましたことに感謝すると共に、224名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。

 

   令和3年3月12日

   埼玉県立所沢商業高等学校長

        鈴 木 啓 修