校長メッセージ

2019年4月の記事一覧

4月全校集会校長講話

              渋沢栄一とCSR 

 早いもので新年度が始まって3週間が経ちました。気持ちを新たに学校生活をスタートさせていますか。3年生は先日も言いましたが、進路実現に向けて本気の姿を見せてください。2年生は部活動や学校行事など全ての場面において、中心的な役割を果たさなければなりません。是非51年目の所商を引っ張っていってください。そして新入生諸君はどうですか。所商生活に慣れてきましたか。部活は楽しいですか。特に授業では、初めて学ぶ商業科目に少し戸惑っているかもしれません。しかしそれは新入生全員が同じ条件です。新入生全員がゼロからのスタートです。学び始めの今がとても大切です。しっかりと学んでください。

 さて先日、5年後の2024年から発行される新1万円札に、渋沢栄一の肖像が使われるというニュースがありました。埼玉県の深谷市出身で、日本で初めての商業銀行や東京証券取引所などの創立に尽力した「日本資本主義の父」と呼ばれた人ですから、埼玉県の商業高校で学ぶ皆さんはこの機会に是非、渋沢について学び、誇りに思ってほしいと思います。

 渋沢は明治・大正に活躍したわけですが、当初、大隈重信に説得されて大蔵省に入省しますが、その後退官し実業家になります。大倉喜八郎や浅野総一郎といった当時の非財閥系の実業家と手を組んで、例えばサッポロビール、帝国ホテル、東洋紡、みずほ銀行など、今でも各業界をリードする大企業の創立にかかわりました。彼が生涯でかかわった企業の数は500社とも言われています。

  また同時に彼は、社会貢献活動にも熱心に取組み、日本赤十字社、東京慈恵会などの財団法人や大学の設立に力を入れ、生涯で600の福祉や教育関係の社会事業にかかわりました。

 なぜ彼が社会貢献事業に熱心だったか。それは彼が生涯貫いた理念が、「道徳と経済は両立する」ということだったからです。つまり私利私欲ではなく公の利益を追求する「道徳」と、利益を求める「経済」が事業において両立しなければならない、というもので、これを「道徳経済合一説」と言います。代表的な彼の著書「論語の算盤」の中で書かれています。事業をする上で、常に社会貢献や多くの人の幸せにするといった公益を追求しながら、同時に利益を上げていくという理念です。簡単に言えば、「経済は良い社会のためにある」と言うことです。

 なぜこの話を今皆さんにしているかと言うと、実は渋沢栄一のこの思想は、現代の社会で大変注目されているからです。グローバル資本主義、新自由主義といった過度に利益を追求する現在の市場経済の在り方、そしてその結果、格差が広がる今の資本主義社会に対する懸念から、今この渋沢栄一の理念が見直されています。

 皆さんはCSRという言葉を知っていますか。Cooperate Social Responsibility の略で、日本語にすると「企業の社会的責任」ということです。すなわち企業が倫理的な観点から事業を通じて、自主的に社会に貢献する責任のことです。

 最近では、環境問題などの社会的課題に、それぞれの企業が自社の強みを活かして解決に当たる、そしてそれをビジネスに繋げ、会社が発展するチャンスとして捉る。そんな積極的なCSRの取組みをする企業が増えてきました。また国や銀行、そして投資家も、環境問題などに積極的に取り組む企業に投資するという傾向になってきています。

 渋沢栄一から100年以上が過ぎ、これからの経済社会は、渋沢の掲げた理念を実践していかないといけないと人々は気づき始めたのです。それはそうしないと、もしかして地球そのものが持続しないという危機感からかもしれません。

 商業高校に学ぶ皆さんは、是非、渋沢の理念を学び、CSRという言葉を覚えてほしいと思います。そして今後の進路選択において、大切な視点として持っていてほしいと思います。「良い企業・経済は良い社会のため」という言葉を忘れないでほしいと思います。


第51回入学式式辞

 新緑が芽吹く春、すべての生命が躍動するこのよき日に、PTA会長・坂田大作様、後援会会長・浦島健二様をはじめ、多くのご来賓の皆様方、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第51回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びと深く感謝申し上げます。 

 ただいま入学を許可いたしました235名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、みなさんを心から歓迎いたします。平成の時代から令和という新しい時代が始まろうとしているこの歴史的な年に、みなさんは自らの意志でこの所沢商業高校を選び、本日晴れて入学しました。今日という日はおそらくみなさんにとって、一生忘れることのない1日になると思います。この歴史的な年に、自らの意思で、この所商の門をくぐってきたことを忘れず、充実した高校生活を送れるよう努力してください。 

 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝いと、お喜びを申し上げます。

 さて、新入生のみなさん。いよいよ本日から3年間の高校生活が始まります。

今みなさんにとって大切なことは、新しく始まる高校生活に対して抱いている新鮮な気持ちを、いつまでも忘れずに全てのことに全力で取り組むことです。そのスタートとなる入学式にあたり、私から心掛けてほしいことを3つ申し上げます。

 1つ目は、「大きな夢と高い志を持つ」ということです。この変化が激しく予測のつかない時代を、みずからの力で切り拓き夢をつかみ取るためには、みなさんひとり一人が学力は勿論、新しいことにチャレンジする積極性と豊かな人間性を身に付けなければなりません。自分が将来「こうなりたい」という明確な理想像を持ち、それに向けて資格取得や部活動、また学校行事においても精一杯努力してください。そうすれば、さらにその先の進路においても大きな成果を得られることは、本校の多くの先輩方が証明しています。その原動力が「大きな夢と高い志」です。大きな夢と高い志を持って、本校での3年間精一杯努力してほしいと思います。

 2つ目は、「商業の専門科目はもちろん、普通教科にも全力で取り組む」ということです。みなさんは商業を学ぶために本校に入学しました。しかしこれからのグローバルな経済社会で活躍するためには、その基盤となるビジネスに関する知識や技術を習得すると共に、さまざまな分野の学問についても学び教養を深めることが極めて大切です。高校で学ぶ内容は、これまでに比べ広く深くなりますが、まじめに努力すれば必ず自分の立てた目標に到達すると思います。

絶え間なく変化する社会の中で生きていくためには、商業の専門科目も普通教科もしっかりと学び、高い知性と幅広い教養を身に付けてほしいと思います。

 最後は、「多様な価値観を認める」ということです。グローバル社会、グローバル人材という言葉を聞いて「私には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかしそうではありません。この日本の社会における「内なるグローバル化」は確実に進んでいます。現在我が国には、約264万人の外国人が暮らしています。また埼玉県内の外国人も増え続け、平成30年6月末で17万4千人、県の人口に占める割合は2.4%となり約50人に1人は外国人です。さらにこの4月には、国の法律が変わり、多くの外国人が日本に働きにやってきます。また来年、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックを契機に、世界中からさらに多くの人々が日本にやってきます。みなさんが社会に出るころには、外国人と働き共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ちオープンな心で接し理解しようとする態度を養ってほしいと思います。近い未来、世界中から集まる人々と共に平和で豊かな多文化共生社会を築いていくのはまさにみなさんなのです。以上、「大きな夢と高い志を持つ」「商業科目も普通教科もしっかり勉強する」、「多様な価値観を認める」、この3点について心掛けてほしいと思います。

 最後に、保護者の皆様にお願い申し上げます。学校教育においては、学校・家庭・地域の連携が重要です。特にご家庭の協力なしには教育の成果は期待できません。私たち教職員一同、一丸となって指導にあたる所存ですが、各ご家庭におかれましても、本校の教育方針をよくご理解いただき、健康的な生活習慣や家庭学習について、ご指導いただきますようお願いいたします。

 結びに、元号が令和となる記念の年に、創立五十一年目を迎える伝統校に入学した新入生のみなさんを、心から歓迎すると共に、一人ひとりが充実した高校生活を送ることができますように念願し式辞といたします。


                      平成31年4月8日

                      埼玉県立所沢商業高等学校長

                      鈴 木 啓 修


始業式校長講話

みなさん、おはようございます。まずは、こうして無事に新年度を迎えられたことに感謝したいと思います。みなさん、元気に登校してくれてありがとうございます。

 いよいよ、今日から新年度がスタートします。ここにいる新3年生、新2年生の皆さんは、進級おめでとうございます。今日から気持ちを新たに頑張ってほしいと思います。

 今、「気持ちを新たに」と言いましたが、今年は「気持ちを新たに」するには大変、相応しい年だと思います。新しい元号も「令和」と決まり、5月1日から令和元年が始まります。今の天皇陛下の退位、そして新しい天皇の即位と、この歴史的瞬間をみなさんは目の当たりにできるわけです。是非、目にしっかりと焼き付けてほしいと思います。昭和から平成に元号が変わった30年前は、私は教員になって3年目、25歳の正月でした。あの時は、昭和天皇が崩御されての改元でしたから天皇陛下の葬儀、「大喪の礼」と呼ばれた儀式が行われ、決してお祝いムードではありませんでした。様々なイベントが中止になったり、テレビのお笑い番組が自粛されました。大喪の礼当日は学校も休みになり、テレビでその模様をずっと見ていたのを今でも覚えています。今回はおめでたい雰囲気の中で、退位、即位の儀式があると思います。一生に何回も見られることではない歴史的瞬間ですので、しっかりと見てほしいとと思います。

 その他にも、今年は多くの新しいこと、また何十年に一度というイベントが多くある年です。例えば政治で言えば、今年は、統一地方選挙と参議院選挙が重なる12年に1回の亥年の選挙です。18歳になる3年生諸君は是非、興味を持って積極的に投票に行ってください。10月には消費税が10%に、そして9月にはアジア初のラグビー・ワールドカップが日本で開催されます。そして来年には、56年ぶりの東京でのオリンピック・パラリンピックが開かれます。まさしく一生に1度か2度しか経験できないイベントが目白押しです。本当に楽しみでワクワクしますね。気持ちを新たに迎えたいと思います。

 その中でも私が気になるのは、やはり出入国管理法の改正です。今月1日に施行され、特定技能という新たな在留資格が整備されました。この改正により日本で初めて、高度な専門知識を要する仕事以外の比較的単純な仕事に、外国人が従事できるようになります。これにより、この先5年間で34万5千人の外国人が日本にやってくると政府は見込んでいます。

 私は昨年の1学期始業式でも「日本社会の内なるグローバル化」の話をしました。日本社会に住む外国人はどんどん増えています。現在、我が国には約264万人の外国人が暮らしています。264万人とは京都府の人口とほぼ同じです。また埼玉県内の外国人も増え続けています。平成30年6月末で17万4千人、県の人口に占める割合は2.4%となり約50人に1人は外国人です。この傾向は、先ほどお話しした出入国管理法の改正によりどんどん加速していくでしょう。

 みなさんが社会に出るころには、外国人と働き、共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ってほしいと思います。オープンな心で接し理解しようとする態度を養ってほしいと思います。また、多様性を認める寛容な心は、なにも外国人に対してだけではありません。障害を持つ人、性的マイノリティをはじめ、自分とちょっと価値観、考え方が違う人、そういう全ての人々を寛容な心で理解しようと努力し、共存していくことがこれからの世の中を持続可能ものにしていくために大切なのです。みなさんはもうすでにそのような寛容な心、優しい心を持っていると私は信じています。また、なぜいまこの話を繰り返ししたかというと、それはこの多様性の尊重という話は、大変身近なお話だからです。今日の午後入学式があります。本校にも多様なバックグラウンドを持った新入生が入学してきます。是非、全ての新入生を温かく迎え入れ、共に所商51年目を築いていきましょう。よろしくお願いします。