2019年3月の記事一覧
3学期終業式校長講話
1年を振り返って
まずは、先日の卒業式でのみなさんの態度が素晴らしくよかったと思います。ご協力ありがとうございました。静粛にすべき時は静粛に、歌を唄うときは大きな声で歌ってくれました。大変メリハリがあって「卒業生の門出を祝う」という気持ちがとてもこもっていました。厳粛な中でも温かさを感じるよい卒業式だったと思います。ありがとうございました。
さて、この1年間、校長としてみなさんに始業式、終業式、全校集会などの機会にいろいろな話をしてきました。ちょっと振り返ってみたいと思います。1学期の始業式には、「日本社会の内なるグローバル化」という話をしました。この4月から出入国管理法が変わり、多くの外国人が日本へやってくる。私たちはそうした外国人と仲良くやっていく共生社会を創っていかなければならないと話しました。また今年度は、本校の50周年ということで、先人の情熱と努力に思いを馳せることが大切だと「歴史の重み」についてお話しました。
2学期の始業式では、礼儀正しく、協調性を重んじることがグローバル人材に成長するための第一歩であると話しました。また、弓道で使われる「正射必中」という言葉を紹介し、結果にこだわらず、正しいステップを踏んで努力することの大切さの話もしました。また、SDGsの話をした時には、みなさんが今後、就職する際、企業が社会的責任をどれだけ考えているかを、企業を選ぶときの基準にしてほしいという話もしました。
今日は今年度の最後の校長講話ですので、私が皆さんに今、一番伝えたいことをお話しします。それは、「環境のせいにしない」ということです。人間は自分にとって不都合なことが起きた時、環境のせいにしがちです。成績が悪いと「先生の教え方が悪い、授業の雰囲気が悪い」と言ったり、部活動で試合に負ければ、「顧問が悪い、チームメートが悪い」と思ったり、家庭で問題が起これば、「こんな家に生まれたくなかった」などと思ってしまう。人間は弱いものですから人のせい、環境のせいにしたくなります。私は、昨年の6月の朝礼で「反面教師」の話をしました。その時に自分の高校時代のお話をしました。私が中学生のころまでは、父親は町工場を経営しており、けっこう裕福でした。しかし、私が高校生になるころ倒産してしまい、一気にどん底の生活になってしまったという話です。自分はこのことを、なんとかくじけずに乗り越えることができたわけですが、実はこの時、私が通っていた高校のある信頼する先生が私にこう言ってくれました。「お父さんを恨んでも、環境のせいにしても何も解決はしないよ。お前がしっかりと努力して自分の人生を切り拓いていくんだ。」と。この言葉のおかげで、私は父親を恨むこともありませんでした。家庭のせいにしてなげやりになったりせずにすみました。私は「人のせいにしても、環境のせいにしても何も変わらない。人生は自分自身が切り拓いていくものだ。」と高校生ながらストンと心に落ち、前向きに頑張ろうと決心することができました。今振り返ると貴重な経験をしたなと思っています。だから私は、教員として生徒に一番伝えたいことの一つとして、よくこの話をします。今日は、今年度最後の校長講話ですのでこの話をしました。もう一度言います。「環境のせいにせず、人生は自分の努力で切り拓いていくもの」です。覚えておいてください。
4月はもうすぐです。4月になると2年生は最上級生、1年生は学校の中心的存在の2年生になります。そしていよいよ後輩が入学してきます。新年度の準備をしっかりしてください。不都合なことが起きても、環境のせいにせず、今、自分ができること、しなければならないことをコツコツと実行してください。来年度は元号も変わり、いろいろなことが変化していく新しい時代を迎えます。全てが新しくワクワクする1年にしてほしいと思います。そして51年目を迎える所商を、みんなでしっかりと築いていきましょう。
第48回卒業証書授与式校長式辞
厳しかった寒さも和らぎ、春の息吹きが感じられるこの佳き日に、PTA会長 坂田大作様、後援会会長 浦嶋健二様をはじめ多数のご来賓、保護者の皆様をお迎えし、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第48回卒業証書授与式が挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても、誠に大きな慶びであります。ご臨席をいただきました皆様方に心から厚く御礼申し上げます。
卒業証書を授与された226名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。入学以来、3年間の努力が実を結び、めでたく卒業するみなさんに心からお祝い申し上げます。
みなさんは、3年前、大きな夢を持って本校の門をくぐりました。初めて学ぶ専門科目に、最初は不安で戸惑う人も多かったと思いますが、みなさんは未来の社会を担う有為な職業人を目指して、授業はもちろん、補習や家庭学習に精力的に励み、簿記や情報処理をはじめ、多くの資格を取得しました。そして、学校生活の様々な場面において、目標に向かって努力すれば、おのずと良い結果を得ることができるということを体験し、「自信」という大きな財産を得たことと思います。
日々、悩みながらもやり抜いた部活動。本気になって取り組んだ文化祭や体育祭。また進路で悩んだ時など、いつもそばにいてくれたのは、友や先生でした。みなさんは、この3年間、多くの人に支えられて、ここまで来ることができました。これからもみなさんは、ひとりで生きていくことはできません。多くの人とのかかわりの中で生きていくのです。本校で出会った友や先生を生涯、大切にしてください。きっと卒業後も大きな力になってくれると思います。そして、みなさんの最大の理解者であり、これまでいつくしみ、育んでくれた御家族への感謝の気持ちを決して忘れないでください。
卒業は、みなさんの長い人生における大きな節目であります。思いを新たに、次のステージに進む旅立ちの日であります。この旅たちの日に、はなむけの言葉として、私から2つのことをお願いしたいと思います。
1つ目は、「共感する心を持つ」ということです。これからみなさんは、新しい世界に羽ばたいていきます。新しい環境に身を置き、新しい多くの人々と出会うことになります。自分と全く違った考え方、価値観を持った人と出会うことでしょう。また、異なった文化や習慣、言語や宗教を持った人々とも、共に生きることになるかもしれません。そんな時、「この人は自分と違う」といって、理解しようとすることを諦めたり、排除したりしないでください。理解しようと努力する心、共感する心を養ってください。自分と違った価値観を認め、理解しようとする「共感力」はみなさんの人生を豊かにするだけでなく、これからの日本の社会をも豊かにするからです。
2つ目は、「学ぶ姿勢を生涯持ち続けてほしい」ということです。みなさんは、日々めまぐるしく変化し、予測が困難な時代に生きています。今後、さらに情報化、グローバル化が進み、社会構造そのものが大きく変化していきます。今日の知識が明日には役立たなくなっているかもしれません。常に学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。学ぶ場は、学校だけではありません。就職する人も、これからが新しい学びの始まりだと考えてください。学ぶ意欲を持ち続けることが、有為な社会人となるための第一歩です。社会人としてスタートを切る人、さらに大学や専門学校に進む人、みなさんの進む道はそれぞれですが、それぞれの目標に向かって学び続けてほしいと思います。
最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様方におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間に立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。
結びに本日ご臨席いただきました皆様方に改めて御礼申しあげますと共に、226名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。
平成31年3月13日
埼玉県立所沢商業高等学校長
鈴 木 啓 修