校長メッセージ

2018年7月の記事一覧

1学期終業式講話

                  歴史の重み

 今日で平成30年度1学期が終了します。皆さん、1学期はどうでしたか?満足できる時間を過ごしましたか?目標に向かって努力し、達成感を得ている人もいるでしょうし、そうでない人もいるでしょう。それぞれの成果と課題をしっかり見つめなおし、2学期に向かってください。特に成績で思いどおりにいかなかった人はしっかり反省し、この夏休みを過ごしてください。また、部活動を引退する3年生諸君は、部活動で学んだこと、経験を活かして、これからの進路実現に邁進してください。

 さて、今日は「歴史の重み」についてお話します。今年の夏の甲子園は100回記念大会です。7月7日の埼玉県大会の開会式で、埼玉県高野連の会長、所商の前校長の吉澤先生が「100年の歴史の中で、米騒動や戦争などで中止になったりして時代に翻弄される時もあった。しかし先人の努力で100回大会を迎えることができた。野球ができる幸せと『歴史の重み』を感じてプレーしてほしい。」と話されていました。調べてみると、大正7年には米騒動で中止、昭和17年から20年までは太平洋戦争のため4年間、甲子園は中断されました。確かに時代に翻弄されながらも先人の情熱と努力で、今年100回大会を迎えられたのだと思いました。所商も今年、50周年を迎えます。甲子園と同じように多くの先人、先輩方の情熱と努力で50年を迎えられたのだと思います。諸君も先輩の情熱と努力に感謝し、今この所商で学べる幸せと「歴史の重み」を感じてほしいと思います。また次の50年の歴史を積み上げていく一人ひとりであることを自覚してください。

 

 どんな行事や組織にも歴史があります。当然、国にも歴史があり、この日本という国にも長い歴史があり、私たちはその「重み」を感じなければなりません。諸君はSNSなどで、同時代に生きる人々との「横」のつながりに日々、夢中になっていると思います。もちろん、この同じ時代に生きる世界中の多くの人々と繋がっていくことはいいことです。しかし、私たちには、過去・現在・未来という時の「縦」の繋がりがあるわけです。よく考えてみると、そもそも私たちの命は、過去と繋がっている、つまり両親、祖父母、その両親と過去の人々の命があってこそ、私たちは今、ここに存在しているのです。そんな時間的な「縦」のつながりに思いを馳せることも大切でしょう。夏という季節は、我々日本人にとって、歴史を振り返るのに相応しい季節だと思います。8月6日の広島、9日の長崎への原爆投下、そして8月15日の終戦記念日と、先の太平洋戦争を思い返し、先人の体験した悲劇や苦労に思いをはせ、平和について考えていく機会を与えられる季節です。毎年、夏休み中には、先の戦争の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどが多くテレビなどで流されます。意識して関心をもって見てください。

  

 最後に私が最近読んだ本を一冊、紹介します。藤原ていという人が書いた「流れる星は生きている」という本です。この作品は、藤原ていさんが3人の幼い子をつれて満州から日本に引き揚げてきた時の実体験を綴った小説で、戦後直後ベストセラーになり、映画やドラマにもなりました。当時、満州の気象台の職員だった、ていさんの夫は、のちに作家になった新田次郎であり、3人の幼い子の一人、当時4歳だった次男は、「国家の品格」や「日本人の誇り」などを書いた数学者、藤原正彦さんです。終戦の日から満州を出発し、ソ連が占領した北朝鮮を南下し、38度線を越え、釜山に着き、そこから日本へ逃げ帰ってくる、およそ1年かけての壮絶な体験談です。途中で多くの仲間、一緒に逃げてきた多くの人々が死んでいき、藤原家の人々も何度も死にそうになります。この作品で感じるのは、極限状態にある人間のエゴと優しさが混在する姿。子どもを生かそうとする母親の執念、辛さのあまり自分の子を虐待死させてしまう母親。様々な人間の本性が描かれています。現代の私たちと共通する人間の本性あり、深く考えさせられる作品です。また、兵隊だけでなく、戦争とは関係のない市民が、こうやって戦争を乗り切り、命をつないできたという、まさに「歴史の重み」を感じさせる作品です。図書館に寄贈しますので、是非、読んでみてください。

  

それでは、9月3日に全員、元気な顔を見せてください。