校長メッセージ

第3学期始業式校長講話

                      「グリーン・リカバリー」

新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?充実した時間を過ごすことができましたか?今回は例年とちがった年末年始だった人も多いと思います。またいろいろと我慢をしなければならないこともあったと思います。しかしまずは大きな事故もなく、こうして3学期が迎えられることを大変嬉しく思います。

 新型コロナについては、現状は大変厳しい状況にあります。全国的にも感染者の数は増えていますが、特に私たちが住む1都3県の状況は大変深刻です。医療体制もひっ迫しており、皆さんも知っているとおり、昨日1都3県に対して「緊急事態宣言」が出されました。今回は学校の臨時休業はありませんが、学校生活における感染防止対策について、教育委員会から細かい指示が出ています。のちほど担任の先生や部活の顧問の先生からお話があると思います。指示をしっかり守って生活してください。

 さて、皆さんにとって勿論目の前の状況を正確に把握しつつ、正しい日々の生活を送ることは大切ですが、そればかりにとらわれていると心が疲れてしまいます。皆さんのような若い人々にはもっと先、コロナが収束した後の世界について思いを巡らしてほしいと思います。コロナは必ず収束します。治療の方法も以前に比べてわかってきているしワクチンも開発されました。このワクチンが普及し、多くの人々に行き渡れば、いずれコロナは収束します。コロナウイルスがこの地球上から消え去ることはないでしょう。しかし少なくとも社会が、そして人々が新型コロナをインフルエンザと同じような病気と捉えるようになるでしょう。その時がコロナの収束ということです。

 コロナ後の社会をどう作っていけばいいのか。新型コロナウイルス感染の世界的な拡大という一見マイナスな現象を、どうプラスに変えていけばいいのか。勿論すでに世界で180万人以上の人が亡くなっている現状を見れば、人類史上大変な惨事であることは事実です。しかしアフターコロナを生きていく若い皆さんには、是非「長い視点と広い視野」を持って生きていってほしいと思います。「長い視点と広い視野」を持ってコロナ後の社会をどう作っていけばいいのか考えてほしいのです。その一つのヒントとなるのが、「グリーン・リカバリー」です。

 実はコロナの影響で経済活動がストップしたおかげで、二酸化炭素の排出が削減されました。前の年に比べて17%ぐらい削減されたという報告が昨年の4月に出ています。さらに1年間でみると7%から8%ぐらいの削減になるのではないかと言われています。年間7~8%のCO2の排出削減がどれぐらいすごいかといえば、2009年のリーマンショックの時のピークでも2%も削減しなかった。それと比べると7~8%の削減というのがいかに大きいかが分かります。コロナ禍は環境にとっては大きなプラスの面があったのです。新聞やテレビで「大気汚染が深刻なインドで数十年ぶりにヒマラヤが見えた」とか「イタリアのベネチアで緑色に濁っていた運河の水が透明になった」といったニュースをみなさんも目にしたことがあると思います。

 ではコロナが収束した後どうするのか。コロナが終わったから、とにかく経済を回復させなくちゃいけない。環境を気にしている場合じゃない、とにかく経済を回すのだ!となってしまうのか。それではまずいわけです。せっかく減ったCO2の排出が、リバウンドでもっと増えてしまうということになります。それでは元も子もない。

 そこで重要な考え方が「グリーン・リカバリー」です。時間がないのであまり詳しくはお話できませんが、簡単に言うとアフターコロナの復興において、現在の社会や経済システムを持続可能なものへ変えていく。単にコロナ前の状況に戻るのではなく、より良い復興に向けて経済と環境問題への対策と結び付けるということです。

 また大切なことは、「社会のアップデート」という考え方です。温暖化対策って「がまん」だと思っている人がまだまだ多い。夏の暑い日にエアコンを止めるとか、設定温度を上げて、汗をダラダラ流しながら地球のためだと言っても長続きしません。今回のコロナ禍で学んだことは、「がまん」は長続きしないということです。「社会のアップデート」とは、例えばエネルギーシステムなどの変換です。つまり石油、石炭、天然ガスでエネルギーを作るのをやめて、太陽光とか風力とかで作って、バッテリーなどもうまく活用して社会にエネルギーを供給できるようにする。そういう新しいエネルギー文明に移行すること。また車や飛行機に乗って移動しなくても、遠くにいる人と会議ができる。話をすることができる。それが「社会のアップデート」ということです。もうすでに今回のコロナ禍で、遠くにいる人と会議をすることが当たり前になりました。

 世界はこれから、そういった方向に進んでいくのは確実です。アメリカも政権が変わり「グリーン・リカバリー」に大きく舵を切るでしょう。ヨーロッパは、すでに進んでいます。日本政府もようやく、昨年の10月に2050年までに脱炭素化社会の実現を目指すと宣言しました。脱炭素社会への方向は今後かならず加速していきます。

 それでは、今日からみなさんは何ができるか。高校生の皆さんは大きなことを考えなくてもいい。無駄にエネルギー使わないとかリサイクルをちゃんとするなど、身近にやれる環境に優しいことから始めてください。でも一番大切なことは、今この「グリーン・リカバリー」という言葉を覚えて意識することです。なぜなら若い皆さんが、これからの世の中の方向性をしっかり理解し意識するということは、とても大切だと私は思うからです。そして自分なりにさらに勉強してみてください。これからの社会を担っていく皆さんの高い意識に期待したいと思います。皆さんが社会に出て、働き盛りの20年後、ガソリンで走る車がこの世からなくなっていることに驚かないよう今からしっかり意識して勉強してほしいと思います。

 では、今日から始まる3学期、いろいろな不便や我慢の状況が続くと思いますが、「長い視点と広い視野」を持って、アフターコロナを見据えて日々頑張ってほしいと思います。