校長メッセージ

6月朝礼校長講話

                夢を諦めないで

 
 1学期の中間考査も終わり、先週からまた平常授業の日々が始まりました。部活動も再開し、これから夏にかけてインターハイ予選などが始まります。3年生にとっては、最後の大会です。是非、納得のいくまで頑張って、青春の輝かしい1ページを作ってほしいと思います。そう言えば、女子バレーボール部が先週の地区予選で勝ち、県大会に出場することが決まりました。10年ぶりだそうです。おめでとうございます。是非、県大会でも頑張ってください。他の部活動も後に続いてほしいと思います。

 さて、話は変わりますが、今週から3者面談が始まります。3者面談では3年生は勿論ですが、1、2年生も将来の話、進路についての話が出ると思います。ですから今日は進路についてお話したいと思います。

 幼い頃、小学校の頃などは、たいてい自分というものがよくわからないまま、夢や憧れだけで自分の将来を想像します。最近の小学生の男子の一番人気は、サッカー選手、女の子はパティシエだそうです。皆さんも小学生の頃は、そんな夢を描いていたことでしょう。私の場合、小学生の頃から海外に興味があったので、将来外交官になって、世界を飛び回りたいなどと思っていました。また、中学生になると「NHKに入ってニューヨーク支局の特派員もいいな。」などとぼんやり思っていました。

  しかし高校生になると、かなり現実的になります。自分の実力、性格、家庭の事情などが冷静に見られるようになります。私も高校生になると「自分には一流の国立大学に進学し、外交官試験にパスできる力なんかないのではないか。」「性格的にマスコミに向いていないのではないか。」そんなことを思い始め、かなり現実的な将来を考えるようになりました。結局、好きな英語の勉強を続けたくて大学は英文科に進み、好きな英語を高校生に教えたいと思うようになり高校の英語の教師になりました。この道で行こうと決心したのは大学2年生の頃でした。勿論その決断には、現実的な家庭の事情もありました。前にお話ししたとおり、私の家は父親の会社が倒産し経済的には苦しく、海外への留学や大学院に進学する余裕などありませんでした。大学に入るころになれば、そういった家庭の現実は当然よく理解できました。

 皆さんも、高校生ですから、自分の実力、性格、家庭の事情などを冷静に見て、かなり現実的な自分の将来像を描いているかもしれません。3年生は特にそうかもしれません。しかし今日、私が皆さんに言いたいのは、もう高校生なのだから将来について現実的になり、夢を諦めろということではありません。むしろ、その逆です。もし皆さんに「大好きなものがあり、それを使って仕事をしたい」というものがあれば、簡単に諦めないでほしいということです。チャレンジしてほしいということです。うまくいかないかもしれません。でも状況が許せばチャレンジしてほしいです。例えば、ダンサー、声優、ミュージシャン、デザイナーなど、才能と運に恵まれた一握りの人しか活躍できない世界では、業界の厳しい現実があり挫折することもあるかもしれません。でも長い人生、そういう挫折も決して無駄にはならないと思います。

  4月24日の埼玉新聞にデザイナーを目指して専門学校に進学した、保坂めぐみさんという人の記事があったので紹介したいと思います。保坂さんはデザイナーを目指して専門学校に進みました。専門学校在学中は、コンクールに何度も入賞するような実力があり有望な学生でした。しかし卒業する時期は不況と重なって、デザイナーの求人がほとんどなく、デザイナーとしての就職は断念したそうです。今は建築関係の仕事をしているそうですが、保坂さんはこう振り返っています。

「デザイナーになれなかったのは残念でしたが、目標に向かって本気で勉強した日々は、無駄だったとは思っていません。実習やコンクールの過程をこなす中で、仕事の進め方がうまくなりました。頑張ってもうまくいかないことも多い。そういう時の我慢のしかたや、他人への頼り方も学べました。そんな経験は今の仕事でも自分を支える軸になっています。」

 この保坂さん言葉を是非、覚えておいてください。目標に向かって本気で取り組んだ経験は、たとえ目標が達成されなくても決して無駄にならないということです。勿論、リスクを背負ってチャレンジをするには周りの人々、特に家族の理解と支援が必要です。今日から始まる3者面談は、そんなことを家族の人々や担任の先生とじっくり話し理解してもらう時間にしてください。