校長メッセージ

10月27日(水)朝礼講話

 皆さん、おはようございます。通常の登校になってから概ねひと月が経とうとしています。ここのところ感染者はだいぶ減りましたが、まだまだ感染症防止対策は続けていく必要があります。明日の体育祭や来週の文化祭も限定された状況ですが、何とかできそうですので、引き続き食事や会話などには気を付けて学校生活を送ってください。ここで感染が広がって今後の行事ができなくなることがないよう協力をお願いします。

 さて、今日は、埼玉県の偉人と言われる「渋沢栄一」について話をします。渋沢栄一を知っている人はどれくらいいるでしょうか。2024年4月から1万円札の肖像画になる人です。現在、NHKで渋沢栄一のドラマが放送されていて、埼玉県では渋沢栄一出身の深谷市を中心に盛り上がっているようです。書店に行っても、渋沢栄一に関する様々な本が並んでいます。私は、この4月に本校に着任することが決まってから、商業高校に関係がある人物ということで、渋沢栄一に関する本を2冊ほど読みました。一番有名な「論語と算盤」については現代語訳されたものを読んでみました。それから、別の人がまとめ直したものですが「至誠と努力」という渋沢栄一の講話をまとめたものも読んでみました。2冊とも現在にも通じる考え方がいくつもあるので、どこかで一度読んでみてもいいかもしれません。参考になることがあると思います。「至誠と努力」については、高校生にとっても読みやすい本になっています。本校の図書館にもありますので、参考にしてもらえればと思います。

 その渋沢栄一ですが、彼は、江戸時代の終わりの幕末から昭和の初めころまでの変化の激しい社会を生きた人です。一般的には、それほど有名な人ではなかったかもしれませんが、近代日本の設計者と言われる人なので、日本にとっては非常に重要な人物です。商業高校に通う皆さんにとっては、切っても切れないくらい関係の深い人かもしれません。というのは、今の名前で言うと、みずほ銀行、王子製紙、東京海上火災日動、東京電力、JRなど皆さんが知っている、あるいは聞いたことがある会社の設立に関わっているからです。これらの会社は、皆さんの日常生活にもいろいろと関わりがあると思います。すべて合わせると約480もの会社の設立に関わったそうです。ということで、渋沢栄一は、日本資本主義の父、実業界の父とも言われており、商業高校と関係が深いことも理解できるのではないでしょうか。

 渋沢栄一が偉人と言われるのは、実業界に貢献しただけではないことだと思います。彼は、実業家として活躍するかたわら、600あまりの社会公共事業や福祉・教育の支援などにもかかわったそうです。そして、実業家としての成功は社会のおかげ、その成功者は恩返しとしてその利益の一部を社会に戻すべきだと考えていて、個人で富を独占することを否定し、得た利益を社会に還元しました。

 渋沢栄一が幼いころの話があります。彼が幼いころ、近くに一人で住んでいて、長い間重い病気にかかっている女性がいたそうです。この人を栄一の母親が毎日面倒を看ていたそうです。ほかの人たちは、病気がうつると言って近寄らなかったそうですが、栄一の母親は、ほかの人から嫌味を言われても気にしなかったそうです。このような母親の姿を見て育った栄一は、日本経済の発展だけでなく、社会福祉にも力を尽くし、生活に困窮している人や身寄りのない子供や老人を養うような施設をつくり、その代表となるなど、様々な慈善事業に貢献したということです。

 これほど大きなことはなかなかすぐに真似できるようなことではありませんが、われわれの身近なところを考えてみましょう。私は、今の世の中、人に少し譲ってみる、少し人の立場になって考えてみる、そういう人を思いやる気持ちや少しの余裕なようなものが少なくなってきている気がしています。例えば、横断歩道を渡ろうとして車が止まってくれたときには会釈をして少し速足で渡る、歩道などでお互いがすれ違うときには少し横によけて通る、傘をさしていてすれ違うときには少し傘を傾ける、などのようなことです。小さなことかもしれませんがお互い気持ちがいいのではないでしょうか。最近あったことですが、道端で具合が悪い人を助けてくれた本校の生徒がいました。2件ありました。本校には、こういう素晴らしい生徒がいるので、私は大変うれしい気持ちになりました。誇りに思います。

 というように、いろいろな場面があると思いますが、人に譲る、人を思いやる、人の立場に立って考える、少しでもそういう気持ちをもって普段生活していれば、お互いがより気持ちよく生活できると思います。そういう気持ちを持つ人がたくさんいればその集団は、もっと居心地のいい集団になるはずです。クラスや部活動、学年など学校の中にもいろいろな集団があります。それぞれの集団の居心地を良くするためには、その集団に属する人それぞれがどういう気持ちで過ごしていけばいいのか、皆さんにもぜひ考えてほしいと思います。そういう気持ちが、やがて、社会への貢献につながっていくのではないかと思っています。以上です。