校長メッセージ

2学期始業式校長講話

スポコン?

 おはようございます。まずは、大きな事故もなく、皆さんが元気に今日、登校してくれたことを大変嬉しく思います。

 さて、今日から2学期がスタートします。2学期は、文化祭や体育祭、また2年生諸君の修学旅行など学校行事が盛沢山です。各部活動も、2年生中心の新しい体制で、日々頑張っていると思います。学校の外を見てみると、いよいよアジアで初めて開催されるラグビーワールドカップが9月20日から始まります。その他、現在中国で開催されているバスケットボールのワールドカップをはじめ、様々なスポーツの世界的な大会が開催され、来年の夏の東京オリンピック・パラリンピックに繋がっていきます。この秋から来年の夏までもしかしたら一生で一度しか体験できないようなスポーツのビッグイベントが、つぎつぎと開催されるわけです。

 ところで、皆さんはスポーツに関する法律があるのを知っていますか?それはスポーツ基本法という法律です。スポーツ基本法は平成23年に成立した法律で、それまでの学校教育などを通じてスポーツの普及を目指すスポーツ振興法を全面的に改訂したものです。この法律では、国民生活におけるスポーツの重要性に触れ、スポーツ立国の実現をめざすと謳われています。

 この法律には前文があり、その最初の一行にこの法律のスポーツに対する理念が書かれてあります。それは、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」ということです。そして、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない。」とすべての人にスポーツを楽しむ権利を認めた「スポーツ権」を謳っています。また、「スポーツは、次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼすものである。」とあります。ようするにルールとフェアプレイの精神を守り、勝敗にかかわらず他者を尊重する態度が基本姿勢であるとこの法律は定めています。

 ところで皆さんは「スポ根」という言葉を知っていますか?スポーツに根性の根を合わせた言葉です。精神論を振りかざし、非科学的な過酷な練習をして、不屈の闘志と根性で乗り越えていくことに価値を置く世界です。私が高校生の頃は、まさしくスポ根の時代でした。テレビドラマや漫画の世界もスポ根ものが人気でした。皆さんは知らないと思いますが「アタックナンバーワン」や「巨人の星」「柔道一直線」などがその代表作です。実際、私の経験でも部活動では、練習中は一切、水を飲んではいけない、体調が悪くても部活を休めない、先生、先輩の言うことは絶対服従という世界でした。私は風邪で咳が出ていても部活を休めず、気管支炎になってしまったこともありました。

 しかし今はそういう時代ではありません。8月27日の読売新聞に武藤芳照さんという人の「スポーツ界にも法令順守教育」という投稿がありました。この人はスポーツ・コンプライアンス教育振興機構という組織の代表理事で東京大学の名誉教授です。武藤さんによると、今の「スポコン」とは「スポーツ・コンプライアンス」のことであると言っていました。社会規範にのっとり公正にルールを守り物事を行うことを意味するコンプライアンス、すなわち法令順守の精神が大切であるということです。体罰やしごき、非科学的で理不尽な決まり事などはこれからのスポーツから排除しなければならないと武藤さんは強く主張しています。

 皆さんはこれからの長い人生、スポーツとおして心と体の健康を維持し長生きしていく時代に生きています。今日、お話しした、「スポーツ基本法」の理念を頭に入れてスポーツを楽しんでください。もちろん、自己の技術の向上や心身の成長のためには限界を乗り越えなければいけない時、スポーツ基本法の前文にある「克己心」、すなわち自分自身の欲望や甘えに打ち勝つ精神を養うことも必要であると思います。しかしそれは、あくまでも「自発性の下」であり自分自身が努力し成長しようとする意志を持つことが大切です。このことは、スポーツに限らず、あらゆる場面で必要な姿勢であると私は思います。 

 今日から2学期が始まります。勉強、部活動、学校行事などあらゆる場面で、他者を尊重し、他者と協同し、公正さと規律を尊ぶ態度や、自分の甘えに打ち勝つ精神を培ってほしいと思います。