校長メッセージ

第50回卒業証書授与式校長式辞

                                                                                      式  辞

 只今、卒業証書を授与された224名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんにとって、高校生活最後の1年は、我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月からの約3ヶ月にもおよぶ臨時休業。希望をもって締めくくりの1年を迎えようと張り切っていたみなさんにとって、本当に辛いスタートだったと思います。それまで頑張ってきた部活動の集大成である最後の大会やコンクールも多くが中止になりました。また文化祭、体育祭など、仲間との最後の思い出づくりの場も奪われてしまいました。そして、それぞれの進路を決める活動についても少なからず影響があったと思います。もしかしたらコロナ禍の影響で、家庭においても何か辛い思いをした人もいるかもしれません。しかしそうした全ての事を乗り越えて、みなさんは今日の日を迎えることができました。改めて、心からお祝い申し上げます。

 卒業は、人生にとって大きな節目であり、新しい世界へ羽ばたく出発点であります。この輝かしい門出に当たり、私から二つのことをお話したいと思います

 1つ目は「意思決定プロセスへの参加」ということです。この1年コロナ禍の世界において、私たちの心を曇らせたことがあります。それは民主主義への攻撃です。香港では国家安全維持法が施行され、政府に異を唱える議員や活動家が次々と逮捕され、現在も香港の人々から自由や人権が日に日に奪われています。また2月には、ミャンマーでクーデターが発生しました。この10年、目覚ましい経済発展を遂げてきた民主的な政権が再び軍隊に乗っ取られてしまいました。そして1月6日のアメリカ連邦議事堂への乱入事件。世界の民主主義をリードしてきたアメリカ合衆国のまさしく民主主義の象徴である連邦議事堂を破壊し、乱入する暴徒の姿に誰もが目を疑いました。民主主義の脆さを目の当たりにした瞬間でした。このようにこの1年、世界の各地で民主主義が危機に陥りました。 

 では民主主義が脅かされる時、つまり政治や社会が、おかしな方向に進もうとしている時また進んでいると感じた時、みなさんはどうすればいいのか。それこそが「意思決定のプロセスに参加する」ことです。自らの意志を社会に示し、物事を決めるプロセスに参加することです。自分の意見を言葉にし、間違っていることには間違っているとはっきりと伝える。そして正しいと信じることを訴えていく。そうすることで、意思決定のプロセスに参加し、これからの民主的な社会を創り上げていく。それは皆さん一人ひとりの責任なのです。選挙で1票を投じること、つまり選挙権を行使することは勿論ですが、しかしそればかりではありません。平和的なデモに参加する、SNSで意見を発信する、アンケートに答える、会議で発言するなど自分の意志を示す方法はいくらでもあります。是非みなさんには、責任のある大人として民主的な社会の「守り手」になってほしいと切に願っています。

 2つ目は「所商で出会った友人を大切にしてほしい」ということです。コロナ禍はしばらく続くでしょう。しばらくは人との接触を避ける生活、会議や授業はオンラインで行われ、人との繋がりや親睦を深める機会がなかなか持てないでしょう。そうした生活の中で、もしかしたら寂しさや孤独を感じてしまうかもしれません。そんな時、大きな力となるのが、所商で出会った友人です。3年間、共に生活し育んだ友情は、たとえ皆さんがそれぞれ違う道に進むとしても変わることはありません。寂しい時、不安な時、遠慮することなく連絡を取り、お互いを励まし合い、助け合ってほしいと思います。所商で出会った友人は間違いなく、みなさんにとって一生の宝物です。大切にしてください。

 最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間で立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。

皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

 結びに本日、このように第50回卒業証書授与式を保護者の皆様と共に挙行できましたことに感謝すると共に、224名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。

 

   令和3年3月12日

   埼玉県立所沢商業高等学校長

        鈴 木 啓 修