校長メッセージ

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2月全校集会校長講話

                                  やるべきことをやる

 早いもので、2月の全校集会を迎えました。皆さんも気づいていると思いますが、3年生が今日から家庭研修に入りました。3月13日の卒業式を含め、あと3回しか登校しません。ということは、今日からここにいる1、2年生諸君が学校生活の中心になるわけです。あと2か月もすれば、2年生諸君が最上級生になり、1年生は2年生になり学校の中心として活躍することを期待されます。また、1年生が入学してきて、君たちは先輩になるわけです。時の流れを感じます。

 時の流れを感じる時に大切なことは、自分自身の成長を客観的に振り返ることです。この1年、時が流れていく中で、自分がどれだけやるべきことができたかを振り返ることが大切です。先月の始業式で私は、好きなこと、やりたいこと興味あることにチャレンジし体験してほしいと話しました。しかし、やりたいことをやるためには、まずやるべきことをちゃんとやらなければなりません。やるべきこともやらないで、やりたいことだけやっていたら、それは単なるわがままであり、成長はありません。やるべきことをやらないで成長はないのです。遅刻をしないで学校に来る。あいさつをする。人の話を聞く。授業をしっかり受ける。宿題や課題をしっかりやる。提出物はちゃんと出す。ちゃんと掃除をする。部活を一生懸命にやる。校則を守る。そういった当たり前のやるべきことをちゃんとやることが大切です。最近、そういった当たり前にやるべきことができていない人が少なからずいると聞いています。そういった人がこの中にいるとしたら、非常に残念なことです。是非、改めてください。

  やるべきことを日々ちゃんとやることで、皆さんは成長し、ちゃんとした2年生、3年生になれるのです。あと2か月、立派な2年生、3年生になれるよう日々やるべきことをしっかりやり、毎日を大切に過ごしてください。

3学期始業式校長講話

                                 体験して感じる

 

 新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?楽しく充実した日々を過ごせましたか?まずは大きな事故もなく、こうして3学期の始業式が迎えられることを大変嬉しく思います。

 2020年、令和2年という年を迎えたわけですが、この新しい年の最初の講話にあたり、今日は「体験して感じてほしい」という話をしたいと思います。 

 昨年の3月に現役を引退したイチローさんのことは皆さんもよく知っていると思いますが、彼が12月22日に、故郷の愛知県、豊山町で自身が大会会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席しました。引退したことで、オリックス時代の1996年から続いたこの大会は24回目の今回が最後の大会となりました。その閉会式でイチローさんは、少年たちに最後のメッセージを送りました。彼は次のような話をしました。

「今は、調べればいろいろなものが分かる時代になった。世界が小さくなったように思えるけど、僕が28歳で米国に渡って大リーグに挑戦し、調べれば知識として分かることであっても、外に出て初めて分かることがたくさんあった。傷つくこともあるし、楽しいことだってある。ただ知識として持っているのではなく、体験して感じてほしい。そういう経験を将来みんなにしてほしい。あって当たり前のものは、決して当たり前ではないと気付く、価値観が変わる出来事をみんなに体験してほしい。28年のプロ野球生活を終えて僕が強く感じていることなので、ぜひみんなに覚えておいてほしいと思います。」

 ここで彼が伝えたかったことは、「とにかく実際に体験して感じてほしい」ということです。皆さんはスマホを片手に、自分の知りたい情報を簡単に入手できる時代に生きています。インターネットのおかげで、世界中で今、何が起きているかを瞬時に知ることができます。しかしインターネットで情報を得るということと、実際にその場で体験し感じることとは大きな違いがあります。その場で体験し感じるという経験は、時には人生を大きく変えるほどのインパクトがあると思います。

 私は所商に赴任する前、国際協力機構(JICA)という組織に2年間、研修に出ていました。その2年間で様々な開発途上国に行かせてもらい、実際にその国の空気を吸い、そこに住む人々と話をし、多くのことを感じることができました。まさしくそれまで当たり前だと思っていたことが、決して当たり前でないと気付くことが多くありました。本当に貴重な経験であったと思っています。

 2年生、3年生諸君も沖縄、台湾に修学旅行で訪問し、それぞれの現地で感じたことが多くあると思います。そういった直接の体験をとおして感じたことは、スマホで得た情報とは全く違うと思います。本当の体験は皆さんが心と体で感じるものであり、価値観を大きく変える経験になるかもしれません。

  是非、今年はいろいろな体験をしてほしいと思います。それは旅行をするということだけでなく、自分の足を使って現場に行って直接、見たり聞いたりして体験することです。美術館や博物館に行くのもいいでしょう。コンサートやライブに行くのもいいでしょう。生の体験をしてみることです。

2020年は夏に東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。日本にいながら、一生に一度の経験かもしれない素晴らしいイベントが体験できるのです。世界中からたくさんの人々がやってきます。是非、何らかの形でオリンピック、パラリンピックを体験してほしいと思います。

 それでは3学期、いろいろなことを体験し成長してください。

 

2学期終業式校長講話

「エシカル消費」

2学期も今日で終わりです。9月から4ヵ月の学校生活はどうでしたか?自分が満足できる生活が送れましたか?先日の成績会議で2学期は1学期に比べ、成績不良者が増えたという報告がありました。非常に残念なことです。特に1年生の欠点保持者が大幅に増えたということです。高校は、やるべきことをやらないと進級、卒業ができないということを改めて認識してほしと思います。そしてこの冬休みには、生活習慣を改め、しっかり勉強をして3学期に取り戻してほしいと思います。

さて今日は「エシカル消費」ということについてお話したいと思います。

私たちは、日々、生きるため、また充実した生活を送るため、ものを買ったり、食べたり、使ったり、何らかの消費をしています。我々は、だれもが消費者です。そして消費は経済活動の基本です。皆さんが専門として学んでいる商業、ビジネスは消費者の消費行動が基盤となって成り立っているわけです。しかし消費行動というものは、多かれ少なかれ地球環境に負荷をかけています。誰かが物を作り、それを流通、販売し、そして誰かがその物を買い、使う、このサイクルを回すためには、大きなエネルギーが使われているわけで、地球に負荷をかけているのです。しかし地球環境に負荷をかけているからと言って、我々は消費行動をやめることはできません。私たちは生きている限り消費はやめられないのです。

ではどうしたらいいか?そこで今日考えてほしいことが「エシカル消費」です。「エシカル」とは英語で「倫理的な」という意味で、「倫理的消費」とも言われます。法律の縛りはないけれども多くの人が正しい、倫理的であると思う規範に基づいて消費することです。

もう少し具体的に言うと、皆さんが買い物でどれを買うか選ぶとき、価格、品質、安全性のほかに、その商品がどのようにして作られたかといった背景、例えばどこで作られたものか、誰が作ったものか、どのような流通経路で今、私の手元にあるのかなど考えることです。また、その商品を買うことで世の中にどんな影響があるか、「これを選んで消費することは環境や貧困、人権問題、地域社会などにとっていいことなのかな?」と立ち止まって考えること、想像してみることです。

もしかしたら、その背後には劣悪な環境で長時間働く生産者や、貧困のために学校に行けず、強制的に働かされている子どもたちがいるかもしれません。また、美しい自然や、そこに住む動植物が犠牲になっているかもしれません。そんなことを想像して商品を選ぶ、人間や社会、地球環境、地域社会に配慮した商品を購入すること、それが「エシカル消費」です。消費はするけれど、少しでも地球環境に負荷をかけず、社会を持続可能にしようとすることが「エシカル消費」です。 

例えば、洋服を買う時、化学肥料は使わず、有機肥料の土壌で育てられたオーガニックコットンの服を買うことです。少し値段は高いかもしれませんが、環境に優しく、また、そのコットンを育てた農民を守ることになるのです。

エシカル消費には、その他「フェアトレード」や「リサイクル商品」「障害者支援につながる商品」「被災地の産品」「動物実験をしていない化粧品」「地産地消」など幅広い消費の形があります。どれも環境や人間、地域社会や動植物などに配慮した想像力豊かな消費行動だと思います。もっと簡単な例を言えば、スーパーに行って、消費期限の短い商品をあえて買うなんていうのも、とってもエシカルですね。

 是非、皆さんのような若者が、豊かな想像力を発揮して、持続可能な社会に貢献できる倫理的な行動をしてほしいと思います。今日は消費についてのお話をしましたが、その他にも持続可能な社会のためにできることは沢山あると思います。昨日、お話のあった年金もそうです。年金制度はみんなで支え合う優しい制度です。持続させなければなりません。また、そのほかに例えば献血をする、地域の清掃活動に積極的に参加するなど、君たち高校生が、やれることは山ほどあると思います。想像力を働かせ、アンテナを高くし、世の中のためになることを積極的にチャレンジしてほしと思います。

今日は、クリスマスイブです。クリスマスは隣にいる人を愛する日です。隣にいる人、家族、友人、そして地球の裏側にいる人々にも思いを馳せ、想像力を働かせ、優しい気持ちで過ごしてほしいと思います。

それでは、1月8日に元気に登校してください。

 

11月朝礼校長講話

「〇〇のはずだ」のワナ

 

 みなさん、おはようございます。

 早いもので11月になりました。10月は色々なことがありました。特に台風19号や10月25日の豪雨では県内でも川が氾濫し、多くの人々が被災しました。被災された方々には、一日も早く元通りの生活に戻れるよう祈りたいと思います。11月は穏やかな月になってほしいと思います。

 また、10月には大変、嬉しいニュースもたくさんありました。その1つとして、ノーベル化学賞に吉野彰さんが、リチウムイオン電池の発明者の1人として受賞したことです。我々日本人にとって、大変嬉しい勇気づけられるニュースでした。

 しかし今日は、ノーベル経済学賞の話をしたいと思います。日本ではあまり報道されませんでしたが、今年のノーベル経済学賞は、マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー教授、エスター・デュフロ教授、そしてハーバード大学のマイケル・クレマー教授の共同受賞でした。この3人は、発展途上国での貧困問題について、実証実験によって具体的な解決策を示したことが評価されました。

 これまでにも、貧困問題に関する研究でノーベル経済学賞を受賞した研究者はいますが、この3人が最も画期的だったことは、「ランダム化比較試験」という手法を取り入れたことです。この「ランダム化比較試験」というのは、医薬品開発での動物実験などで使われる試験です。具体的に言うと、ある薬を与えた集団と与えない集団とで、どういう違った結果が出るか客観的に実験する方法です。これを貧困問題の解決に応用したのです。

 この手法を貧困対策に応用すると、例えば子供たちが、なかなか学校に通うことのできない貧しい村で、ただで給食を提供するグループと、そうでないグループを比較し、どちらのグループでより多くの子供たちが学校に通うようになるか、という実験を実際に行って、その結果を比較、検証するということです。

  3人の受賞者は、このような試験を多く実施することで、とても興味深い結果が得ました。例えば寄生虫を駆除するための薬を配ったり、親に教育の大切さを教育するほうが、お金や制服を配るより学校に通う子供の数が圧倒的に増えたということが、ケニアの小学校での実験で明らかになりました。これは意外ですよね。お金や制服、教科書を与えるほうが学校に行く子どもが増えるように思いますよね。しかし実験の結果はその反対でした。

 これまでの発展途上国への援助や貧困対策は、「こうすればこうなるはずだ」という思い込みが我々先進国すなわち与える側にありがちでした。「お金や物を、たくさん援助してあげれば、貧困は減るはずだ。減らないとしたら、その国の政府が悪いか、その国の人々が怠け者なのだ。」などと与える側である私たちの傲慢な態度も、しばしば途上国援助の分野では見られました。しかし、この3人は実験の結果を通して、エビデンス、すなわち科学的根拠を世界に示したのです。思い込みでなく「こういう実験をしたらこういう結果が出ましたよ。」と世界に示したのです。この功績は、これからの途上国援助、貧困対策の改善に大きな影響を与えていくと思います。

 このことを通して皆さんに伝えたいことは2つあります。一つ目は、思い込みではなくエビデンス、科学的根拠をもとに物事を判断してほしいということです。例えば、皆さんが将来、お店を経営するとします。商品に消費税込みの価格を表示するか、消費税抜きの価格を表示するか決めなければなりません。どうしますか?多くの人が、「消費税込みの方がわかりやすくていいや」と思うかもしれません。しかし実は、アメリカのある研究者がこの「ランダム化比較試験」を活用して「消費税などの税の表示が販売にどう影響するか」という実験をしました。その結果は「税込みで表示すると税抜き表示の場合に比べ8%売り上げが下がる」というものです。つまり税抜き表示のほうが売れるという結果が出たのです。

 今や、この「ランダム化比較試験」は行動経済学をはじめ、多くの分野で活用されています。皆さんの中にも将来、大学で経済学や経営学を学ぼうと考えている人もいると思います。是非、実証実験によるエビデンス、科学的根拠を大切にする人になってください。

 ふたつめは、世の中であまりニュースにならないことも注目してほしいということです。ノーベル化学賞の吉野さんは大きく報道されましたが、ノーベル経済学賞は、日本ではほとんどニュースになりませんでした。しかし今回の授与は長いノーベル経済学賞の歴史にとって画期的な出来事です。また今後の経済学全体の方向性も大きく変える受賞であると言っていいと思います。

 世の中には情報が溢れています。テレビは勿論、ネットやSNSなど様々な媒体からニュースを得ることができます。しかし、意外と偏った情報が多いのです。ものすごく大切なニュースが日本では報道されないことも多くあります。是非、アンテナを高くし、自分の興味・関心・感性にピピっとくる情報を敏感にキャッチしてほしいと思います。

 これから秋が深まり、過ごしやすい季節がやってきます。3年生諸君は進路が決まっていく人が増えていくと思います。しっかりアンテナを高くして、自分にとって必要な情報をキャッチし、卒業後に向けて、今から準備を始めてください。

 

10月朝礼校長講話

異なるものへのリスペクト
 
 早いもので10月になりました。こらからいよいよ秋が深まってきます。秋と言えば、「実りの秋」という言葉があります。これまで、精魂を込めて育ててきた作物が実を結び収穫の時期を迎えるという意味です。

 これは君たちの所商生活でも言えることです。春から勉強、部活、学校行事と様々な場面で努力してきたことがいよいよ実を結ぶ、目標にしてきたことの結果が出る季節です。特に3年生諸君にとっては、3年間、コツコツと努力してきたことが実を結ぶ時です。それぞれにとって実り多き2学期になるよう努力してください。

 さて、いよいよラグビーワールドカップが始まりました。日本は初戦、ロシアに勝ち、優勝候補のアイルランドにも見事に勝利し、日本中がにわかに盛り上がっています。11月2日までの大会中、日本全国の12の開催都市で試合が行われ、これまでになかったラグビーに対する注目と盛り上がりを目の当たりにしています。また、この大会を観戦するため40万から50万人の人々が海外からやってきます。所沢市の人口が34万人ですから所沢市の人口より多い人々が日本にやってきます。とてもワクワクする1か月ですね。

 ところでみなさん、今回の日本代表には何人の外国出身の選手がいるか知っていますか。31人中15人です。なんと約半分が外国人選手です。日本代表チームの半分が外国人ということに違和感を持つ人は世の中にはいるようです。ネット上を見ると結構、批判的な意見も見られます。たしかに他のスポーツではあまりないですよね。調べてみたのですが、サッカー、野球(WBC)、バスケットボールなどの日本で人気のあるスポーツのほとんどの日本代表選手の条件には日本国籍を持っていることとありました。

 しかしラグビーの代表選手の条件は大変ゆるく国籍は要件ではありません。日本に継続して3年以上住んでいれば日本代表選手になれます。これはラグビー独特のルールで、その理由はラグビーの普及の歴史にあります。ラグビー発祥の国であるイギリスが世界中に植民地を持っていましたが、イギリスは植民地や元植民地中心にラグビーを広めていきました。そしてイギリス人はどこの国に行ってもその国の代表になれるようルールを決めたことがこの独特なルールの由来です。ですから日本だけでなく今回のワールドカップに参加している国のチームのほとんどが10人程度の外国出身選手を抱えています。ラグビーでは普通のことなのです。キャプテンのリーチ・マイケルもトンプソン・ルークも自分を育ててくれた日本のため、桜のジャージのために長年にわたり、体を張ってくれています。

 私はこのラグビーの文化が好きです。また、これからの日本の社会に根付いてほしい文化だと思っています。そしてこれからの日本の社会の在り方を示しているように感じます。前にもお話しましたが、これからの日本の社会は、日本人だけでは成り立たなくなります。我々が直面している深刻な人手不足が解消されなければ、これまでのような豊かな社会を持続することはできません。外国人の手を借りないと乗り越えられないのが現実です。日本に働きに来る外国人は、勿論、自分のため、祖国の家族のために働きに来るのでしょうけど、我々からすれば彼らは日本の社会を持続させるために働いてくれているのです。

 外国人との共生は、お互いの文化、習慣を理解し尊重することから始まります。今回のワールドカップで多くの外国のチームが試合後に観客にお辞儀をする姿が話題になっています。オールブラックスが始めたようですが、彼らは日本の観客の声援とおもてなしへの感謝を日本のお辞儀という形で敬意とともに伝えたいと言っていました。また日本では、まだ受け入れられない、タトゥーについても外国の選手は試合以外の場所ではなるべく隠すようにしているそうです。サモアの主将ジャック・ラム選手がこんなことを言っています。「タトゥーは僕たちの文化に根付いている。しかし日本は違う。僕たちは日本にいる。日本の文化に敬意を払わなければいけない」

 日本に来る外国人は日本の文化・風習を理解し尊重する。日本人は外国の文化・風習・宗教などを理解し配慮して受け入れる。これこそがこれからの日本が目指す多文化共生社会に必要な文化ではないかと思います。

それでは、皆さん、それぞれにとって実り多き2学期になることを祈っています。