校長メッセージ

校長先生の部屋へようこそ!

2学期終業式講話

 皆さん、おはようございます。2学期も最終日となりました。皆さんにとってどんな2学期だったでしょうか。振り返るとこの2学期は、分散登校から始まりました。9月は午前午後に分かれての登校でした。10月になりようやく緊急事態宣言が解除され、いつもどおり登校できるようになりました。体育祭と文化祭が延期になっていましたが、体育祭は10月下旬に、文化祭は11月上旬に行うことができました。2年生の修学旅行も延期になっていましたが、12月15日、16日に1泊でしたが行うことができました。今年度は学校行事などが、制限された形でしたがやっと行うことができました。以前にもお話ししたことがありますが、この2年間は、当たり前のことができなくなるようなわれわれの生活にとって大変な変化が起こりました。この先もまだどうなるのか、誰も見通せていない状況だと思いますので、今後の社会の変化にも柔軟に対応できるようにしてほしいと思います。新たな変異株ウイルスが日本にも入ってきて広がりを見せています。21日の夕方には県内でも変異株の感染者が出たようです。マスクの着用や換気、昼食時の会話など注意すべきことは変わっていませんので、引き続き感染症防止対策をお願いします。

 話は変わりますが、2学期には所商生の活躍もありました。10月下旬に全商英語スピーチコンテストが行われました。出場生徒は皆がんばっていましたが、その中のひとり、1年生の廣瀬羅碧(ひろせらお)君が1位になり、全国大会に出場となりました。素晴らしい活躍です。1月9日の全国大会もぜひがんばってほしいと思います。

 さて、今日は、ルールやマナーについてお話ししたいと思います。なぜ、ルールやマナーがあるのでしょうか。皆さんには、ぜひとも考えてもらいたいと思います。これまでも全校集会などでお話があったと思いますが、例えば地域の方から電話をいただいたりします。全員の生徒ではないですが、自転車の乗り方、駅やコンビニの利用の仕方についてなどについてお電話をいただくことが多いようです。具体的には、所商生が自転車で横に広がって通っているので車が通りにくくて迷惑だ、生徒がスマホを見ながら自転車に乗っているのでぶつかりそうになった、駅前で大声で騒いでいる所商生がいるというような内容です。これはどういう行為でしょうか。言わなくても分かりますね。迷惑行為や危険な行為です。ルールやマナーを守っていれば、このような迷惑行為や危険な行為ということにはならいないはずです。皆さんだって、嫌なことはされたくないし、危険な目には合いたくないと思います。ですから、自分が嫌なことは他の人にもしない、これは当たり前のことです。それから、ルールやマナーは学校生活の中にもあります。登校時間、他の生徒や先生方へのあいさつ、教室やロッカーへの荷物の置き方、携帯電話の使い方、授業の受け方、昼食の食べ方などいろいろなルールやマナーがあります。

 前回の朝礼のときに、他の人を思いやることについてお話ししたと思いますが、ルールやマナーを守ることは他の人を思いやる、相手のことを考えるということにつながっています。そして、ルールやマナーを守ることは、自分もルールやマナーから守ってもらえることにもなります。つまり、お互いが気持ちよく過ごしていくためにルールやマナーがあるわけです。もう皆さんは高校生ですので、そんなことは言われなくても分かっているという人がほとんどだと思いますが、改めて考えてもらいたいと思います。そして、日頃の自分の行動を今一度振り返ってみてください。できている人は、そのまま続けてもらえれば構いませんし、できていないところがある人はぜひとも直してください。社会に出れば、ルールを守らないと罪になってしまうこともあります。罪になれば刑事的な責任を負わなければなりません。そうなってしまうと人生が台無しになってしまうかもしれません。そうならないためにもルールやマナーを守ることをきちんと意識して、他の人のことを考えて生活をしていってほしいと思います。

 1600年代のイギリスの哲学者「ジョン・ロック」という人は「人が何を考えているかを最も分かる良い方法は、彼らの行動を見ることだ」と言っています。つまり、その人が、どう行動しているかでその人の考えやその人がどういう人かということが分かってしまうということです。私自身も、この言葉を読んで改めて自分の行動には気を付けなければいけないと思いましたが、皆さんにも普段の行動には人となりが表れていることを意識してほしいと思います。皆さんの行動が、所商がどういう学校なのかを表しているのです。

 明日からは冬休みとなります。冬休み中には、クリスマスや年末年始がありますので気持ちが緩みがちになります。こんなときこそ注意を払って、羽目を外さないよう気を付けて生活してください。1月11日の始業式には、皆さんが元気な姿で登校してくれるよう期待しています。

10月27日(水)朝礼講話

 皆さん、おはようございます。通常の登校になってから概ねひと月が経とうとしています。ここのところ感染者はだいぶ減りましたが、まだまだ感染症防止対策は続けていく必要があります。明日の体育祭や来週の文化祭も限定された状況ですが、何とかできそうですので、引き続き食事や会話などには気を付けて学校生活を送ってください。ここで感染が広がって今後の行事ができなくなることがないよう協力をお願いします。

 さて、今日は、埼玉県の偉人と言われる「渋沢栄一」について話をします。渋沢栄一を知っている人はどれくらいいるでしょうか。2024年4月から1万円札の肖像画になる人です。現在、NHKで渋沢栄一のドラマが放送されていて、埼玉県では渋沢栄一出身の深谷市を中心に盛り上がっているようです。書店に行っても、渋沢栄一に関する様々な本が並んでいます。私は、この4月に本校に着任することが決まってから、商業高校に関係がある人物ということで、渋沢栄一に関する本を2冊ほど読みました。一番有名な「論語と算盤」については現代語訳されたものを読んでみました。それから、別の人がまとめ直したものですが「至誠と努力」という渋沢栄一の講話をまとめたものも読んでみました。2冊とも現在にも通じる考え方がいくつもあるので、どこかで一度読んでみてもいいかもしれません。参考になることがあると思います。「至誠と努力」については、高校生にとっても読みやすい本になっています。本校の図書館にもありますので、参考にしてもらえればと思います。

 その渋沢栄一ですが、彼は、江戸時代の終わりの幕末から昭和の初めころまでの変化の激しい社会を生きた人です。一般的には、それほど有名な人ではなかったかもしれませんが、近代日本の設計者と言われる人なので、日本にとっては非常に重要な人物です。商業高校に通う皆さんにとっては、切っても切れないくらい関係の深い人かもしれません。というのは、今の名前で言うと、みずほ銀行、王子製紙、東京海上火災日動、東京電力、JRなど皆さんが知っている、あるいは聞いたことがある会社の設立に関わっているからです。これらの会社は、皆さんの日常生活にもいろいろと関わりがあると思います。すべて合わせると約480もの会社の設立に関わったそうです。ということで、渋沢栄一は、日本資本主義の父、実業界の父とも言われており、商業高校と関係が深いことも理解できるのではないでしょうか。

 渋沢栄一が偉人と言われるのは、実業界に貢献しただけではないことだと思います。彼は、実業家として活躍するかたわら、600あまりの社会公共事業や福祉・教育の支援などにもかかわったそうです。そして、実業家としての成功は社会のおかげ、その成功者は恩返しとしてその利益の一部を社会に戻すべきだと考えていて、個人で富を独占することを否定し、得た利益を社会に還元しました。

 渋沢栄一が幼いころの話があります。彼が幼いころ、近くに一人で住んでいて、長い間重い病気にかかっている女性がいたそうです。この人を栄一の母親が毎日面倒を看ていたそうです。ほかの人たちは、病気がうつると言って近寄らなかったそうですが、栄一の母親は、ほかの人から嫌味を言われても気にしなかったそうです。このような母親の姿を見て育った栄一は、日本経済の発展だけでなく、社会福祉にも力を尽くし、生活に困窮している人や身寄りのない子供や老人を養うような施設をつくり、その代表となるなど、様々な慈善事業に貢献したということです。

 これほど大きなことはなかなかすぐに真似できるようなことではありませんが、われわれの身近なところを考えてみましょう。私は、今の世の中、人に少し譲ってみる、少し人の立場になって考えてみる、そういう人を思いやる気持ちや少しの余裕なようなものが少なくなってきている気がしています。例えば、横断歩道を渡ろうとして車が止まってくれたときには会釈をして少し速足で渡る、歩道などでお互いがすれ違うときには少し横によけて通る、傘をさしていてすれ違うときには少し傘を傾ける、などのようなことです。小さなことかもしれませんがお互い気持ちがいいのではないでしょうか。最近あったことですが、道端で具合が悪い人を助けてくれた本校の生徒がいました。2件ありました。本校には、こういう素晴らしい生徒がいるので、私は大変うれしい気持ちになりました。誇りに思います。

 というように、いろいろな場面があると思いますが、人に譲る、人を思いやる、人の立場に立って考える、少しでもそういう気持ちをもって普段生活していれば、お互いがより気持ちよく生活できると思います。そういう気持ちを持つ人がたくさんいればその集団は、もっと居心地のいい集団になるはずです。クラスや部活動、学年など学校の中にもいろいろな集団があります。それぞれの集団の居心地を良くするためには、その集団に属する人それぞれがどういう気持ちで過ごしていけばいいのか、皆さんにもぜひ考えてほしいと思います。そういう気持ちが、やがて、社会への貢献につながっていくのではないかと思っています。以上です。

2学期始業式講話

 皆さん、おはようございます。緊急事態宣言が発令されている中での2学期の開始となり、県からの指示により分散登校のため、概ね半分ずつの生徒に登校してもらっての始まりとなりました。現在は、デルタ株という感染力が強いと言われる新型コロナウイルスのために、全国的に非常に厳しい感染状況が続いています。とくに、首都圏や沖縄をはじめ日本各地で医療体制に影響が出ています。若い人にも感染しやすいということなので、皆さんにもより気を付けて生活してほしいと思います。ここのところ、多少感染者数が減ってきている様子もありますが、夏休みに入るころの感染者数までには全く減っていない状況です。このような状況から今日からの学校での生活についても、今まで協力をお願いしてきたマスクの着用や手指消毒、食事の際に会話をしない、体調が悪いときや家族に体調不良者がいるときには登校を控える、などの感染症防止対策について、これまで以上にしっかり守ってほしいと思います。それから、埼玉県には今年の1月からほとんどの期間で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が適用されていますので、適用されていることが当たり前と思って行動をする必要があります。皆さん一人一人ができるだけ感染しないようにするためにも、そういったことを頭において日常の生活を送ってほしいと思います。マスクをしていたかどうかが、感染するかしないかを分ける、濃厚接触者になるかならないかを分けるような状況もあります。感染者が複数出れば学級閉鎖や学校閉鎖などもあり得ますので、皆さんの協力をお願いします。 

 さて、今日から2学期が始まりました。始まったとはいえ、しばらくは分散登校となりますので、学校に来る時間が不規則になってしまいます。生活のリズムをつくるためにも、学校に来ない時間もいつもどおり起床して家庭学習をするようにしてください。いつもどおりの学校生活とはいかない大変な状況ではありますが、少しでも前向きな気持ちで過ごしていってもらいたいと思います。前向きな気持ちで過ごしていくことは、いろいろな場面で皆さん自身の生活にいい影響を与えるはずですし、皆さんが社会人になったときにはもっと必要なことになるはずです。例えば、学校の授業や家庭学習では、前向きな気持ちで授業を受ける、勉強するように心がけましょう。科目によっては、苦手意識があって授業や勉強に集中できないようなこともあるかもしれません。つまらない、いやだな、というような気持ちのまま授業を受けたりすることは、脳にストレスがかかってしまい、脳の働きが悪くなってしまうようです。それでは、せっかく勉強をしていても勉強の効果が得られないことになってしまいます。授業を受ける、勉強をすることは、皆さんにとっては避けて通れません。時間の大切さについては1学期の終業式のときに話をしましたが、この授業や勉強の時間を少しでも有効に使って、その時間に少しでも効果が得られればそれに越したことはありません。そのためにも、前向きな気持ちで授業を受け、家庭学習をしていくことが大切なことだと思います。私自身もときには、仕事に対して前向きになれないときがあります。そういうときこそ、気持ちを何とか振り絞って一番取りかかりにくい仕事や一番嫌な仕事を先にやってしまうようにしています。そういう仕事がある程度片付くと、それなりに気持ちが軽くなるものです。私は、長年の経験から自分に対する対処法を見つけてきたつもりですが、皆さんはまだ、どうすれば気持ちを前向きにすることができるか、という方法がなかなか見つからないかもしれません。それでは、どうすれば気持ちを前向きにすることができるのでしょうか。一つには考え方を少し変えてみるということが有効かもしれません。何かやらなければならないことがあったとき、「どうせ無理だ」「できるわけがない」などと考えてしまうことは意外と多いことと思います。そういうときこそ、「どうすればできるかな」「少しでもできることはあるかな」と考え方を変えることによって前向きな方向に行動が変わってくるはずです。嫌なことに対しても「やりたくないな」と思っているより、「とにかくやってしまおう」と考えることによって物事が少しずつ前に進むはずです。このように考え方を変えることが前向きな気持ちになっていくということなのだと思います。意識して前向きに考えるような機会を増やしていくことによって、だんだんとそういう風に考えることが自然にできるようになってくると思います。そうすれば、皆さんにとって難しいことに対しても、できることが少しずつ増えていくはずです。 

 2学期は、勉強だけでなく文化祭や体育祭などの学校行事があります。部活動がある生徒にとっては、さらに忙しい時期になるかもしれません。勉強だけでなく、皆さんがなすべきことはたくさんあります。これらさまざまなことに対して前向きな気持ちで学校生活を送っていくことが、皆さんを大きく成長させることになると思います。また、この時期の過ごし方で皆さんに身に付く力が変わってくるのだと思います。先ほども言いましたが、2学期が始まりました。じゃあ来週から、明日からと先延ばしにせず、今日、いや今から少しでも前向きな気持ちで過ごしてみてはどうでしょうか。皆さん一人一人にとって、充実した2学期になることを期待しています。

第1学期終業式講話

 皆さん、おはようございます。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症についてお話します。

 新型コロナウイルス感染症については、まだまだ収まる気配が見られません。東京は、4度目の緊急事態宣言となりました。所沢市も今日から再びまん延防止等重点措置が適用になりました。今回は、8月22日までとなっていますが、これまでの様子を見ていますとどうなるかわかりませんので、皆さんも十分気を付けて生活するようにしてください。変異株のウイルスが広がっており、若い人にも感染しやすいと言われています。明日から夏休みになりますが、1,2年生は主に部活動中心の生活、3年生は進路に向けた生活になると思います。陽性者になったり、濃厚接触者になったりすると関係する部活動が活動停止になったり、進路に向けた活動ができなくなったりしてしまいます。長い期間外に出られない生活をしなければなりませんので、うつらない、うつさないことを意識した生活をすることが重要です。もし、陽性者になったり、濃厚接触者になったりした場合や、感染について心配なことあった場合は、遠慮なく学校に連絡することもお願いします。また、陽性者や濃厚接触者が出た場合、その人たちに対して、詮索したり、誹謗中傷したり、SNSに載せたりするようなことは人権の侵害に当たりますので、そういうことは許されないことも頭に入れておいてください。 

 さて、早いもので、1学期が最終日となりました。皆さんにとって、どのような1学期だったでしょうか。よく頑張った、それなりに何とかやれたと思う人は、2学期になってその調子が持続できるように、夏休みも勉強や部活動など自分のやるべきことに引き続き頑張りましょう。頑張れたところもあるけど頑張り切れなかったところもあるなど少し後悔のある人は、後悔した部分について、勉強なり、部活動なり、その後悔したところを取り返すよう夏休みに取り組みましょう。あれもこれも頑張れなかったという後悔ばかりの人は、夏休みにやるべきことを整理して、今後の生活の立て直しを考え、その上でこの夏休みに少しでも取り返しましょう。すでに、今年度の3分の1が終わったということを頭に入れておいてください。明日からの夏休みは40日間あります。非常に長い時間ですが、始まればあっという間に過ぎていきます。この時間をどのように使ったか、このことが今年度の残りの過ごし方に大きく影響を及ぼしますので、そのつもりで夏休みを迎えてください。少しでも時間を無駄にしないよう過ごしてください。先日、私が努力について話をしましたが、この夏休みはその努力をするときの一つだと思います。

 今時間について触れましたが、時間について少しお話しします。時間は大切、時間を守る、など時間の重要性については、いつも言われていることと思います。では、なぜ時間は大切だったり、守らなければならなかったりするものなのでしょうか。皆さんは、時間について考えたことはありますでしょうか。これまでにも、たくさんの人が時間の大切さについて語っています。例えば、ホンダの創業者本田宗一郎さんは、「時間だけは神様が平等に与えて下さった。これをいかに有効に使うかはその人の才覚であって、うまく利用した人がこの世の中の成功者なんだ」と言っています。サッカーの本田圭佑選手は、「人生24時間の1日の中で余った時間は他にもあるわけですよ。それを他の奴が休んでいる間に走ることに着手すれば、プラスαこのちょっと伸びたら凄いことになる」と言っています。聖路加国際病院の医師で2017年に104歳で亡くなった日野原重明さんという方がいらっしゃいますが、この方は、長年に渡る全国での講演活動や多くの著作を通じ、医師としての立場・医療という領域を超え、いのちの大切さ、平和の尊さなどを、日本の子どもたちに訴えていた人です。この人は、「命はなぜ目に見えないか それは命とは君たちが持っている時間だからなんだよ 死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまう どうか一度しかない自分の時間、命をどのように使うかしっかり考えながら生きていってほしい さらに言えば、その命を今度は自分以外の何かのために使うことを学んでほしい」と言っています。

 このように、社会で活躍した人、している人がその人なりに時間の大切さ、重要さについて述べています。皆それぞれの経験からの発言ですので、まだまだ経験の少ない高校生である皆さんがこれらの言葉を聞いてすぐに納得するような感覚にはならないかもしれませんが、時間が大切なものであることは何となく理解できると思います。今回の夏休みを迎えるにあたって、少しでも時間の使い方を考え、皆さんそれぞれが、より充実した夏休みを過ごしてほしいと思っています。

 9月1日、二学期の始業式には、そろって皆さんの元気な顔が見られることを楽しみにしています。

6月2日(水)全校集会講話

 みなさん、おはようございます。ついこの間、中間考査が終わりました。それぞれの学年で初めての定期考査でしたがどうだったでしょうか。中間考査が終わったところでほっとするだけでなく、本校HPの所商ブログにも書いてありましたが、苦手なところをそのままにしないでできなかったところを復習するなど、少しでも振り返っておくことが今後のために大事なことだと思います。

 新型コロナウイルス感染症防止対策については、所沢市にも「まん延防止等重点措置」が適用され、さらに6月20日まで延長されたことなどに伴い、引き続き登校時間の繰り下げや部活動の制限など生徒の皆さんにも協力してもらっています。ありがとうございます。まだまだ感染者が減らない状況が続いていますので、気を緩めることのないようにしてください。これまでも気を緩めるとすぐに感染者が増えてくるという状況が何度も繰り返されています。いろいろと不便なこともあるかと思いますが、変異して感染力が強くなったと言われるウイルスが広がっている状況もありますので、部活動がさらにできなくなったり、学校が休校になったりしないよう、感染防止対策に協力をお願いします。 

 さて、今日は、「努力」について話をします。今度の東京オリンピック出場を決めた水泳の「池江璃花子」選手のことは分かりますでしょうか。池江選手は、5年前の2016年、16歳でリオデジャネイロオリンピックに出場して、100mバタフライで5位入賞を果たすなど活躍した選手です。その後も日本選手権やアジア大会などに出場し活躍をしていましたが、2年前の2019年2月に白血病と診断され、治療に専念することになりました。その後、抗がん剤治療などの厳しい治療を受けて、髪の毛が抜けたり、体重が15kgも減ったりという大変な闘病生活を過ごしました。その後、その年の2019年12月に退院し、そのときは今から3年後の「パリオリンピックに出場して、これはメダル獲得という目標でがんばっていきたい」と言っていましたが、昨年2020年の3月にプールでの練習を再開し、その年の8月に実戦復帰を果たしました。パリオリンピックを第一目標として取り組んできたとのことでしたが、この間の4月にこの夏の日本開催の東京オリンピックに出られることになったことはご存じのとおりです。

 このとき池江選手が「努力は必ず報われる」と話した場面がテレビで何度も報道されました。これは3年ぶりに出場した日本選手権の100mバタフライで優勝した後のインタビューのときの発言です。ある新聞で一問一答が掲載されていて、この発言がされたところをよく見てみると次のようです。優勝したことについて聞かれて池江選手は、「まさか100mで優勝できるとは思っていなかった。5年前の五輪選考会よりもずっと自信もなかったし、自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていた。勝つための練習もしっかりやってきたし、最後は『ただいま』という気持ちで入場してきた。つらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなと思った」と話したようです。私は、この台詞から池江選手が相当つらい闘病生活をくぐり抜けて、やっと練習を始められて、やはり相当つらい練習に人一倍取り組んできた、という気持ちがよく表れているな、と感じました。それほどの努力があったからこそ、結果的に東京オリンピックへの出場を決められたのだろうと思いました。

 われわれは、誰しもどこかでここぞという努力をしないとならないときが必ず何度かあります。そのときにどれだけ努力をしたか、恐らくその努力をした分だけ報われる可能性があるのではないかと思っています。しかし、努力すれば必ず希望のとおりに報われるとは限らないところが難しいところでもあるのですが、努力をしなければ絶対に報われることはないのです。この話を皆さんにするにあたって私自身について振り返ってみると、私のこれまでの努力が報われたかどうかを考えたとき、いろいろと考えてしまいます。私がした努力は希望を叶えるところまでそれだけの努力をしたのかどうか反省するところがたくさんあったように思っているからです。

 皆さんが、何に対していつどれだけ努力しているのかは分かりませんが、高校生という時期はそれなりに努力が必要なときがいくつもあるのではないでしょうか。皆さんがその機会を逃さないで努力をすることは、今後の皆さんの人生を左右するに違いありません。高校の三年間はあっという間に過ぎます。三年生はもう残り10か月もありません。将来、少しでも後悔しないためにも、今後の貴重な時間を無駄にしないよう考えながら過ごしてほしいと思っています。以上です。

令和3年度入学式式辞

 新緑が輝きを増し、春の香りが満ち溢れるすがすがしい今日の佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第53回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びと深く感謝申し上げます。

 ただいま、本校への入学を許可いたしました211名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、自らの意思でこの所沢商業高等学校を選択し、本日、晴れて本校に入学することになりました。教職員一同、皆さんを心から歓迎し、お祝いを申し上げます。本校は、昭和44年に開校され、三年前に創立五十周年を迎えた伝統ある高校です。また、学校の名前にあるとおり、商業教育に重点を置いて取り組む高校です。そのことを念頭において、自らの意思でこの学校の門をくぐってきたということを忘れずに充実した高校生活を送れるよう努力してほしいと思います。

 保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これまで、お子様を育ててこられました皆様の御尽力に敬意を表します。本日、お子様の晴れ姿を御覧になり、頼もしく感じられたことと思います。心からお祝いとお喜びを申し上げます。また、御臨席に際しまして、新型コロナウイルス感染症防止対策に御協力をいただきましたことに、お礼申し上げます。

 さて、新入生のみなさん、いよいよ今日から三年間の高校生活が始まります。今、皆さんが抱いている高校生活に対する新鮮な気持ちをいつまでも忘れないであらゆることに取り組んでいってほしいと思います。そこで、私から二つお話しします。

 一つ目は、「基礎学力と専門性をしっかり身に付ける」ことです。本校は、商業教育を担う専門高校ですので、職業人として必要とされる力を身に付けた人材、つまり将来のスペシャリストの育成という目的があります。そのためには、まずは基礎学力をしっかりと身に付けることが必要です。専門高校といっても国語や数学、英語など、いわゆる普通の教科の学習もあります。これをおろそかにしては、専門教科を学習してもしっかりと身に付かなくなってしまいます。普通教科を土台として、その上に専門性を積み重ねていくのだと考えてください。将来のスペシャリストになるためには、本校で学ぶ内容はどれも必要なものばかりですので、それらをしっかりと学び、本校で職業人としての基礎を身に付け、社会で活躍できる人材になってほしいと思います。

 二つ目は、「人間性を高める」ことです。人間性が豊かな人とは、他の人への気遣いができ、思いやりがあるような人で、周囲との人間関係がうまくつくれます。そうではなく、他の人への気遣いができなかったり、自己中心的だったりすると周囲の人たちとの人間関係がうまくつくれないことは分かると思います。人間性を高めるためには、どうしたらよいでしょうか。学習はもちろんのこと、部活動や学校行事などにも前向きに参加していくことだと思います。それにより、自然と人間性が磨かれていきます。これまでの自分を振り返り、少しでも人間性を高めていくにはどうすればよいのか、考えて生活していってほしいと思います。また、SNSの使い方などにも十分注意し、人間性を高めることによって、新しい仲間たちと充実した生活を送れるようしていってください。人間性を高めることも職業人として必要な資質の一つであることは言うまでもありません。

 次に、保護者の皆様にお願い申し上げます。本校において、生徒一人一人が高校三年間を有意義に過ごし、進路実現を果たすために教職員一同力を尽くしてまいりますが、学校だけでお子様の健やかな成長を達成することは困難でございます。御家庭との連携、協力が必要なことは申し上げるまでもございません。御家庭と学校が両輪となり、お子様の成長を支援してまいりたいと存じますので、各御家庭におかれましても、本校の教育方針を御理解いただき、基本的な生活習慣の確立や家庭学習の定着などについて、御指導くださいますようお願いいたします。

 結びに、新入生の皆さん一人一人が充実した高校生活を送れるとともに、健やかに成長できますよう祈念し、式辞といたします。

                         令和3年4月8日 埼玉県立所沢商業高等学校長 木村郁文

令和3年度第1学期始業式講話

 みなさん、おはようございます。新年度を迎え、いよいよ一学期が始まりました。新3年生の皆さんは最上級生になりました。進路を決める年です。就職するにしても進学するにしてもしっかりと自分の進路を見極めて、ぜひともこの高校生活最後の一年間を悔いのないように過ごしてほしいと思います。新2年生の皆さんには後輩ができ、学校の中心となって活躍する年です。勉強はもちろんのこと部活動や学校行事など様々な活動を経験して、力を蓄え3年生への準備をしてほしいと思います。これまで、たくさんの卒業生を輩出してきた所沢商業高校の50年を超える伝統を受け継ぎ、誇りをもって精進していってもらえればと思います。

 さて、生徒の皆さんにとって、昨年度の一年間はどのような一年間だったでしょうか。新型コロナウイルス感染症防止対策により昨年の3月から急に臨時休校になったまま4月が始まりました。生徒の皆さんはもちろんのこと、先生方も戸惑いながら様々な対応にあたってきました。普段からマスクを着用することやアルコール消毒が当たり前になり、食事をするときは会話を控えなければならなかったり、外出を控えなければならなかったり、ソーシャルディスタンスで隣の人との距離をとるようになったり、大勢での集まりがしにくくなったり日常の生活の仕方の急激な変更を余儀なくされました。常識が変わったのです。10年前の震災の時にもとんでもないことが起きたと思いましたが、今度は社会の常識が変わるほどの変化が、生活の仕方を変えなければならないほどの変化が社会に起きたのです。

 では、なぜ新型コロナウイルス感染症に対してどうしてこのような対応をしなければならないのでしょうか。改めて確認しますと、それは、今のところ予防ができないからだと言われています。どういうことかと言うと、一番の問題は、感染したにもかかわらず、いわゆる無症状の期間があることと、感染力の時期の問題ということのようです。通常、新型コロナウイルス感染症は、感染してから4~6日で発症することが多いようですが、無症状のままの人もいます。問題なのはいつから感染力があるかです。この感染症は、インフルエンザなどとは異なり、発症する2日前から人にうつす可能性があるそうです。また、無症状の人からも感染するようですので、防ぎようがないということです。そのため、すべての人が新型コロナウイルス感染者と考え、対応しなければいけないということです。さらに、重症化する場合があることや、インフルエンザなどと比べ致死率が高いこともあるようです。このように対策が取りにくいことから、生活様式を変えなければならないような様々な対応をするようになったのです。

 皆さんは、今起こっているこのような社会の変化に対応できていますでしょうか。また、withコロナとも言われていますが、この先、どのような社会になっていくと考えますか。あるいは、どのような社会にしていかなければならないと考えますか。皆さんは、近い将来社会に出て、これからの社会をつくっていく人たちです。今身の周りに起こっていること、このことをよく考えながら自分たちの進路についても考えていってほしいと思います。また、この先さらに思いつかないような出来事が起こるかもしれません。それでも、たくましく生きていける強さ、柔軟に対応できる柔軟さ、を身に付けていってほしいと思います。そのためには何をしなければならないのでしょうか。何か特別なことをしなければならない、ということではありません。普段からの学校の勉強、部活動、学校行事など、今、しなければならない当たり前のことにどれだけ真剣に取り組むか、結局そういうことが人間をつくっていく、人間を成長させていく基本であると考えます。何か特別なことができなければそういう人間になれないということは全くありません。

 まもなく授業が始まります。まずは、新学期を迎えたということで、気持ちも新たに勉強に向かうところから学校生活に取り組んでいってください。皆さんの元気な姿が見られることを期待しています。

令和2年度3学期終業式校長講話

                         思いやりある人に

皆さん、おはようございます。

 今日で令和2年度が終わります。この1年を振り返ってみると、本当に我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月から約3ヵ月も続いた臨時休業。1年生の皆さんにとっては、入学式に出席して以来、約2ヵ月学校が始まらず、高校生になった自覚や喜びも感じられないまま6月を迎え、突然高校生活が始まったという感覚だったでしょう。高校生としての心の準備もままならなかったと思います。その後の学校生活も我慢と不自由の連続でした。文化祭や体育祭も中止、部活動もかなり制限されました。そして何と言っても修学旅行の中止。2年生の皆さんは、本当に悔しい思いをしたと思います。そんなこれまで当たり前にできていたことができなかった制約と我慢の1年が今日で終わります。学校行事の形も変わりました。放送での始業式や終業式もすっかり定着してしまいました。

 この1年間、校長として始業式、終業式でいろいろ話をしてきました。ちょっと振り返ってみたいと思います。1学期の終業式には「コロナに打ち勝て」という話をしました。コロナのせいにしないで今やるべきことをしっかりやって、将来「コロナのおかげで今の自分がある」と言えるようにしてほしいと話しました。

  2学期の始業式には「ありがとう」という言葉の力、大切さについて話しました。終業式には「高校生らしさ」とは何か、「真面目さと素直さ」ではないかという話をしました。

 そして3学期の始業式では、アフターコロナの世界、エネルギーの大転換を図り脱炭素社会を目指す「グリーン・リカバリー」についてお話ししました。

 そして今日は今年度、最後の校長講話です。とってもシンプルで身近なこと、だけどとても大切なことをお話したいと思います。それは、「思いやりを持つ」ということです。思いやりのある優しい人間になってほしいということです。

 私は思いやりを持って接する対象は3つあると思っています。1つ目は「自分」2つ目は「周りの人」そして3つめは「社会」です。

 まずは自分。自分に対して思いやりを持って接してください。疲れている時、心が苦しい時、辛い時、無理しないでください。思いやりをもって自分の心と体を見つめ、そして対話をしてください。時には心と体を休めてほしいと思います。また何かいやなことがあった時、諦めたり自暴自棄になるのではなく、心を鎮め静かに1度立ち止まってください。そして丁寧に冷静にそのことに対処してほしいと思います。怒りや諦めは決して皆さんの生活を豊かにするものではありません。

 次に周りの人。悩んだり悲しんでいる人がいたら、そっと寄り添ってください。話を聞いてあげてください。一緒に悲しんであげてください。家族の誰かが忙しそうにしていたら何かできることを見つけて手伝ってください。白杖をついて歩いている人を見かけたら勇気を持って声をかけてください。皆さんが思いやりを持って笑顔でいれば周りの人も笑顔になります。そして、周りの人の心が穏やかになれば皆さんの心も穏やかになります。

 そして最後は社会。社会に思いやりを持って行動していますか。ゴミの分別をちゃんとやっていますか?電気や水を無駄に使っていませんか?献血をしたことがありますか?何かボランティア活動はしていますか?若い皆さんには思いやりの心を持てば社会のために今できることがたくさんあります。

 自分に、周りの人に、そして社会に思いやりを持つ。是非、心に留めて実践してください。もう少し続くコロナ禍の世の中には特に大切だと思います。そしてそのことが、みなさんの生活、人生を豊かで楽しいものにしてくれます。思いやりのある優しい人になってください。

 最後に4月はもうすぐです。4月になると2年生は最上級生、1年生は学校の中心的存在である2年生になります。そしていよいよ後輩が入学してきます。新年度の準備をしっかりしてください。今自分ができること、しなければならないことをコツコツと実行してください。もうしばらく我慢の日々が続くと思いますが、正しいやり方で行えば少しずつやれることが増えていくと思います。もし状況が許せば始業式は、体育館にみんなで集まれればと思います。希望を持って新年度を迎えてください。4月8日、元気に登校してください。

 

 

 

第50回卒業証書授与式校長式辞

                                                                                      式  辞

 只今、卒業証書を授与された224名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんにとって、高校生活最後の1年は、我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月からの約3ヶ月にもおよぶ臨時休業。希望をもって締めくくりの1年を迎えようと張り切っていたみなさんにとって、本当に辛いスタートだったと思います。それまで頑張ってきた部活動の集大成である最後の大会やコンクールも多くが中止になりました。また文化祭、体育祭など、仲間との最後の思い出づくりの場も奪われてしまいました。そして、それぞれの進路を決める活動についても少なからず影響があったと思います。もしかしたらコロナ禍の影響で、家庭においても何か辛い思いをした人もいるかもしれません。しかしそうした全ての事を乗り越えて、みなさんは今日の日を迎えることができました。改めて、心からお祝い申し上げます。

 卒業は、人生にとって大きな節目であり、新しい世界へ羽ばたく出発点であります。この輝かしい門出に当たり、私から二つのことをお話したいと思います

 1つ目は「意思決定プロセスへの参加」ということです。この1年コロナ禍の世界において、私たちの心を曇らせたことがあります。それは民主主義への攻撃です。香港では国家安全維持法が施行され、政府に異を唱える議員や活動家が次々と逮捕され、現在も香港の人々から自由や人権が日に日に奪われています。また2月には、ミャンマーでクーデターが発生しました。この10年、目覚ましい経済発展を遂げてきた民主的な政権が再び軍隊に乗っ取られてしまいました。そして1月6日のアメリカ連邦議事堂への乱入事件。世界の民主主義をリードしてきたアメリカ合衆国のまさしく民主主義の象徴である連邦議事堂を破壊し、乱入する暴徒の姿に誰もが目を疑いました。民主主義の脆さを目の当たりにした瞬間でした。このようにこの1年、世界の各地で民主主義が危機に陥りました。 

 では民主主義が脅かされる時、つまり政治や社会が、おかしな方向に進もうとしている時また進んでいると感じた時、みなさんはどうすればいいのか。それこそが「意思決定のプロセスに参加する」ことです。自らの意志を社会に示し、物事を決めるプロセスに参加することです。自分の意見を言葉にし、間違っていることには間違っているとはっきりと伝える。そして正しいと信じることを訴えていく。そうすることで、意思決定のプロセスに参加し、これからの民主的な社会を創り上げていく。それは皆さん一人ひとりの責任なのです。選挙で1票を投じること、つまり選挙権を行使することは勿論ですが、しかしそればかりではありません。平和的なデモに参加する、SNSで意見を発信する、アンケートに答える、会議で発言するなど自分の意志を示す方法はいくらでもあります。是非みなさんには、責任のある大人として民主的な社会の「守り手」になってほしいと切に願っています。

 2つ目は「所商で出会った友人を大切にしてほしい」ということです。コロナ禍はしばらく続くでしょう。しばらくは人との接触を避ける生活、会議や授業はオンラインで行われ、人との繋がりや親睦を深める機会がなかなか持てないでしょう。そうした生活の中で、もしかしたら寂しさや孤独を感じてしまうかもしれません。そんな時、大きな力となるのが、所商で出会った友人です。3年間、共に生活し育んだ友情は、たとえ皆さんがそれぞれ違う道に進むとしても変わることはありません。寂しい時、不安な時、遠慮することなく連絡を取り、お互いを励まし合い、助け合ってほしいと思います。所商で出会った友人は間違いなく、みなさんにとって一生の宝物です。大切にしてください。

 最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間で立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。

皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

 結びに本日、このように第50回卒業証書授与式を保護者の皆様と共に挙行できましたことに感謝すると共に、224名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。

 

   令和3年3月12日

   埼玉県立所沢商業高等学校長

        鈴 木 啓 修

 

第3学期始業式校長講話

                      「グリーン・リカバリー」

新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?充実した時間を過ごすことができましたか?今回は例年とちがった年末年始だった人も多いと思います。またいろいろと我慢をしなければならないこともあったと思います。しかしまずは大きな事故もなく、こうして3学期が迎えられることを大変嬉しく思います。

 新型コロナについては、現状は大変厳しい状況にあります。全国的にも感染者の数は増えていますが、特に私たちが住む1都3県の状況は大変深刻です。医療体制もひっ迫しており、皆さんも知っているとおり、昨日1都3県に対して「緊急事態宣言」が出されました。今回は学校の臨時休業はありませんが、学校生活における感染防止対策について、教育委員会から細かい指示が出ています。のちほど担任の先生や部活の顧問の先生からお話があると思います。指示をしっかり守って生活してください。

 さて、皆さんにとって勿論目の前の状況を正確に把握しつつ、正しい日々の生活を送ることは大切ですが、そればかりにとらわれていると心が疲れてしまいます。皆さんのような若い人々にはもっと先、コロナが収束した後の世界について思いを巡らしてほしいと思います。コロナは必ず収束します。治療の方法も以前に比べてわかってきているしワクチンも開発されました。このワクチンが普及し、多くの人々に行き渡れば、いずれコロナは収束します。コロナウイルスがこの地球上から消え去ることはないでしょう。しかし少なくとも社会が、そして人々が新型コロナをインフルエンザと同じような病気と捉えるようになるでしょう。その時がコロナの収束ということです。

 コロナ後の社会をどう作っていけばいいのか。新型コロナウイルス感染の世界的な拡大という一見マイナスな現象を、どうプラスに変えていけばいいのか。勿論すでに世界で180万人以上の人が亡くなっている現状を見れば、人類史上大変な惨事であることは事実です。しかしアフターコロナを生きていく若い皆さんには、是非「長い視点と広い視野」を持って生きていってほしいと思います。「長い視点と広い視野」を持ってコロナ後の社会をどう作っていけばいいのか考えてほしいのです。その一つのヒントとなるのが、「グリーン・リカバリー」です。

 実はコロナの影響で経済活動がストップしたおかげで、二酸化炭素の排出が削減されました。前の年に比べて17%ぐらい削減されたという報告が昨年の4月に出ています。さらに1年間でみると7%から8%ぐらいの削減になるのではないかと言われています。年間7~8%のCO2の排出削減がどれぐらいすごいかといえば、2009年のリーマンショックの時のピークでも2%も削減しなかった。それと比べると7~8%の削減というのがいかに大きいかが分かります。コロナ禍は環境にとっては大きなプラスの面があったのです。新聞やテレビで「大気汚染が深刻なインドで数十年ぶりにヒマラヤが見えた」とか「イタリアのベネチアで緑色に濁っていた運河の水が透明になった」といったニュースをみなさんも目にしたことがあると思います。

 ではコロナが収束した後どうするのか。コロナが終わったから、とにかく経済を回復させなくちゃいけない。環境を気にしている場合じゃない、とにかく経済を回すのだ!となってしまうのか。それではまずいわけです。せっかく減ったCO2の排出が、リバウンドでもっと増えてしまうということになります。それでは元も子もない。

 そこで重要な考え方が「グリーン・リカバリー」です。時間がないのであまり詳しくはお話できませんが、簡単に言うとアフターコロナの復興において、現在の社会や経済システムを持続可能なものへ変えていく。単にコロナ前の状況に戻るのではなく、より良い復興に向けて経済と環境問題への対策と結び付けるということです。

 また大切なことは、「社会のアップデート」という考え方です。温暖化対策って「がまん」だと思っている人がまだまだ多い。夏の暑い日にエアコンを止めるとか、設定温度を上げて、汗をダラダラ流しながら地球のためだと言っても長続きしません。今回のコロナ禍で学んだことは、「がまん」は長続きしないということです。「社会のアップデート」とは、例えばエネルギーシステムなどの変換です。つまり石油、石炭、天然ガスでエネルギーを作るのをやめて、太陽光とか風力とかで作って、バッテリーなどもうまく活用して社会にエネルギーを供給できるようにする。そういう新しいエネルギー文明に移行すること。また車や飛行機に乗って移動しなくても、遠くにいる人と会議ができる。話をすることができる。それが「社会のアップデート」ということです。もうすでに今回のコロナ禍で、遠くにいる人と会議をすることが当たり前になりました。

 世界はこれから、そういった方向に進んでいくのは確実です。アメリカも政権が変わり「グリーン・リカバリー」に大きく舵を切るでしょう。ヨーロッパは、すでに進んでいます。日本政府もようやく、昨年の10月に2050年までに脱炭素化社会の実現を目指すと宣言しました。脱炭素社会への方向は今後かならず加速していきます。

 それでは、今日からみなさんは何ができるか。高校生の皆さんは大きなことを考えなくてもいい。無駄にエネルギー使わないとかリサイクルをちゃんとするなど、身近にやれる環境に優しいことから始めてください。でも一番大切なことは、今この「グリーン・リカバリー」という言葉を覚えて意識することです。なぜなら若い皆さんが、これからの世の中の方向性をしっかり理解し意識するということは、とても大切だと私は思うからです。そして自分なりにさらに勉強してみてください。これからの社会を担っていく皆さんの高い意識に期待したいと思います。皆さんが社会に出て、働き盛りの20年後、ガソリンで走る車がこの世からなくなっていることに驚かないよう今からしっかり意識して勉強してほしいと思います。

 では、今日から始まる3学期、いろいろな不便や我慢の状況が続くと思いますが、「長い視点と広い視野」を持って、アフターコロナを見据えて日々頑張ってほしいと思います。

 

 

第2学期終業式校長講話

                      「らしさ」について

みなさん、おはようございます。

 長かった2学期も今日で終わりです。8月25日から今日までの84日間、行事も一切なくひたすら授業ばかりの日々でした。また、毎日マスクを着けて生活し、休み時間も友達と大きな声で話すことができないなど、我慢をすることが多かったと思います。そして、このあと顧問の先生からお話があるかと思いますが、3学期も部活動の制限があります。まだまだ我慢しなければならない日々が続きます。是非みんなで気持ちを一つにして乗り越えていきたいと思います。

 しかし、そうしたいろいろと我慢を強いられる環境の中でも、皆さんは精一杯毎日の学校生活に取組んだと思います。火曜日に行われた体育館の発表会は素晴らしものでした。それぞれのエネルギー溢れる発表に本当に元気をもらいました。「やっぱり高校生は元気だな。」と安心しました。

 さて、今日は「らしさ」についてお話をします。皆さんもテレビなどで知っていると思いますが、長い長い選挙戦の末、ようやくアメリカの新しい大統領が決まりました。現職のトランプ大統領は敗れ、民主党のバイデンさんが来年の1月20日に新しいアメリカ大統領として就任します。この4年間トランプさんは、様々な混乱と分断をアメリカのみならず世界中に引き起こしました。人種差別問題で分断をあおり、移民に対して厳しくあたり、環境問題をないがしろにし、新型コロナ対策も真剣に取組みませんでした。またアメリカ第一主義を掲げ、中国をはじめイラン、EU、NATO、WHOなど様々な国や国際機関とケンカをしてきました。

 そうした4年間を見てきたアメリカ国民は、今回は新型コロナ対策に科学的に取組み、人種の多様性と融和を訴え、「国際協調主義」を掲げ、世界の国々と協力して行こうとするバイデンさんを新しい大統領に選びました。日本をはじめとして世界中の国々は、ちょっとほっとし、期待を持ってこれからのアメリカを見つめているところです。

 しかし今回の大統領選挙においては、こういった政策的な問題の他に、普通のアメリカ人がとても憂慮していたことがありました。それは「大統領らしさ」ということです。英語では、「presidential」といいますが、トランプ大統領はあまりにも「presidential」でない、大統領らしくないという問題です。そもそも王室のないアメリカは、大統領に品位や尊厳、思いやりなど、一国のリーダーとしてふさわしい人間性や資質を求めます。さらにアメリカは世界一の大国、世界のリーダーであるわけですから、それに相応しい振る舞いや言動を求められるわけです。しかし攻撃されればその倍返しで攻撃する。それも口汚い言葉で相手を罵倒する。そして人々を、社会を分断していく。選挙に負けてもそれを一切認めない。そんな人物がホワイトハウスにいることは、多くの普通のアメリカ人にとって耐えられないことです。私の知り合いのアメリカ人の多くは、「national embarrassment・国家の恥」だと言って嘆いていました。良識あるアメリカ人にとっては、このような世界のリーダーらしからぬ人物が自分たちの国の代表であることに本当に恥ずかしく思っていたのです。

 なぜこの話をしているかというと、私は、人は自分の地位や立場に相応しい言動、振る舞いをすることが大切だと思っているからです。政治家、会社の社長、警察官、お医者さん、学校の先生、それぞれの立場に相応しい「らしさ」が必要だと思います。私も若い頃は「らしくない」って「カッコいい」などと思ったこともありましたが、大人になり歳を重ねていくうちに、やはり「らしさ」は大切だと思うようになりました。我々にあてはめれば、先生は先生らしく、生徒諸君は高校生らしく振舞うことです。

 では、「高校生らしさ」とはどんなことでしょう。ここに一つのヒントがあります。先日私は所商のように就職する生徒が比較的多い高校の校長が集まる研修会に参加しました。その研修会では高校生を採用している、ある中小企業の社長さんの講演がありました。その社長さんは埼玉県の中小企業の経営者が集まる「埼玉中小企業家同友会」という組織に入っておられて、今回の講演のために、その組織に加盟する中小企業を対象にアンケートを実施しました。そのアンケートの中で「おたくの会社はなぜ高校生を採用するのか」という質問がありました。そして回答した会社のほとんどは「高校生は真面目に働いてくれるから」「素直に仕事の向き合ってくれるから」という答えでした。また「真っ白な状態なので育成しがいがある」という答えも多くあったそうです。私はこの話を聞いて「やっぱりな」と思いました。やはり企業が高校生に求める資質は「真面目さと素直さ」なんだなと改めて納得しました。

 「真面目さと素直さ」。これは「高校生らしさ」と一つの資質だと思います。勿論それだけではないと思いますが、とても大切なことなので心に留めておいてください。

私は元気にあいさつのできる「所商生」はとても「高校生らしい」と思っています。誇りに思っています。是非、これからも元気にあいさつをし、何事にも真面目に素直に取組む所商生であってほしいと願っています。

 最後に、今日はクリスマスイブです。クリスマスは隣にいる人を愛する日です。隣にいる人、家族、友人に優しい気持ちで接してほしいと思います。特に今年は皆さんのような若い人たちの慎重な行動が、周りの人の命を守ることに繋がることを意識して、家族と共に静かな冬休みを過ごしてください。

 

第2学期始業式校長講話

                         「ありがとう」という言葉

 みなさん、おはようございます。今日から令和2年度の2学期が始まります。まずは大きな事故もなく、今日こうしてみなさんが元気に登校できたことを本当に嬉しく思います。たぶん毎日、健康管理をしっかり行い、節度のある生活ができたからだと思います。有難うございます。

 例年より短い約3週間の夏休みはどうでしたか。やるべきことをしっかりやって充実した日々を過すことができましたか。夏休みにしかできない何か特別なことをやりましたか。運動部に所属する多くの3年生諸君は、最後の県大会を楽しみ良い思い出が作れたことと思います。気持ちを切り替えて、希望する進路実現に向けて頑張ってください。

 さて今日は「ありがとう」という言葉についてお話したいと思います。この夏休みに川越初雁高校に勤務する、私の知り合いの先生が、1年生に対してちょっと変わった宿題を出しました。それは「<ありがとう>をデザインする」という課題でした。この夏休み中に、誰かに「ありがとう」と言ってもらえることをするという課題です。「誰」に「何をして」その「結果がどうだったか」そして「やってみての感想」を1枚のレポートにして提出するというとてもシンプルな課題です。

 課題の提出は終わった人から Google Classroom に提出するという形だったようで、すでに提出されているレポートの感想の部分が、いくつか Facebook に載せてあったので、少し紹介したいと思います。

 「人から『ありがとう』だったり、感謝されるようなことをやるのは、自分も気持ちがいいし、される側も嬉しいと思うので、課題だからやるのではなく、こういったことを当たり前にできる人になりたいなと思いました。今回は自分の身の回りの知っている人だけど、いつかは自分の知らない人を助けたり、感謝されるようなことをしていきたいと思いました。すごくいい体験ができました。」

もう1つ紹介します。

 「計画を立ててありがとうと言ってもらう課題でしたが、やはり相手のために何かをして『ありがとう』と言ってもらうと、とてもいい気分になりました。今回の課題をとおして改めて思ったことがあります。それは常に自分のことだけでなく相手のことを考えながら行動することで、お互いに、いい気持ちになり、距離感や信頼感が深まる最高のことだなと思いました。これからも相手から「ありがとう」と言われる人でいたいと思います。」

 どうですか。

「ありがとう」という言葉は人を嬉しい気持ちにする、不思議な力があることがよくわかる感想文です。

 先週、就職を希望する3年生と模擬面接をしました。15人ぐらいの生徒と面接練習をしましたが、その中に老人の介護施設で介護の仕事を希望している生徒がいました。私は「介護の仕事はよほどの覚悟がいると思うけど、どうして介護という仕事を希望するのですか。」と尋ねました。するとその生徒は、「介護士の知り合いから『介護の仕事は本当にきつくて大変だけど、お世話をしている老人から『ありがとう』と言われると、それまでの苦労が全て報われた気持ちになりやりがいを感じる』という話を聴いて、自分もそんなやりがいのある仕事をしたいと思ったからです。」と答えていました。

 教員である私は、そのお話はよく理解できました。我々教員という仕事も同じです。いくら頑張ってもべつに給料が増えるわけでもなく、ただきみたち生徒の成長する姿を見ることや、君たち生徒から「ありがとうございます。」と言われることをやりがいに毎日、頑張っています。

 介護士や教員にかぎらず、この世の中の全ての仕事は社会貢献であり、多くの人の「ありがとう」のためにあると思います。みなさんが将来、社会に出て多くの人に「ありがとう」といわれ、また多くの人に「ありがとう」と言える自分の姿を想像してみてください。きっと毎日を笑顔で暮らせていると思います。お金や地位を得るよりも、そんな笑顔で暮らせる毎日が本当の幸せなのかもしれません。

 コロナ禍でイライラしている人が多いように感じます。是非この2学期は、人から「ありがとう」と言ってもらえることをしてみましょう。また「ありがとう」と言う練習をしてみましょう。きっと毎日を笑顔で過ごせると思います。

 2学期は大きな行事もなく、淡々と授業が行われます。しっかり授業に取組み、あまり授業ができなかった1学期の分を取り返してください。そして毎日、笑顔で過ごしてください。

 以上で、お話を終わります。

 

第1学期終業式校長講話

                          「コロナに打ち勝つ」

 みなさん、おはようございます。6月から分散登校が始まり2か月、令和2年度 1学期が今日で終了します。例年と全く違ったこの1学期、みなさんはいろいろなことを考えたり、また、いろいろなことを感じたと思います。

 1年生諸君、4月8日に入学式を迎えたあと約2か月、学校に来ることができませんでした。君たちにとっては所商生になることを2か月間、待たされたことになります。例年なら先輩との対面式、新入生オリエンテーションや歓迎会など、様々な行事をとおして新入生として迎えられ、また5月の遠足でクラスの親睦を深め、所商生としての生活をスタートしていくわけですが、今年はほとんど何もないまま授業が始まってしまいました。所商生としての心の準備ができないままのスタートだったかもしれません。それでもここまで君たちは本当によく頑張ってきたと思います。

 2年生諸君、可愛い後輩も入学し先輩として部活や学校行事で、中心となって頑張ろうと張り切っていたと思います。しかし学校生活の全てが例年と全く違ってしまい、悔しい思いもしたと思います。今後も行事の中止などで例年通りにはいかないけれど、君たちには学校の中心として活躍してほしいと思います。また10月に予定されていた修学旅行は2月に延期になりました。しかしコロナの感染状況によっては、中止になる可能性はゼロではありません。2年生諸君には、そういった最悪のシナリオも頭の隅に置いておいてください。

 そして3年生諸君、日々忙しいと思います。特に就職希望の人は時間のない中、希望する企業を決め、すぐに企業見学が始まります。しっかりと準備をして臨んでほしいと思います。また部活動については、多くの種目で8月に3年生のための最後の県大会が開催されるようです。是非、精一杯、楽しんで良い思い出を作ってください。また、文化祭・体育祭も中止です。文化部を中心に発表の場がなくなってしまった生徒諸君は、大変悔しい思いをしていることでしょう。でも生徒会の先生方が11月、12月に発表の場を設けてくれるようです。それまで進路実現に向けてしっかり努力し、発表の場では思いっきり楽しんで良い思い出を作ってください。

 みなさんに今日、お話したいことは「コロナに打ち勝ってほしい」ということです。コロナに打ち勝つとはどういうことか?それは「コロナのせいで」と言わないことです。「コロナのせいで」と言ったら、その瞬間にコロナに負けたことになります。例えば1学期の成績があまり振るわず赤点を取ってしまったとします。それを「コロナのせいで勉強に集中できず赤点取ってしまった」と言ったら、それはコロナに負けたことになるのです。コロナのせいにしないでください。みなさんには「コロナで大変だったけど何々ができた」と言える結果を出してほしいのです。「コロナで大変だったけど就職活動をがんばって第一志望の企業に就職できた。」また「コロナで大変だったけど、頑張って勉強して目指す検定に合格できた。」このように言えることが「コロナに打ち勝つ」ということだと思います。

 皆さんには、人類がこの新型コロナウイルスを克服したのちにも、長い人生が待っています。皆さんの長い人生にとっては、今起きていることは、ほんの一瞬の出来事かもしれません。将来、このコロナ禍を振り返った時「コロナのせいで」とその時の自分を嘆くことぐらい、悲しく悔しいことはありません。将来、振り返った時「コロナで大変だったけど今の自分の生活は充実している。」と笑って言える、できれば「コロナのおかげで今の自分がある」と言えることが本当に「コロナに打ち勝つ」ということだと思います。今のこの状況はしばらく続くと思います。しかし、このコロナ禍を長期的な視点で捉え、いつか来るアフターコロナの時にみなさんがどのような生活を送っているかが、実は一番大切なのです。

 では将来、「コロナのおかげで今の自分がある」と笑って言えるようになるために、どうしたらいいか? それは結局今この瞬間、やるべきことを、毎日、毎日しっかりやることしかないのです。特別なことではありません。逆に今コロナのせいにして日々の努力を、おこたっていればコロナに負けることになります。皆さんが将来大人になり、この100年に1度の地球規模の困難を乗り越えた時「コロナのおかげで今の自分がある、今の社会がある」と笑って言えるために、今を精一杯生きてほしいと思います。

 最後に、所商の先生方はみなさんが「コロナに打ち勝てる」ために、全力でサポートしていきます。心配なこと不安なことがもしあれば、遠慮なく先生方に相談してください。きっと力になってくれると思います。

 それでは、例年より少し短い夏休みですが、やるべきことをしっかりやって充実した日々を過ごしてください。そして8月25日、みなさんが元気に登校してくることを楽しみにしています。

 

令和2年度第52回入学式校長式辞

                                    式  辞

 ただいま入学を許可いたしました218名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。教職員一同、みなさんを心から歓迎いたします。新型コロナウイルスの感染拡大のため、今年の入学式は、保護者も来賓もいないという異例な形での挙行となりました。しかし、教職員だけでも、こうしてみなさんの入学をお祝いできることは、大きな喜びであります。

 さて、いよいよ本日から3年間の高校生活が始まります。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面の間は臨時休業が続いたり、例年実施している学校行事が中止や延期になったり、しばらくの間はいろいろ我慢しなければならないことがあると思います。しかし、これから始まる三年間をしっかり見据えて、今日から気持ちを新たにスタートしてほしいと思います。この3年間は皆さんの将来を決定づける、大切な3年間であると言ってよいでしょう。そのスタートとなる入学式にあたり、私から2点お話をします。

 1つ目は「大きな夢と高い志を持ってほしい」ということです。自分の人生を切り拓き夢を実現していくためには、皆さん一人ひとりが学力は勿論、肉体的にも精神的にも大きく成長しなければなりません。自分が将来「こうなりたい」という明確な理想像を描き、それに向けて日々精一杯努力して欲しいと思います。この3年間、しっかり努力すれば資格取得でも部活動でも大きな成果を得られることは、本校の多くの先輩方が証明しています。その原動力が「大きな夢と高い志」です。先生方も、全力で皆さんを応援します。是非、多くのことに積極的にチャレンジしてほしいと思います。

 2つ目は、「多様な価値観を認める」ということです。グローバル社会、グローバル人材という言葉を聞いて「私には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかしそうではありません。今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もグローバル化がもたらした一つの現象です。また日本の社会における「内なるグローバル化」は確実に進んでいます。現在、我が国には約283万人の外国人が暮らしています。また埼玉県内の外国人も増え続け、令和元年6月末で18万9千人、県の人口に占める割合は2.6%となり約50人に1人は外国人です。今は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時的に世界の人の動きは止まっていますが、来年の東京オリンピック・パラリンピックが開催される頃には、再び世界中から多くの人々が我が国を訪れ、このスポーツの祭典をみんなでお祝いすることになるでしょう。また、みなさんが社会に出るころには、外国人と働き共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ち、オープンな心で接し理解しようとする態度を養ってほしいと思います。近い未来、世界中から集まる人々と共に、平和で豊かな多文化共生社会を築いていくのは、まさにみなさんなのです。

 結びに、今みなさんが抱いている新鮮な気持ちと緊張感をいつまでも忘れずに、全てのことに全力で取り組み充実した高校生活を送ることができますよう念願し、式辞といたします。

                                                      令和2年4月8日

                                                      埼玉県立所沢商業高等学校長

                                                      鈴 木 啓 修

 

第49回卒業証書授与式 式辞

                                     式  辞

  只今、卒業証書を授与された229名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。入学以来3年間の努力が実を結び、めでたく卒業するみなさんに心からお祝い申し上げます。本来なら、ご家族の皆さん、在校生、そして来賓など多くの方々と共に、みなさんの門出をお祝いすべきところですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、今回は卒業生のみなさんと教職員だけの卒業式となりました。みなさんにとっては、これまで支えてくれたご家族の方々や、共に所商生活を過ごした後輩たちに、この晴れ姿を見てもらえないことは、大変残念なことだと思います。しかし、こうして教職員だけではありますが、皆さんの卒業をお祝いすることができて幸いであると感じています。

 みなさんにとって大きな節目であり旅たちの日である卒業式に、はなむけの言葉として、私から一つだけお話したいことがあります。それは、「しなやかに生きる。」ということです。今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、この卒業式だけではなく、我々の生活や社会に大きな影響を与えています。新しい年度に向けた様々な説明会や研修会、入学式や入社式の中止。楽しみにしていたイベントの中止や延期、また業種によっては仕事がなくなり収入が大きく減ってしまっている人もいると思います。「コロナウイルスのバカヤロー」と叫びたくなるかもしれません。しかし、いくら叫んでみても状況はなんら変わりません。目の前にある現実をしっかり受け止め、しなやかに、そして粛々と前に進んでいくしかないのです。その点でみなさんは、もうすでにその能力を見事に発揮してくれました。おととしの修学旅行。初日の台湾行きの飛行機が整備不良で飛ばず、急遽、千葉県の白子に一泊しました。旅館が決まるのにも時間がかかり、到着したのはかなり遅い時間で、寒くておなかもすいていました。旅館が用意してくれたおにぎりの味は今でも忘れないと思います。次の日の朝は空港に向け5時に出発と、かなりハードなスケジュールでした。それでもみなんさんは、文句一つも言わず、我々教職員の指示に粛々と従ってくれました。実にしなやかに対応してくれました。本当にみなさんの態度・行動は立派でした。台湾での最後の夕食の時、私はどうしてもみなさんにお礼が言いたくてマイクを持ちました。あの時は感謝の気持ちと感動で胸が熱くなったことを覚えています。

 これからの長い人生で、全く予期しなかった不都合な出来事が何度も起こることでしょう。自分の責任ではない不可抗力が、みなさんの行く手を阻むかもしれません。そんな時、怒ったり諦めたり後ずさりするのではなく、冷静にしなやかに粛々と前に進んでいってほしいと思います。みなさんには、その資質と能力があるのです。自信をもって前に進んでほしいと思います。

 結びに、本日出席が叶わなかったみなさんの最大の理解者、これまで見守ってくれたご家族への感謝の気持ちを、自宅に帰ったら是非、言葉にしてほしいと思います。そしてここにいる229名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念し、式辞といたします。

 

                                                               令和2年3月13日

                                                               埼玉県立所沢商業高等学校長

                                                                     鈴 木 啓 修

 

2月全校集会校長講話

                                  やるべきことをやる

 早いもので、2月の全校集会を迎えました。皆さんも気づいていると思いますが、3年生が今日から家庭研修に入りました。3月13日の卒業式を含め、あと3回しか登校しません。ということは、今日からここにいる1、2年生諸君が学校生活の中心になるわけです。あと2か月もすれば、2年生諸君が最上級生になり、1年生は2年生になり学校の中心として活躍することを期待されます。また、1年生が入学してきて、君たちは先輩になるわけです。時の流れを感じます。

 時の流れを感じる時に大切なことは、自分自身の成長を客観的に振り返ることです。この1年、時が流れていく中で、自分がどれだけやるべきことができたかを振り返ることが大切です。先月の始業式で私は、好きなこと、やりたいこと興味あることにチャレンジし体験してほしいと話しました。しかし、やりたいことをやるためには、まずやるべきことをちゃんとやらなければなりません。やるべきこともやらないで、やりたいことだけやっていたら、それは単なるわがままであり、成長はありません。やるべきことをやらないで成長はないのです。遅刻をしないで学校に来る。あいさつをする。人の話を聞く。授業をしっかり受ける。宿題や課題をしっかりやる。提出物はちゃんと出す。ちゃんと掃除をする。部活を一生懸命にやる。校則を守る。そういった当たり前のやるべきことをちゃんとやることが大切です。最近、そういった当たり前にやるべきことができていない人が少なからずいると聞いています。そういった人がこの中にいるとしたら、非常に残念なことです。是非、改めてください。

  やるべきことを日々ちゃんとやることで、皆さんは成長し、ちゃんとした2年生、3年生になれるのです。あと2か月、立派な2年生、3年生になれるよう日々やるべきことをしっかりやり、毎日を大切に過ごしてください。

3学期始業式校長講話

                                 体験して感じる

 

 新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?楽しく充実した日々を過ごせましたか?まずは大きな事故もなく、こうして3学期の始業式が迎えられることを大変嬉しく思います。

 2020年、令和2年という年を迎えたわけですが、この新しい年の最初の講話にあたり、今日は「体験して感じてほしい」という話をしたいと思います。 

 昨年の3月に現役を引退したイチローさんのことは皆さんもよく知っていると思いますが、彼が12月22日に、故郷の愛知県、豊山町で自身が大会会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席しました。引退したことで、オリックス時代の1996年から続いたこの大会は24回目の今回が最後の大会となりました。その閉会式でイチローさんは、少年たちに最後のメッセージを送りました。彼は次のような話をしました。

「今は、調べればいろいろなものが分かる時代になった。世界が小さくなったように思えるけど、僕が28歳で米国に渡って大リーグに挑戦し、調べれば知識として分かることであっても、外に出て初めて分かることがたくさんあった。傷つくこともあるし、楽しいことだってある。ただ知識として持っているのではなく、体験して感じてほしい。そういう経験を将来みんなにしてほしい。あって当たり前のものは、決して当たり前ではないと気付く、価値観が変わる出来事をみんなに体験してほしい。28年のプロ野球生活を終えて僕が強く感じていることなので、ぜひみんなに覚えておいてほしいと思います。」

 ここで彼が伝えたかったことは、「とにかく実際に体験して感じてほしい」ということです。皆さんはスマホを片手に、自分の知りたい情報を簡単に入手できる時代に生きています。インターネットのおかげで、世界中で今、何が起きているかを瞬時に知ることができます。しかしインターネットで情報を得るということと、実際にその場で体験し感じることとは大きな違いがあります。その場で体験し感じるという経験は、時には人生を大きく変えるほどのインパクトがあると思います。

 私は所商に赴任する前、国際協力機構(JICA)という組織に2年間、研修に出ていました。その2年間で様々な開発途上国に行かせてもらい、実際にその国の空気を吸い、そこに住む人々と話をし、多くのことを感じることができました。まさしくそれまで当たり前だと思っていたことが、決して当たり前でないと気付くことが多くありました。本当に貴重な経験であったと思っています。

 2年生、3年生諸君も沖縄、台湾に修学旅行で訪問し、それぞれの現地で感じたことが多くあると思います。そういった直接の体験をとおして感じたことは、スマホで得た情報とは全く違うと思います。本当の体験は皆さんが心と体で感じるものであり、価値観を大きく変える経験になるかもしれません。

  是非、今年はいろいろな体験をしてほしいと思います。それは旅行をするということだけでなく、自分の足を使って現場に行って直接、見たり聞いたりして体験することです。美術館や博物館に行くのもいいでしょう。コンサートやライブに行くのもいいでしょう。生の体験をしてみることです。

2020年は夏に東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。日本にいながら、一生に一度の経験かもしれない素晴らしいイベントが体験できるのです。世界中からたくさんの人々がやってきます。是非、何らかの形でオリンピック、パラリンピックを体験してほしいと思います。

 それでは3学期、いろいろなことを体験し成長してください。

 

2学期終業式校長講話

「エシカル消費」

2学期も今日で終わりです。9月から4ヵ月の学校生活はどうでしたか?自分が満足できる生活が送れましたか?先日の成績会議で2学期は1学期に比べ、成績不良者が増えたという報告がありました。非常に残念なことです。特に1年生の欠点保持者が大幅に増えたということです。高校は、やるべきことをやらないと進級、卒業ができないということを改めて認識してほしと思います。そしてこの冬休みには、生活習慣を改め、しっかり勉強をして3学期に取り戻してほしいと思います。

さて今日は「エシカル消費」ということについてお話したいと思います。

私たちは、日々、生きるため、また充実した生活を送るため、ものを買ったり、食べたり、使ったり、何らかの消費をしています。我々は、だれもが消費者です。そして消費は経済活動の基本です。皆さんが専門として学んでいる商業、ビジネスは消費者の消費行動が基盤となって成り立っているわけです。しかし消費行動というものは、多かれ少なかれ地球環境に負荷をかけています。誰かが物を作り、それを流通、販売し、そして誰かがその物を買い、使う、このサイクルを回すためには、大きなエネルギーが使われているわけで、地球に負荷をかけているのです。しかし地球環境に負荷をかけているからと言って、我々は消費行動をやめることはできません。私たちは生きている限り消費はやめられないのです。

ではどうしたらいいか?そこで今日考えてほしいことが「エシカル消費」です。「エシカル」とは英語で「倫理的な」という意味で、「倫理的消費」とも言われます。法律の縛りはないけれども多くの人が正しい、倫理的であると思う規範に基づいて消費することです。

もう少し具体的に言うと、皆さんが買い物でどれを買うか選ぶとき、価格、品質、安全性のほかに、その商品がどのようにして作られたかといった背景、例えばどこで作られたものか、誰が作ったものか、どのような流通経路で今、私の手元にあるのかなど考えることです。また、その商品を買うことで世の中にどんな影響があるか、「これを選んで消費することは環境や貧困、人権問題、地域社会などにとっていいことなのかな?」と立ち止まって考えること、想像してみることです。

もしかしたら、その背後には劣悪な環境で長時間働く生産者や、貧困のために学校に行けず、強制的に働かされている子どもたちがいるかもしれません。また、美しい自然や、そこに住む動植物が犠牲になっているかもしれません。そんなことを想像して商品を選ぶ、人間や社会、地球環境、地域社会に配慮した商品を購入すること、それが「エシカル消費」です。消費はするけれど、少しでも地球環境に負荷をかけず、社会を持続可能にしようとすることが「エシカル消費」です。 

例えば、洋服を買う時、化学肥料は使わず、有機肥料の土壌で育てられたオーガニックコットンの服を買うことです。少し値段は高いかもしれませんが、環境に優しく、また、そのコットンを育てた農民を守ることになるのです。

エシカル消費には、その他「フェアトレード」や「リサイクル商品」「障害者支援につながる商品」「被災地の産品」「動物実験をしていない化粧品」「地産地消」など幅広い消費の形があります。どれも環境や人間、地域社会や動植物などに配慮した想像力豊かな消費行動だと思います。もっと簡単な例を言えば、スーパーに行って、消費期限の短い商品をあえて買うなんていうのも、とってもエシカルですね。

 是非、皆さんのような若者が、豊かな想像力を発揮して、持続可能な社会に貢献できる倫理的な行動をしてほしいと思います。今日は消費についてのお話をしましたが、その他にも持続可能な社会のためにできることは沢山あると思います。昨日、お話のあった年金もそうです。年金制度はみんなで支え合う優しい制度です。持続させなければなりません。また、そのほかに例えば献血をする、地域の清掃活動に積極的に参加するなど、君たち高校生が、やれることは山ほどあると思います。想像力を働かせ、アンテナを高くし、世の中のためになることを積極的にチャレンジしてほしと思います。

今日は、クリスマスイブです。クリスマスは隣にいる人を愛する日です。隣にいる人、家族、友人、そして地球の裏側にいる人々にも思いを馳せ、想像力を働かせ、優しい気持ちで過ごしてほしいと思います。

それでは、1月8日に元気に登校してください。

 

11月朝礼校長講話

「〇〇のはずだ」のワナ

 

 みなさん、おはようございます。

 早いもので11月になりました。10月は色々なことがありました。特に台風19号や10月25日の豪雨では県内でも川が氾濫し、多くの人々が被災しました。被災された方々には、一日も早く元通りの生活に戻れるよう祈りたいと思います。11月は穏やかな月になってほしいと思います。

 また、10月には大変、嬉しいニュースもたくさんありました。その1つとして、ノーベル化学賞に吉野彰さんが、リチウムイオン電池の発明者の1人として受賞したことです。我々日本人にとって、大変嬉しい勇気づけられるニュースでした。

 しかし今日は、ノーベル経済学賞の話をしたいと思います。日本ではあまり報道されませんでしたが、今年のノーベル経済学賞は、マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー教授、エスター・デュフロ教授、そしてハーバード大学のマイケル・クレマー教授の共同受賞でした。この3人は、発展途上国での貧困問題について、実証実験によって具体的な解決策を示したことが評価されました。

 これまでにも、貧困問題に関する研究でノーベル経済学賞を受賞した研究者はいますが、この3人が最も画期的だったことは、「ランダム化比較試験」という手法を取り入れたことです。この「ランダム化比較試験」というのは、医薬品開発での動物実験などで使われる試験です。具体的に言うと、ある薬を与えた集団と与えない集団とで、どういう違った結果が出るか客観的に実験する方法です。これを貧困問題の解決に応用したのです。

 この手法を貧困対策に応用すると、例えば子供たちが、なかなか学校に通うことのできない貧しい村で、ただで給食を提供するグループと、そうでないグループを比較し、どちらのグループでより多くの子供たちが学校に通うようになるか、という実験を実際に行って、その結果を比較、検証するということです。

  3人の受賞者は、このような試験を多く実施することで、とても興味深い結果が得ました。例えば寄生虫を駆除するための薬を配ったり、親に教育の大切さを教育するほうが、お金や制服を配るより学校に通う子供の数が圧倒的に増えたということが、ケニアの小学校での実験で明らかになりました。これは意外ですよね。お金や制服、教科書を与えるほうが学校に行く子どもが増えるように思いますよね。しかし実験の結果はその反対でした。

 これまでの発展途上国への援助や貧困対策は、「こうすればこうなるはずだ」という思い込みが我々先進国すなわち与える側にありがちでした。「お金や物を、たくさん援助してあげれば、貧困は減るはずだ。減らないとしたら、その国の政府が悪いか、その国の人々が怠け者なのだ。」などと与える側である私たちの傲慢な態度も、しばしば途上国援助の分野では見られました。しかし、この3人は実験の結果を通して、エビデンス、すなわち科学的根拠を世界に示したのです。思い込みでなく「こういう実験をしたらこういう結果が出ましたよ。」と世界に示したのです。この功績は、これからの途上国援助、貧困対策の改善に大きな影響を与えていくと思います。

 このことを通して皆さんに伝えたいことは2つあります。一つ目は、思い込みではなくエビデンス、科学的根拠をもとに物事を判断してほしいということです。例えば、皆さんが将来、お店を経営するとします。商品に消費税込みの価格を表示するか、消費税抜きの価格を表示するか決めなければなりません。どうしますか?多くの人が、「消費税込みの方がわかりやすくていいや」と思うかもしれません。しかし実は、アメリカのある研究者がこの「ランダム化比較試験」を活用して「消費税などの税の表示が販売にどう影響するか」という実験をしました。その結果は「税込みで表示すると税抜き表示の場合に比べ8%売り上げが下がる」というものです。つまり税抜き表示のほうが売れるという結果が出たのです。

 今や、この「ランダム化比較試験」は行動経済学をはじめ、多くの分野で活用されています。皆さんの中にも将来、大学で経済学や経営学を学ぼうと考えている人もいると思います。是非、実証実験によるエビデンス、科学的根拠を大切にする人になってください。

 ふたつめは、世の中であまりニュースにならないことも注目してほしいということです。ノーベル化学賞の吉野さんは大きく報道されましたが、ノーベル経済学賞は、日本ではほとんどニュースになりませんでした。しかし今回の授与は長いノーベル経済学賞の歴史にとって画期的な出来事です。また今後の経済学全体の方向性も大きく変える受賞であると言っていいと思います。

 世の中には情報が溢れています。テレビは勿論、ネットやSNSなど様々な媒体からニュースを得ることができます。しかし、意外と偏った情報が多いのです。ものすごく大切なニュースが日本では報道されないことも多くあります。是非、アンテナを高くし、自分の興味・関心・感性にピピっとくる情報を敏感にキャッチしてほしいと思います。

 これから秋が深まり、過ごしやすい季節がやってきます。3年生諸君は進路が決まっていく人が増えていくと思います。しっかりアンテナを高くして、自分にとって必要な情報をキャッチし、卒業後に向けて、今から準備を始めてください。

 

10月朝礼校長講話

異なるものへのリスペクト
 
 早いもので10月になりました。こらからいよいよ秋が深まってきます。秋と言えば、「実りの秋」という言葉があります。これまで、精魂を込めて育ててきた作物が実を結び収穫の時期を迎えるという意味です。

 これは君たちの所商生活でも言えることです。春から勉強、部活、学校行事と様々な場面で努力してきたことがいよいよ実を結ぶ、目標にしてきたことの結果が出る季節です。特に3年生諸君にとっては、3年間、コツコツと努力してきたことが実を結ぶ時です。それぞれにとって実り多き2学期になるよう努力してください。

 さて、いよいよラグビーワールドカップが始まりました。日本は初戦、ロシアに勝ち、優勝候補のアイルランドにも見事に勝利し、日本中がにわかに盛り上がっています。11月2日までの大会中、日本全国の12の開催都市で試合が行われ、これまでになかったラグビーに対する注目と盛り上がりを目の当たりにしています。また、この大会を観戦するため40万から50万人の人々が海外からやってきます。所沢市の人口が34万人ですから所沢市の人口より多い人々が日本にやってきます。とてもワクワクする1か月ですね。

 ところでみなさん、今回の日本代表には何人の外国出身の選手がいるか知っていますか。31人中15人です。なんと約半分が外国人選手です。日本代表チームの半分が外国人ということに違和感を持つ人は世の中にはいるようです。ネット上を見ると結構、批判的な意見も見られます。たしかに他のスポーツではあまりないですよね。調べてみたのですが、サッカー、野球(WBC)、バスケットボールなどの日本で人気のあるスポーツのほとんどの日本代表選手の条件には日本国籍を持っていることとありました。

 しかしラグビーの代表選手の条件は大変ゆるく国籍は要件ではありません。日本に継続して3年以上住んでいれば日本代表選手になれます。これはラグビー独特のルールで、その理由はラグビーの普及の歴史にあります。ラグビー発祥の国であるイギリスが世界中に植民地を持っていましたが、イギリスは植民地や元植民地中心にラグビーを広めていきました。そしてイギリス人はどこの国に行ってもその国の代表になれるようルールを決めたことがこの独特なルールの由来です。ですから日本だけでなく今回のワールドカップに参加している国のチームのほとんどが10人程度の外国出身選手を抱えています。ラグビーでは普通のことなのです。キャプテンのリーチ・マイケルもトンプソン・ルークも自分を育ててくれた日本のため、桜のジャージのために長年にわたり、体を張ってくれています。

 私はこのラグビーの文化が好きです。また、これからの日本の社会に根付いてほしい文化だと思っています。そしてこれからの日本の社会の在り方を示しているように感じます。前にもお話しましたが、これからの日本の社会は、日本人だけでは成り立たなくなります。我々が直面している深刻な人手不足が解消されなければ、これまでのような豊かな社会を持続することはできません。外国人の手を借りないと乗り越えられないのが現実です。日本に働きに来る外国人は、勿論、自分のため、祖国の家族のために働きに来るのでしょうけど、我々からすれば彼らは日本の社会を持続させるために働いてくれているのです。

 外国人との共生は、お互いの文化、習慣を理解し尊重することから始まります。今回のワールドカップで多くの外国のチームが試合後に観客にお辞儀をする姿が話題になっています。オールブラックスが始めたようですが、彼らは日本の観客の声援とおもてなしへの感謝を日本のお辞儀という形で敬意とともに伝えたいと言っていました。また日本では、まだ受け入れられない、タトゥーについても外国の選手は試合以外の場所ではなるべく隠すようにしているそうです。サモアの主将ジャック・ラム選手がこんなことを言っています。「タトゥーは僕たちの文化に根付いている。しかし日本は違う。僕たちは日本にいる。日本の文化に敬意を払わなければいけない」

 日本に来る外国人は日本の文化・風習を理解し尊重する。日本人は外国の文化・風習・宗教などを理解し配慮して受け入れる。これこそがこれからの日本が目指す多文化共生社会に必要な文化ではないかと思います。

それでは、皆さん、それぞれにとって実り多き2学期になることを祈っています。

2学期始業式校長講話

スポコン?

 おはようございます。まずは、大きな事故もなく、皆さんが元気に今日、登校してくれたことを大変嬉しく思います。

 さて、今日から2学期がスタートします。2学期は、文化祭や体育祭、また2年生諸君の修学旅行など学校行事が盛沢山です。各部活動も、2年生中心の新しい体制で、日々頑張っていると思います。学校の外を見てみると、いよいよアジアで初めて開催されるラグビーワールドカップが9月20日から始まります。その他、現在中国で開催されているバスケットボールのワールドカップをはじめ、様々なスポーツの世界的な大会が開催され、来年の夏の東京オリンピック・パラリンピックに繋がっていきます。この秋から来年の夏までもしかしたら一生で一度しか体験できないようなスポーツのビッグイベントが、つぎつぎと開催されるわけです。

 ところで、皆さんはスポーツに関する法律があるのを知っていますか?それはスポーツ基本法という法律です。スポーツ基本法は平成23年に成立した法律で、それまでの学校教育などを通じてスポーツの普及を目指すスポーツ振興法を全面的に改訂したものです。この法律では、国民生活におけるスポーツの重要性に触れ、スポーツ立国の実現をめざすと謳われています。

 この法律には前文があり、その最初の一行にこの法律のスポーツに対する理念が書かれてあります。それは、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」ということです。そして、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない。」とすべての人にスポーツを楽しむ権利を認めた「スポーツ権」を謳っています。また、「スポーツは、次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼすものである。」とあります。ようするにルールとフェアプレイの精神を守り、勝敗にかかわらず他者を尊重する態度が基本姿勢であるとこの法律は定めています。

 ところで皆さんは「スポ根」という言葉を知っていますか?スポーツに根性の根を合わせた言葉です。精神論を振りかざし、非科学的な過酷な練習をして、不屈の闘志と根性で乗り越えていくことに価値を置く世界です。私が高校生の頃は、まさしくスポ根の時代でした。テレビドラマや漫画の世界もスポ根ものが人気でした。皆さんは知らないと思いますが「アタックナンバーワン」や「巨人の星」「柔道一直線」などがその代表作です。実際、私の経験でも部活動では、練習中は一切、水を飲んではいけない、体調が悪くても部活を休めない、先生、先輩の言うことは絶対服従という世界でした。私は風邪で咳が出ていても部活を休めず、気管支炎になってしまったこともありました。

 しかし今はそういう時代ではありません。8月27日の読売新聞に武藤芳照さんという人の「スポーツ界にも法令順守教育」という投稿がありました。この人はスポーツ・コンプライアンス教育振興機構という組織の代表理事で東京大学の名誉教授です。武藤さんによると、今の「スポコン」とは「スポーツ・コンプライアンス」のことであると言っていました。社会規範にのっとり公正にルールを守り物事を行うことを意味するコンプライアンス、すなわち法令順守の精神が大切であるということです。体罰やしごき、非科学的で理不尽な決まり事などはこれからのスポーツから排除しなければならないと武藤さんは強く主張しています。

 皆さんはこれからの長い人生、スポーツとおして心と体の健康を維持し長生きしていく時代に生きています。今日、お話しした、「スポーツ基本法」の理念を頭に入れてスポーツを楽しんでください。もちろん、自己の技術の向上や心身の成長のためには限界を乗り越えなければいけない時、スポーツ基本法の前文にある「克己心」、すなわち自分自身の欲望や甘えに打ち勝つ精神を養うことも必要であると思います。しかしそれは、あくまでも「自発性の下」であり自分自身が努力し成長しようとする意志を持つことが大切です。このことは、スポーツに限らず、あらゆる場面で必要な姿勢であると私は思います。 

 今日から2学期が始まります。勉強、部活動、学校行事などあらゆる場面で、他者を尊重し、他者と協同し、公正さと規律を尊ぶ態度や、自分の甘えに打ち勝つ精神を培ってほしいと思います。

1学期終業式校長講話

             誰がいい学校にするのか?

 今日で令和元年度1学期が終了します。皆さん、1学期はどうでしたか?満足できる時間を過ごしましたか?目標に向かって努力し、達成感を得ている人もいるでしょうし、そうでない人もいるでしょう。それぞれの成果と課題をしっかり見つめなおし、2学期に向かってください。特に成績で思いどおりにいかなかった人はしっかり反省し、この夏休みに軌道修正をして取り戻してください。また、部活動を引退する3年生諸君は、部活動で学んだこと、経験を活かして、これからの進路実現に邁進してください。

 さて、今日は「誰がいい学校にするか」についてお話します。

  私は校長として1年と4か月、所沢商業高校をいい学校にしたいと願ってやってきました。中学生にとって「是非、行きたい」と思ってもらえる学校、保護者に「是非、行かせたい」と思ってもらえる学校。地元の人たちにも「是非、応援したい。」と思ってもらえる学校になってほしいと思ってやってきました。先生方も同じ気持ちだと思います。皆さんにとっても自分の母校ですから「所商っていい学校だね」と言ってもらえばうれしいと思います。

 それでは、誰が所商をいい学校にすることができるのでしょう。正直言って、校長の力は微力です。私一人では何もできません。先生方も日々がんばっていますが限界があります。もう答えはわかっていると思いますが、所商をいい学校にできるのは、ここにいる697人の生徒です。皆さん一人ひとりです。

 世間から評価される目に見える実績、例えば進路実績、資格取得の実績、また部活動の実績、先生方は後方支援はできますが、実際に実績を作るのはここにいる皆さんです。

 そしてこうした目に見える実績は所商に対する世間の評価にとって大切ですが、それと同じぐらい、いや、もしかしたらそれより大事なことがあります。それは皆さん一人ひとりの振る舞いや人格かもしれません。

  埼玉県の東部に庄和高校という県立高校があります。5月11日の午後、庄和高校の3年生男子4人が東武線の踏切内で、自転車ごと倒れ、動けなくなっている老人をとっさの判断で救いだしました。警報機が鳴り、遮断機が下り始めている中、非常停止ボタンを押して老人を踏切の外に救出しました。その後、春日部警察からこの4人の生徒に感謝状が贈られ、大きく新聞などに報道されました。これを見た県民は、「勇敢で親切な高校生だ。庄和高校はいい教育をしているのだろう。」と学校を高く評価します。

  本校でもこの庄和高校のような新聞に載る話ではありませんが、同じような嬉しいことがありました。先日、ある会合で地元のスクールガードリーダーのボランティアをやっているおじさんに話しかけられました。スクールガードリーダーは、毎朝、小中学生の通学路に立って交通安全を見守る人たちです。そのおじさんは、「先日、所商生とすれちがったところ、その男子生徒は、ポケットに入れていた手を、すっと外に出して丁寧に『おはようございます。』と挨拶してくれました。とても気持ちよかったですよ。所商はいい教育をしていますね。私の孫には是非、所商に行ってほしいですよ。」と言われました。私は校長として、本当に嬉しい気持ちになりました。もしこれが、自転車マナーなどを注意されて「うるせーじじー」などと言っていたら、言われたおじさんは「なんという高校生だ、所商はとんでもない学校だ。うちの孫には絶対、所商には行かせない」となるでしょう。

  学校の評判、評価とはそういうものです。ここにいる697人一人ひとりの振る舞い、言動、人間性が所商の評価を決めてしまうのです。皆さんの振る舞い次第で、「素晴らしい高校生だ。所商はいい教育をしているな。」となるのです。実際に「体験入学」や「学校説明会」のアンケートの結果を見ると、「在校生のお話や態度が大変よかった。とても参考になった。もっと在校生の話を聞きたい」という意見が圧倒的に多いのです。皆さんが所商の評価そのものなのです。

  明日から、約40日の長い夏休みが始まります。是非、所商っていい学校だなーと思ってもらえる振る舞いをしてほしいと思います。

  それでは、9月2日に全員、元気な顔を見せてください。以上です。


6月朝礼校長講話

                夢を諦めないで

 
 1学期の中間考査も終わり、先週からまた平常授業の日々が始まりました。部活動も再開し、これから夏にかけてインターハイ予選などが始まります。3年生にとっては、最後の大会です。是非、納得のいくまで頑張って、青春の輝かしい1ページを作ってほしいと思います。そう言えば、女子バレーボール部が先週の地区予選で勝ち、県大会に出場することが決まりました。10年ぶりだそうです。おめでとうございます。是非、県大会でも頑張ってください。他の部活動も後に続いてほしいと思います。

 さて、話は変わりますが、今週から3者面談が始まります。3者面談では3年生は勿論ですが、1、2年生も将来の話、進路についての話が出ると思います。ですから今日は進路についてお話したいと思います。

 幼い頃、小学校の頃などは、たいてい自分というものがよくわからないまま、夢や憧れだけで自分の将来を想像します。最近の小学生の男子の一番人気は、サッカー選手、女の子はパティシエだそうです。皆さんも小学生の頃は、そんな夢を描いていたことでしょう。私の場合、小学生の頃から海外に興味があったので、将来外交官になって、世界を飛び回りたいなどと思っていました。また、中学生になると「NHKに入ってニューヨーク支局の特派員もいいな。」などとぼんやり思っていました。

  しかし高校生になると、かなり現実的になります。自分の実力、性格、家庭の事情などが冷静に見られるようになります。私も高校生になると「自分には一流の国立大学に進学し、外交官試験にパスできる力なんかないのではないか。」「性格的にマスコミに向いていないのではないか。」そんなことを思い始め、かなり現実的な将来を考えるようになりました。結局、好きな英語の勉強を続けたくて大学は英文科に進み、好きな英語を高校生に教えたいと思うようになり高校の英語の教師になりました。この道で行こうと決心したのは大学2年生の頃でした。勿論その決断には、現実的な家庭の事情もありました。前にお話ししたとおり、私の家は父親の会社が倒産し経済的には苦しく、海外への留学や大学院に進学する余裕などありませんでした。大学に入るころになれば、そういった家庭の現実は当然よく理解できました。

 皆さんも、高校生ですから、自分の実力、性格、家庭の事情などを冷静に見て、かなり現実的な自分の将来像を描いているかもしれません。3年生は特にそうかもしれません。しかし今日、私が皆さんに言いたいのは、もう高校生なのだから将来について現実的になり、夢を諦めろということではありません。むしろ、その逆です。もし皆さんに「大好きなものがあり、それを使って仕事をしたい」というものがあれば、簡単に諦めないでほしいということです。チャレンジしてほしいということです。うまくいかないかもしれません。でも状況が許せばチャレンジしてほしいです。例えば、ダンサー、声優、ミュージシャン、デザイナーなど、才能と運に恵まれた一握りの人しか活躍できない世界では、業界の厳しい現実があり挫折することもあるかもしれません。でも長い人生、そういう挫折も決して無駄にはならないと思います。

  4月24日の埼玉新聞にデザイナーを目指して専門学校に進学した、保坂めぐみさんという人の記事があったので紹介したいと思います。保坂さんはデザイナーを目指して専門学校に進みました。専門学校在学中は、コンクールに何度も入賞するような実力があり有望な学生でした。しかし卒業する時期は不況と重なって、デザイナーの求人がほとんどなく、デザイナーとしての就職は断念したそうです。今は建築関係の仕事をしているそうですが、保坂さんはこう振り返っています。

「デザイナーになれなかったのは残念でしたが、目標に向かって本気で勉強した日々は、無駄だったとは思っていません。実習やコンクールの過程をこなす中で、仕事の進め方がうまくなりました。頑張ってもうまくいかないことも多い。そういう時の我慢のしかたや、他人への頼り方も学べました。そんな経験は今の仕事でも自分を支える軸になっています。」

 この保坂さん言葉を是非、覚えておいてください。目標に向かって本気で取り組んだ経験は、たとえ目標が達成されなくても決して無駄にならないということです。勿論、リスクを背負ってチャレンジをするには周りの人々、特に家族の理解と支援が必要です。今日から始まる3者面談は、そんなことを家族の人々や担任の先生とじっくり話し理解してもらう時間にしてください。

 

4月全校集会校長講話

              渋沢栄一とCSR 

 早いもので新年度が始まって3週間が経ちました。気持ちを新たに学校生活をスタートさせていますか。3年生は先日も言いましたが、進路実現に向けて本気の姿を見せてください。2年生は部活動や学校行事など全ての場面において、中心的な役割を果たさなければなりません。是非51年目の所商を引っ張っていってください。そして新入生諸君はどうですか。所商生活に慣れてきましたか。部活は楽しいですか。特に授業では、初めて学ぶ商業科目に少し戸惑っているかもしれません。しかしそれは新入生全員が同じ条件です。新入生全員がゼロからのスタートです。学び始めの今がとても大切です。しっかりと学んでください。

 さて先日、5年後の2024年から発行される新1万円札に、渋沢栄一の肖像が使われるというニュースがありました。埼玉県の深谷市出身で、日本で初めての商業銀行や東京証券取引所などの創立に尽力した「日本資本主義の父」と呼ばれた人ですから、埼玉県の商業高校で学ぶ皆さんはこの機会に是非、渋沢について学び、誇りに思ってほしいと思います。

 渋沢は明治・大正に活躍したわけですが、当初、大隈重信に説得されて大蔵省に入省しますが、その後退官し実業家になります。大倉喜八郎や浅野総一郎といった当時の非財閥系の実業家と手を組んで、例えばサッポロビール、帝国ホテル、東洋紡、みずほ銀行など、今でも各業界をリードする大企業の創立にかかわりました。彼が生涯でかかわった企業の数は500社とも言われています。

  また同時に彼は、社会貢献活動にも熱心に取組み、日本赤十字社、東京慈恵会などの財団法人や大学の設立に力を入れ、生涯で600の福祉や教育関係の社会事業にかかわりました。

 なぜ彼が社会貢献事業に熱心だったか。それは彼が生涯貫いた理念が、「道徳と経済は両立する」ということだったからです。つまり私利私欲ではなく公の利益を追求する「道徳」と、利益を求める「経済」が事業において両立しなければならない、というもので、これを「道徳経済合一説」と言います。代表的な彼の著書「論語の算盤」の中で書かれています。事業をする上で、常に社会貢献や多くの人の幸せにするといった公益を追求しながら、同時に利益を上げていくという理念です。簡単に言えば、「経済は良い社会のためにある」と言うことです。

 なぜこの話を今皆さんにしているかと言うと、実は渋沢栄一のこの思想は、現代の社会で大変注目されているからです。グローバル資本主義、新自由主義といった過度に利益を追求する現在の市場経済の在り方、そしてその結果、格差が広がる今の資本主義社会に対する懸念から、今この渋沢栄一の理念が見直されています。

 皆さんはCSRという言葉を知っていますか。Cooperate Social Responsibility の略で、日本語にすると「企業の社会的責任」ということです。すなわち企業が倫理的な観点から事業を通じて、自主的に社会に貢献する責任のことです。

 最近では、環境問題などの社会的課題に、それぞれの企業が自社の強みを活かして解決に当たる、そしてそれをビジネスに繋げ、会社が発展するチャンスとして捉る。そんな積極的なCSRの取組みをする企業が増えてきました。また国や銀行、そして投資家も、環境問題などに積極的に取り組む企業に投資するという傾向になってきています。

 渋沢栄一から100年以上が過ぎ、これからの経済社会は、渋沢の掲げた理念を実践していかないといけないと人々は気づき始めたのです。それはそうしないと、もしかして地球そのものが持続しないという危機感からかもしれません。

 商業高校に学ぶ皆さんは、是非、渋沢の理念を学び、CSRという言葉を覚えてほしいと思います。そして今後の進路選択において、大切な視点として持っていてほしいと思います。「良い企業・経済は良い社会のため」という言葉を忘れないでほしいと思います。


第51回入学式式辞

 新緑が芽吹く春、すべての生命が躍動するこのよき日に、PTA会長・坂田大作様、後援会会長・浦島健二様をはじめ、多くのご来賓の皆様方、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第51回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びと深く感謝申し上げます。 

 ただいま入学を許可いたしました235名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、みなさんを心から歓迎いたします。平成の時代から令和という新しい時代が始まろうとしているこの歴史的な年に、みなさんは自らの意志でこの所沢商業高校を選び、本日晴れて入学しました。今日という日はおそらくみなさんにとって、一生忘れることのない1日になると思います。この歴史的な年に、自らの意思で、この所商の門をくぐってきたことを忘れず、充実した高校生活を送れるよう努力してください。 

 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心からお祝いと、お喜びを申し上げます。

 さて、新入生のみなさん。いよいよ本日から3年間の高校生活が始まります。

今みなさんにとって大切なことは、新しく始まる高校生活に対して抱いている新鮮な気持ちを、いつまでも忘れずに全てのことに全力で取り組むことです。そのスタートとなる入学式にあたり、私から心掛けてほしいことを3つ申し上げます。

 1つ目は、「大きな夢と高い志を持つ」ということです。この変化が激しく予測のつかない時代を、みずからの力で切り拓き夢をつかみ取るためには、みなさんひとり一人が学力は勿論、新しいことにチャレンジする積極性と豊かな人間性を身に付けなければなりません。自分が将来「こうなりたい」という明確な理想像を持ち、それに向けて資格取得や部活動、また学校行事においても精一杯努力してください。そうすれば、さらにその先の進路においても大きな成果を得られることは、本校の多くの先輩方が証明しています。その原動力が「大きな夢と高い志」です。大きな夢と高い志を持って、本校での3年間精一杯努力してほしいと思います。

 2つ目は、「商業の専門科目はもちろん、普通教科にも全力で取り組む」ということです。みなさんは商業を学ぶために本校に入学しました。しかしこれからのグローバルな経済社会で活躍するためには、その基盤となるビジネスに関する知識や技術を習得すると共に、さまざまな分野の学問についても学び教養を深めることが極めて大切です。高校で学ぶ内容は、これまでに比べ広く深くなりますが、まじめに努力すれば必ず自分の立てた目標に到達すると思います。

絶え間なく変化する社会の中で生きていくためには、商業の専門科目も普通教科もしっかりと学び、高い知性と幅広い教養を身に付けてほしいと思います。

 最後は、「多様な価値観を認める」ということです。グローバル社会、グローバル人材という言葉を聞いて「私には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかしそうではありません。この日本の社会における「内なるグローバル化」は確実に進んでいます。現在我が国には、約264万人の外国人が暮らしています。また埼玉県内の外国人も増え続け、平成30年6月末で17万4千人、県の人口に占める割合は2.4%となり約50人に1人は外国人です。さらにこの4月には、国の法律が変わり、多くの外国人が日本に働きにやってきます。また来年、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックを契機に、世界中からさらに多くの人々が日本にやってきます。みなさんが社会に出るころには、外国人と働き共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ちオープンな心で接し理解しようとする態度を養ってほしいと思います。近い未来、世界中から集まる人々と共に平和で豊かな多文化共生社会を築いていくのはまさにみなさんなのです。以上、「大きな夢と高い志を持つ」「商業科目も普通教科もしっかり勉強する」、「多様な価値観を認める」、この3点について心掛けてほしいと思います。

 最後に、保護者の皆様にお願い申し上げます。学校教育においては、学校・家庭・地域の連携が重要です。特にご家庭の協力なしには教育の成果は期待できません。私たち教職員一同、一丸となって指導にあたる所存ですが、各ご家庭におかれましても、本校の教育方針をよくご理解いただき、健康的な生活習慣や家庭学習について、ご指導いただきますようお願いいたします。

 結びに、元号が令和となる記念の年に、創立五十一年目を迎える伝統校に入学した新入生のみなさんを、心から歓迎すると共に、一人ひとりが充実した高校生活を送ることができますように念願し式辞といたします。


                      平成31年4月8日

                      埼玉県立所沢商業高等学校長

                      鈴 木 啓 修


始業式校長講話

みなさん、おはようございます。まずは、こうして無事に新年度を迎えられたことに感謝したいと思います。みなさん、元気に登校してくれてありがとうございます。

 いよいよ、今日から新年度がスタートします。ここにいる新3年生、新2年生の皆さんは、進級おめでとうございます。今日から気持ちを新たに頑張ってほしいと思います。

 今、「気持ちを新たに」と言いましたが、今年は「気持ちを新たに」するには大変、相応しい年だと思います。新しい元号も「令和」と決まり、5月1日から令和元年が始まります。今の天皇陛下の退位、そして新しい天皇の即位と、この歴史的瞬間をみなさんは目の当たりにできるわけです。是非、目にしっかりと焼き付けてほしいと思います。昭和から平成に元号が変わった30年前は、私は教員になって3年目、25歳の正月でした。あの時は、昭和天皇が崩御されての改元でしたから天皇陛下の葬儀、「大喪の礼」と呼ばれた儀式が行われ、決してお祝いムードではありませんでした。様々なイベントが中止になったり、テレビのお笑い番組が自粛されました。大喪の礼当日は学校も休みになり、テレビでその模様をずっと見ていたのを今でも覚えています。今回はおめでたい雰囲気の中で、退位、即位の儀式があると思います。一生に何回も見られることではない歴史的瞬間ですので、しっかりと見てほしいとと思います。

 その他にも、今年は多くの新しいこと、また何十年に一度というイベントが多くある年です。例えば政治で言えば、今年は、統一地方選挙と参議院選挙が重なる12年に1回の亥年の選挙です。18歳になる3年生諸君は是非、興味を持って積極的に投票に行ってください。10月には消費税が10%に、そして9月にはアジア初のラグビー・ワールドカップが日本で開催されます。そして来年には、56年ぶりの東京でのオリンピック・パラリンピックが開かれます。まさしく一生に1度か2度しか経験できないイベントが目白押しです。本当に楽しみでワクワクしますね。気持ちを新たに迎えたいと思います。

 その中でも私が気になるのは、やはり出入国管理法の改正です。今月1日に施行され、特定技能という新たな在留資格が整備されました。この改正により日本で初めて、高度な専門知識を要する仕事以外の比較的単純な仕事に、外国人が従事できるようになります。これにより、この先5年間で34万5千人の外国人が日本にやってくると政府は見込んでいます。

 私は昨年の1学期始業式でも「日本社会の内なるグローバル化」の話をしました。日本社会に住む外国人はどんどん増えています。現在、我が国には約264万人の外国人が暮らしています。264万人とは京都府の人口とほぼ同じです。また埼玉県内の外国人も増え続けています。平成30年6月末で17万4千人、県の人口に占める割合は2.4%となり約50人に1人は外国人です。この傾向は、先ほどお話しした出入国管理法の改正によりどんどん加速していくでしょう。

 みなさんが社会に出るころには、外国人と働き、共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ってほしいと思います。オープンな心で接し理解しようとする態度を養ってほしいと思います。また、多様性を認める寛容な心は、なにも外国人に対してだけではありません。障害を持つ人、性的マイノリティをはじめ、自分とちょっと価値観、考え方が違う人、そういう全ての人々を寛容な心で理解しようと努力し、共存していくことがこれからの世の中を持続可能ものにしていくために大切なのです。みなさんはもうすでにそのような寛容な心、優しい心を持っていると私は信じています。また、なぜいまこの話を繰り返ししたかというと、それはこの多様性の尊重という話は、大変身近なお話だからです。今日の午後入学式があります。本校にも多様なバックグラウンドを持った新入生が入学してきます。是非、全ての新入生を温かく迎え入れ、共に所商51年目を築いていきましょう。よろしくお願いします。


3学期終業式校長講話

              1年を振り返って

まずは、先日の卒業式でのみなさんの態度が素晴らしくよかったと思います。ご協力ありがとうございました。静粛にすべき時は静粛に、歌を唄うときは大きな声で歌ってくれました。大変メリハリがあって「卒業生の門出を祝う」という気持ちがとてもこもっていました。厳粛な中でも温かさを感じるよい卒業式だったと思います。ありがとうございました。
 さて、この1年間、校長としてみなさんに始業式、終業式、全校集会などの機会にいろいろな話をしてきました。ちょっと振り返ってみたいと思います。1学期の始業式には、「日本社会の内なるグローバル化」という話をしました。この4月から出入国管理法が変わり、多くの外国人が日本へやってくる。私たちはそうした外国人と仲良くやっていく共生社会を創っていかなければならないと話しました。また今年度は、本校の50周年ということで、先人の情熱と努力に思いを馳せることが大切だと「歴史の重み」についてお話しました。

  2学期の始業式では、礼儀正しく、協調性を重んじることがグローバル人材に成長するための第一歩であると話しました。また、弓道で使われる「正射必中」という言葉を紹介し、結果にこだわらず、正しいステップを踏んで努力することの大切さの話もしました。また、SDGsの話をした時には、みなさんが今後、就職する際、企業が社会的責任をどれだけ考えているかを、企業を選ぶときの基準にしてほしいという話もしました。

 今日は今年度の最後の校長講話ですので、私が皆さんに今、一番伝えたいことをお話しします。それは、「環境のせいにしない」ということです。人間は自分にとって不都合なことが起きた時、環境のせいにしがちです。成績が悪いと「先生の教え方が悪い、授業の雰囲気が悪い」と言ったり、部活動で試合に負ければ、「顧問が悪い、チームメートが悪い」と思ったり、家庭で問題が起これば、「こんな家に生まれたくなかった」などと思ってしまう。人間は弱いものですから人のせい、環境のせいにしたくなります。私は、昨年の6月の朝礼で「反面教師」の話をしました。その時に自分の高校時代のお話をしました。私が中学生のころまでは、父親は町工場を経営しており、けっこう裕福でした。しかし、私が高校生になるころ倒産してしまい、一気にどん底の生活になってしまったという話です。自分はこのことを、なんとかくじけずに乗り越えることができたわけですが、実はこの時、私が通っていた高校のある信頼する先生が私にこう言ってくれました。「お父さんを恨んでも、環境のせいにしても何も解決はしないよ。お前がしっかりと努力して自分の人生を切り拓いていくんだ。」と。この言葉のおかげで、私は父親を恨むこともありませんでした。家庭のせいにしてなげやりになったりせずにすみました。私は「人のせいにしても、環境のせいにしても何も変わらない。人生は自分自身が切り拓いていくものだ。」と高校生ながらストンと心に落ち、前向きに頑張ろうと決心することができました。今振り返ると貴重な経験をしたなと思っています。だから私は、教員として生徒に一番伝えたいことの一つとして、よくこの話をします。今日は、今年度最後の校長講話ですのでこの話をしました。もう一度言います。「環境のせいにせず、人生は自分の努力で切り拓いていくもの」です。覚えておいてください。

  4月はもうすぐです。4月になると2年生は最上級生、1年生は学校の中心的存在の2年生になります。そしていよいよ後輩が入学してきます。新年度の準備をしっかりしてください。不都合なことが起きても、環境のせいにせず、今、自分ができること、しなければならないことをコツコツと実行してください。来年度は元号も変わり、いろいろなことが変化していく新しい時代を迎えます。全てが新しくワクワクする1年にしてほしいと思います。そして51年目を迎える所商を、みんなでしっかりと築いていきましょう。

第48回卒業証書授与式校長式辞

 厳しかった寒さも和らぎ、春の息吹きが感じられるこの佳き日に、PTA会長 坂田大作様、後援会会長 浦嶋健二様をはじめ多数のご来賓、保護者の皆様をお迎えし、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第48回卒業証書授与式が挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても、誠に大きな慶びであります。ご臨席をいただきました皆様方に心から厚く御礼申し上げます。

 卒業証書を授与された226名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。入学以来、3年間の努力が実を結び、めでたく卒業するみなさんに心からお祝い申し上げます。

 みなさんは、3年前、大きな夢を持って本校の門をくぐりました。初めて学ぶ専門科目に、最初は不安で戸惑う人も多かったと思いますが、みなさんは未来の社会を担う有為な職業人を目指して、授業はもちろん、補習や家庭学習に精力的に励み、簿記や情報処理をはじめ、多くの資格を取得しました。そして、学校生活の様々な場面において、目標に向かって努力すれば、おのずと良い結果を得ることができるということを体験し、「自信」という大きな財産を得たことと思います。

 日々、悩みながらもやり抜いた部活動。本気になって取り組んだ文化祭や体育祭。また進路で悩んだ時など、いつもそばにいてくれたのは、友や先生でした。みなさんは、この3年間、多くの人に支えられて、ここまで来ることができました。これからもみなさんは、ひとりで生きていくことはできません。多くの人とのかかわりの中で生きていくのです。本校で出会った友や先生を生涯、大切にしてください。きっと卒業後も大きな力になってくれると思います。そして、みなさんの最大の理解者であり、これまでいつくしみ、育んでくれた御家族への感謝の気持ちを決して忘れないでください。

 卒業は、みなさんの長い人生における大きな節目であります。思いを新たに、次のステージに進む旅立ちの日であります。この旅たちの日に、はなむけの言葉として、私から2つのことをお願いしたいと思います。

 1つ目は、「共感する心を持つ」ということです。これからみなさんは、新しい世界に羽ばたいていきます。新しい環境に身を置き、新しい多くの人々と出会うことになります。自分と全く違った考え方、価値観を持った人と出会うことでしょう。また、異なった文化や習慣、言語や宗教を持った人々とも、共に生きることになるかもしれません。そんな時、「この人は自分と違う」といって、理解しようとすることを諦めたり、排除したりしないでください。理解しようと努力する心、共感する心を養ってください。自分と違った価値観を認め、理解しようとする「共感力」はみなさんの人生を豊かにするだけでなく、これからの日本の社会をも豊かにするからです。

 2つ目は、「学ぶ姿勢を生涯持ち続けてほしい」ということです。みなさんは、日々めまぐるしく変化し、予測が困難な時代に生きています。今後、さらに情報化、グローバル化が進み、社会構造そのものが大きく変化していきます。今日の知識が明日には役立たなくなっているかもしれません。常に学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。学ぶ場は、学校だけではありません。就職する人も、これからが新しい学びの始まりだと考えてください。学ぶ意欲を持ち続けることが、有為な社会人となるための第一歩です。社会人としてスタートを切る人、さらに大学や専門学校に進む人、みなさんの進む道はそれぞれですが、それぞれの目標に向かって学び続けてほしいと思います。

 最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様方におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間に立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

 結びに本日ご臨席いただきました皆様方に改めて御礼申しあげますと共に、226名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。

                                 平成31年3月13日

                                 埼玉県立所沢商業高等学校長

                                 鈴 木 啓 修


2月全校集会校長講話

              恵方巻きと消費者意識

 今日から2月です。3日の日曜日は節分ということで、暦の上では春になります。昔から節分には豆まきをするわけですが、最近は「恵方巻き」を食べるというのが全国的に広まっています。元々、関西の習慣だったようですが広島にあるセブン・イレブンが仕掛けて全国に広がったようです。しかし、この恵方巻きが最近、問題になっています。それは売れ残った恵方巻きの大量廃棄です。実際にどれぐらいの量が廃棄されているかデータはないようですが、先月、農林水産省が、業界団体に対し、需要に見合う量を販売するようにと通知を出しました。

  食べられる食品を捨ててしまうことを「食品ロス」といいますが、日本は世界でも有数の食品ロス大国です。日本の食品ロスは、年間推計約621万トン。これを一人あたりに換算すると、日本人全員が、毎日ごはんお茶碗1杯分を捨てているという計算です。食品ロスを減らす対策が取られている国もあります。例えば、レストランで食べ残したものを家に持ち帰るのは当たり前の国も多くあります。また、スーパーマーケットに食品廃棄の量に対して罰金を科したりする国もあります。しかし日本の対策は遅れています。

 そんな中、兵庫県の「ヤマダストアー」というスーパーが売り方を見直しました。前年の実績分だけ販売し、欠品が出ても追加販売しないようにしました。この店は新聞の折り込みチラシで「もうやめにしよう」というメッセージを発信し、「欠品の場合はご容赦ください」などの文章を添えました。すると、全8店舗中5店舗で完売し、廃棄量も減ました。そしてこの店の取組に賛同する意見がたくさん寄せられ、マスコミにも大きく取り上げられました。

 ここで大切な事、皆さんに考えてほしいことは、われわれ消費者の意識改革です。この取組はある意味で、消費者の意識改革を促したものであり、われわれ消費者が意識を変えないかぎり成功しません。欲しい食べ物が、欲しい時に手に入るのが当たり前、もし売り切れていたら文句を言う、そういう消費者の意識が食品ロスを生むのです。消費者がそういう意識でいるかぎり、お店はあまるほどの商品を棚に置き、売れ残れば捨ててしまうわけです。

 2学期の終業式に「SDGs、持続可能な開発目標」の話をしました。SDGsの17の目標の1つに「つくる責任・つかう責任」というのがあり、この食品ロスの削減も目標となっています。

 皆さんも是非、消費者として「意識改革」をしてほしいと思います。欲しい食べ物が欲しい時に手に入るのが当たり前という意識は変えなければなりません。スーパーやコンビニに行って、ほしい食品が売り切れていたら、文句を言うのではなく「持続可能な地球のためにはいいことだ。」と喜べる消費者になってほしいと思います。商業を学ぶ皆さんには、社会に一石を投じる企業に注目し、賢明な消費者であってほしいと願っています。

3学期始業式校長講話

人類史上初の高校生からスマホあたりまえ世代?

 

 新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?楽しく充実した日々を過ごせましたか?まずは大きな事故もなく、こうして3学期の始業式が迎えられることを大変嬉しく思います。

 2019年という新しい年を迎えました。今年は、一生に何度も経験できるわけではない大きな変化の年です。君たちも知っているとおり、5月1日に新しい天皇陛下が即位されます。平成が終わり、新しい元号がスタートします。

 この年末・年始には「平成最後の…」という言葉が飛び交い、テレビや新聞ではこの平成という30年間を振り返る特集番組や記事が多くありました。そこで今日は、この平成という時代の、君たちに身近な「通信機器・通信サービス」の進化について見てみたいと思います。

 スマートフォンがこの世に出現したのはいつだか知っていますか?およそ10年前です。アップルのアイフォンが日本で発売開始になったのは、平成20年、今からわずか11年前のことです。君たちが小学校1、2年生の頃だと思います。そして同じ年にフェイスブック、ツイッターが日本版のサービスを始め、2年後の平成22年にインスタグラムが登場しました。そして今や日本人の2/3、約7,800万人が使っているラインは平成23年、今からたった8年前にサービスを開始しました。

 このことで気が付くと思いますが、君たちにとって物心ついてから当たり前のように使っている通信機器、通信サービスは、ほとんど、この10年ぐらいで世の中に現れたのです。

 そういう意味で物心ついてから普通に、スマホでラインやツイッター、フェイスブックなどを使う君たちは、まさに人類史上最初の「高校生スマホ世代」なのです。

 ちなみに所商の先生で最も若い穐本先生でさえ、高校時代にはスマホは持っていなかったそうです。大学生になって初めてスマホを持ったと言っていました。穐本先生が中学校3年生のころに、アイフォンが日本に上陸したわけで、まだ当時は、高校生でスマホを持っている人は大変少なかったのだと思います。

 君たちと5歳ぐらい違うだけで、全く違う世代になってしまう、それほどこの10年の通信機器、通信サービスの進歩は激しいのです。そんな激しい進歩の中、繰り返して言いますが、君たちはまさに、高校生でスマホが当たりまえの人類史上最初の世代なのです。

 スマホは、本当に世の中を便利にしました。出かける時に、電車の経路、時間、料金を一瞬にして調べることができます。スマホを駅の改札にかざして、電車に乗り、電車の中でスマホで音楽を聴き、途中コンビニに買い物をして、スマホで支払います。スマホ1つで何でもできる時代になりました。

 しかし同時に、スマホにはマイナスの側面もあります。私が一番、厄介だと思うのはSNSです。なぜSNSが厄介かと言うと、それは能動的でないからです。自分の意志で主体的に使うことができないからです。先日、テレビである人が、「SNSで人と繋がるというけど、実は繋がれているのではないか。」と言っていました。そのとおりだと思います。すなわち自分の意志で使うのではなく、SNSによって人と繋がれ、縛られているのではないかと感じてしまいます。君たちはこれからの長い人生、ずっとSNSに繋がれ、縛られて生きていくのかもしれません。少なくとも何らかの工夫や努力をしないとそうなってしまいます。もしかしたら君たちの中にも、実は正直に言うと「少しスマホから離れたいな、SNSから解放されたいな」と思う時があるのではないかと思います。

 だからこそ、君たち、人類史上初の「高校生からスマホ当たりまえ世代」としての責任があると思います。このまま、1日24時間、1年365日、スマホに縛られていいのか、能動的に主体的にスマホと付き合うにはどうしたらいいのか。そんなことを考えていくのは君たち世代の責任であります。

 この10年間のテクノロジーの進化を見れば、この先の10年でどんな新しい技術が生まれ、世の中がどのように変化していくのか、想像もつきません。私のような年代の人間からすると、ちょっとした「恐ろしさ」さえ感じてしまいます。

 君たちはこれから、10年、20年、30年、40年と長い間、世の中の主役として活躍していくわけです。人類史上初の「高校生からスマホ当たりまえ世代」の責任として、テクノロジーとうまく付き合う方法を見出してほしいと思います。また個人として、あるいは組織としての何らかのルールづくりに参画してほしいと思います。時には「これは私には必要ない」と能動的に取捨選択をしてほしい、そしてその個人の選択を周りの人々が尊重する世界を創っていってほしいと切に願っています。

 3学期は忙しいです。1、2年生は今月末に検定試験があります。3年生諸君は学年末考査が控えています。スマホと上手に付き合い、時間を大切にして頑張ってください。

2学期終業式校長講話

SDGs

 

 2学期も今日で終わりです。9月からの4ヵ月はどうでしたか?自分が満足できる生活が送れましたか?今回、成績のふるわなかった約70名の生徒諸君は、特にしっかり反省し、生活態度を改め3学期がんばってください。

 先日、進路指導部から12月19日現在の進路状況の報告がありました。その報告によると195名の3年生が進路先を決めているそうです。就職が102名、進学が93名だそうです。残り約30人はこれからだそうです。是非、がんばって卒業までに進路先を決めてください。また、3年生全員にお願いです。卒業まで所商生としての自覚を持って生活してください。

 今週の火曜日に3年生が2年生の教室に行って進路決定までの経験を語る進路報告会がありました。そこでほとんどの3年生が2年生に話していた事は「遅刻、欠席をしないこと。日頃からしっかり勉強してある程度の評定平均をキープすること、資格をたくさん取ること」でした。これは就職でも進学でも変わらない事で、日頃から、先生方が諸君に言っていることだと思います。しかし実際に進路を決めた3年生の先輩から聞くと身近に感じますよね。是非、1、2年生諸君は、この先輩のくれたアドバイスを心に留めて、生活してほしいと思います。

 さて、今日はSDGsについてお話したいと思います。SDGsって聞いたことありますか?日本語で言うと「持続可能な開発目標」と言います。これは、20159月に国連で開かれたサミットの中で決められた、2015年から2030年までの長期的な国際社会の共通目標です。このSDGsの特徴は、途上国も先進国も関係なく世界の全て国が取り組まなければならない目標であるということです。SDGsの前に2000年に国連で採択された「MDGs(ミレニアム開発目標)」がありました。このMDGsは「貧困の撲滅、乳幼児死亡率の削減、初等教育の普及、エイズやマラリアの蔓延防止など、主に発展途上国の問題を解決することが目標でした。しかし2015年にある程度、この目標が達成されたので、MDGsに変わる新たな世界の目標として定められたものです。

 この新たな目標で解決すべき一番の深刻な課題は何だかわかりますか?そう、地球温暖化、気候変動です。地球温暖化の問題は深刻です。我が国でも今年の異常気象、度重なる災害が発生し、諸君も実感したと思います。しかも、この問題は先進国だけ、途上国だけでは解決できません。世界全体で取り組まなければならない問題です。簡単に言えばこのSDGsは、地球が持続するための目標と言っていいと思います。

 日本政府も2016年5月に推進本部を内閣に立ち上げ、実施指針を決定したりしていますが、いち早くSDGsに注目し取り組んでいるのは経済界です。君たちに今、SDGsの話をしているのはなぜか?それは企業が今、真剣にこのことに取り組んでいるからです。もうすでに世界の企業は脱炭素、CO2を排出しない方向に舵を切っています。投資家や、金融機関は、このSDGsを基準としてどれだけ環境問題に取り組んでいるか、社会的責任を果たしているかで企業を評価し投資を決めています。

 君たちがいずれ社会に出て、企業に勤める時には、どの企業も地球環境を守る事業展開、CO2を排出しない取組を会社の経営方針の中心に据える時代になります。そうしないと企業として生き残れない世界になるのです。さらに、これを主体的に考えれば、君たちが企業を選ぶ時、環境問題をどれだけ考えている企業なのかを選択の基準にしてほしいと思います。その企業が社会の持続可能な発展にどれだけ貢献しているかをよく見てほしいと思います。そういう視点を会社選びの際、加えてほしいと思います。 

 そして、この話を君たちにするもう一つの理由は、君たちが商業高校の生徒であるからです。今回、新しくなった学習指導要領の商業教育の目標は、「経済社会の健全で持続可能な発展を担う職業人の育成」とあります。商業高校の生徒である君たちはこの教育目標「経済社会の健全で持続可能な発展を担う職業人」になるのだという自覚を持ってほしいと思います。君たちがいずれ結婚し、子供ができ、そして孫ができる頃にもこの地球が持続しているためには君たちの考え方、生き方が大変、大事であるということを忘れないでください。是非、興味を持って勉強してみてください。ちなみに最近、所商の図書館にも「知っていますか?SDGs」という本が入りましたので、是非読んでみて下さい。

 それでは、この冬休み、クリスマスやお正月と楽しいことがいっぱいありますが、節度ある生活をして、1月8日に元気に登校してください。


創立50周年記念式典式辞

                  式辞

              

 立冬も過ぎ、校庭のイチョウの木々も鮮やかに色づき始めた、このよき日に、埼玉県教育委員会県立学校部長 渡邊 様、埼玉県議会議員 柳下 礼子 様、西山 淳次 様、岡田 静佳 様をはじめ、多数の御来賓の御臨席を賜り、本校創立50周年記念式典が、ここに盛大に挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びであり、教職員を代表して深く感謝申し上げます。

 本校は、昭和44年4月に全国でも数少ない小学科制の商業高校として1学年6学級、生徒数291名をもって開校いたしました。創立時は、商業科、経理科、そして県下初の国際関連学科としての貿易科の3学科を設置しスタートしました。昭和46年、情報教育の急速な普及に伴い、情報処理科を増設し、平成6年から7年には、本県の商業教育に関する諸課題を踏まえ、国際流通科、ビジネス会計科、情報処理科に学科を再編し、外国語教育やソフトウエア教育に重点を置く新しいタイプの商業高校づくりを目指し、常に時代の先を行く先進的な取組を実践してまいりました。コンピュータの導入をはじめ、複数の外国人講師による英語運用力向上のための授業、LL教室による音声中心の英語学習、インターネットを活用した海外との交流など、今では多くの学校が実践し、当たり前になった取組の、いわば先駆者としての役割を果たしてまいりました。さらに、国際理解教育にも力を入れ、多くの国々から交換留学生や教育視察団等を積極的に受け入れ、平成10年には、ニュージーランドの高校と姉妹校提携を結び、生徒、教職員の相互訪問が行われました。昭和45年の「商業高校におけるLL利用の英語指導について」という県教育委員会からの研究指定を皮切りに、教育課程研究、防災教育推進校、交通安全教育推進校など、様々な国や県の研究指定を受け、推進校、研究指定校として研究開発を行い、その研究成果を発表することで、本県の専門高校教育の質の向上に貢献してまいりました。

 部活動においては、野球部の3度にわたる甲子園出場をはじめ、昨年には商業高校英語スピーチコンテストにおいて全国大会決勝進出など、多くの生徒がそれぞれの活動の場で努力し、輝かしい成果を収めております。

 これも、教職員、生徒の努力はもちろんのこと、埼玉県教育委員会をはじめ、PTA、後援会、同窓会、地域の関係各位のご支援、ご協力の賜物と、心より感謝し、御礼申し上げます。 

 現在、我が国は大きな転換期にあります。急激な人口減少、超高齢化社会による人手不足と外国人材の活用、人工知能の発達や第5次産業革命の到来など、社会を取り巻く環境は大きく変わり、日本経済を支えてきた仕組みや社会の制度にも大きな変化が求められています。教育においても、新しい学習指導要領の導入や高大接続改革など高校における「学び」そのものの見直しが迫られる大転換期を迎えています。このような大転換期に創立50周年を迎えた本校は、この歴史的な節目に、改めて創立時の本校の「ミッション」を振り返り、原点に立ち返りたいと考えております。そして、これから激しく急速に変化していく社会が本校に求める「ミッション」、「所商らしさ」を明確にしていきながら、情報化、グローバル化に対応した、持続可能な社会の担い手となる職業人の育成を目指し、教職員、生徒、保護者が一丸となって次の50年に向けて歩んでまいりたいと存じます。

 結びに、創立以来、本校の発展にご支援いただきました関係者の皆様に重ねて感謝申し上げるとともに、今後とも、一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

平成30年11月17日

埼玉県立所沢商業高等学校長 鈴木 啓修

   


 

 

 

11月全校集会校長講話

               日本の学校はすごい!
みなさん、こんにちは。

中間考査も終わり、いよいよ11月になりました。今月は、創立50周年の記念式典があります。この50年間、所商のためにがんばってくれた先輩の情熱と努力に感謝し、一緒にお祝いしましょう。

さて今日は、「日本の学校はすごい」という話をしたいと思います。皆さんは、日々、行っている清掃や日直、ホームルームなど、当たり前すぎて気にしたことがないと思います。また、毎日の掃除が面倒くさいなと思う人もいるかもしれません。しかし、このような日本の学校で毎日当たり前のように行っている教育活動は、実は世界に目を向けると大変すごいことなのです。たとえば毎日、放課後に行う掃除。これは日本では小学校から中学、高校と日本全国の学校でほぼ当たり前のように行われていますが、世界を見てみると、大変珍しい活動です。先進国を含めて海外では学校の清掃は清掃員がします。清掃は清掃員のする仕事だという考え方が根付いています。生徒はいっさい掃除しません。いわば散らかしっぱなしです。知っている人も多いと思いますが、サッカーのワールドカップで、日本のサポーターが、試合が終わって、自分たちが使った座席周辺を掃除し、ごみを持ち帰る姿がSNS上で広まり、世界の多くの人々がその日本人サポーターの姿に感動して自分たちもごみを持ち帰ろうという動きが広まったという話があります。日本人にとってみれば、自分たちが使った場所をきれいにして立ち去るのは当たり前ですが、世界の人々にとっては、当たり前ではありません。スタジアムの掃除は清掃員の仕事だからです。そして、日直。これも日本人にとってみれば当たり前のことですが、今世界で注目されています。世界の学校、特にアフリカなどの発展途上国では、1クラスに生徒が50人から80人ぐらいいるのが普通です。そして先生は教壇のそばに自分の気に入った生徒を座らせ、身の回りの世話やお手伝いをさせ、言わば「助手」のように使うことが今でもあります。後ろの方に座っている生徒たちはほとんど無視、という状態です。しかし日本の日直制度では、毎日、違う生徒がリーダー的な役割を責任も持って果たします。日直の日は、先生の手伝いをしクラスから注目されます。クラスの生徒全員が日直をやることで平等に扱われます。「これはすごい」ということで今、世界で注目されています。

文部科学省に、「EDU-Portニッポン」という日本型の教育を海外で展開しようという取組があります。EDUEducation(教育)PortExport(輸出)ということです。日本の優れた教育活動を海外に輸出しようという取組です。実際、エジプトでは、2016年頃から日直、清掃、ホームルーム活動が学校で始まっていて、今年には200校ぐらいに広がっています。また、アフリカの多くの国で運動会が広まってきています。アフリカの多くの学校では、生徒や教員が一同に集まり、協力して行事に取り組むといった機会がほとんどなく、学校はまとまらず、組織として機能していない場合が多いそうです。そこで運動会をやることで、生徒、先生が一緒になって頑張る。学校がまとまるという成果が出るわけです。私もセネガルという西アフリカの国で実際に運動会の普及活動をしている青年海外協力隊に会いました。運動会を行うことで学校が一つになったと喜んでいました。

このように日本では当たり前のことが海外では当たり前でないということがたくさんあります。また、我々日本人が気づいていないことが実は世界の人々にとってはすごいこともたくさんあります。また、その逆もたくさんあると思います。外国のある国では当たり前のことが日本人にとっては全く当たり前でないことがたくさんあると思います。そんな視点をいつも持ってほしいと思います。

これから、多くの外国から来る人々とともに働き、暮らしていく共生社会に生きていく君たちにとって、是非、異文化を理解し受け入れ、また、日本の良いところを伝えていける大人になってほしいと思います。

 


 


 

10月の朝礼 校長講話

                 「正射必中」
みなさん、おはようございます。

早いもので10月になりました。こらからいよいよ秋が深まってきます。秋と言えば、「実りの秋」という言葉があります。これまで、精魂を込めて育ててきた作物が実を結び収穫の時期を迎えるという意味です。

 これは君たちの所商生活でも言えることです。春から勉強、部活、学校行事と様々な場面で努力してきたことがいよいよ実を結ぶ、目標にしてきたことをかなえる季節です。特に3年生諸君にとっては、3年間、コツコツと努力してきたことが実を結ぶ時です。

 そこで今日、お話ししたいのは、「正射必中」という言葉です。これは弓道で使われる言葉で、弓道部の諸君はもちろん知っていると思います。「正しい射法で射られた矢は、必ず中る」という意味です。そして正しい射法は正しい姿勢から始まると教えています。

 なぜ、この言葉を紹介するかというと先日、ある新聞でジェローム・シュシャンという人の記事を読んだからです。ジェローム・シュシャンさんはフランス人ですが、30年近く弓道にしたしみ、国際弓道連盟の理事を務め、5段の腕前のある人です。現在の仕事はゴディバジャパンの社長です。彼は最近「ターゲット」という本を出し、なぜ5年で売り上げを2倍にしたのかその秘訣を書いて注目を浴びています。

その中で彼は、「正射必中」という言葉を使っています。「正しい射法で射られた矢は、必ず中る」ビジネスに置き換えると「お客様のことを本当に考えてよい商品を作れば、結果は必ずついてくる。」「すべてのプロセスを正しく行うことを心がければ、ビジネスは必ず成功する。」と言っています。彼はこのことを弓道から学んだと言っています。「正しい行いをすれば、正しい結果がついてくる。」とてもシンプルですよね。ゴディバはチョコレートを売る会社ですが、一番の目的は、チョコレートをとおして、世界の人々をハッピーにすることだ、そのためには気軽に、便利にゴディバを買ってもらうことだということで、これまで会社の中にあったプライドを捨てて、コンビニで商品を売ったりして大成功しています。

 私たちは、とかく結果にとらわれて、冒険ができなかったり、結果によっては、喜んだり、意気消沈したりします。結果にこだわらず、それぞれのステップを正しく行うことに集中すればよいのです。

 3年生諸君は、就職活動、進学などで大変かと思います。1回や2回の失敗に意気消沈せず、正しい行いをするよう集中してください。1年生、2年生諸君は、日々正しい行いをするよう、プロセスを踏んでコツコツと集中してください。必ずや放った矢は的に命中すると思います。

以上です。


 

 

2学期始業式講話


                グローバル人材?

 夏休み中、私は就職を希望する3年生10数名に模擬面接を行いました。どの生徒も、背筋をピンと伸ばし手を膝の上に置き、大変礼儀正しく、面接を受けていました。面接をした私もとても清々しい気持ちになりました。また、面接の時だけでなく、日頃から校内で生徒諸君に元気に挨拶をしてもらうと、やはり気持ちがいいものです。礼儀正しい本校生徒を誇りに思います。これは日本ではある意味、見慣れた光景ですが、一旦、日本の外に出ると決して当たり前の光景ではありません。私はアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの高校を訪ねたことがありますが、あまり挨拶はしてくれませんでした。また彼らの社会では目上の人の前でも足を組んだりすることにあまり抵抗はないようです。日本では考えられないことですよね。

 
 そもそも日本の礼儀正しさや他人を気遣う思いやりなどの道徳観や価値観は昔から日本の社会に根付いた伝統的な文化です。他人の感情や考えていることを言葉にしなくても敏感に察知し読み取る能力、自分がどのように振る舞うかを自分と他人との人間的関係によって決定してく文化が根付いています。社会心理学者の北山忍という人がこれを「相互協調的自己観」と呼んでいます。日本をはじめてとして東アジアでみられる自己観であると言っています。これは言語習慣を見ても明らかです。英語は一人称を示す言葉、すなわち、自分のことを示す言葉は
"I"の一語しかありません。しかし日本語は「私、僕、俺」など相手との関係はその場の状況によって敏感に使いわけます。先生が生徒の前で、自分のことを「先生」と呼んだり、子供の前で父親が「お父さんは…」と言ったりするのは日本語だけの特徴であり言葉からも人間関係を重視するこの社会の規範が見えてきます。

 
 このような協調性を重んじ、自分と他人との関係性を大事にする習慣は日本の伝統的な文化・価値観であり、大切にしなければならないと私は思っています。しかし戦後、この日本的な文化・価値観は否定される傾向にありました。「日本人は同調主義的で権威に弱い」と戦前の価値観は全て悪いものだと主張する、いわゆる進歩的知識人といわれる人々から批判されてきました。戦前の軍国主義や全体主義はこのような日本社会にある体質が原因であり、これからは欧米のように主体性を持ち確固たる自己を備えた近代的個人に日本人は変わらなければならないとされました。さらに
1990年代後半からの「構造改革」そしてその後の世界的に急速に広まるグローバル化がこの流れを決定的にしました。ヒト・モノ・カネ・サービスが国境を越えて世界中を自由に移動していく世界では、日本古来の価値観よりもグローバルな価値観、もっと言えば、アメリカの価値観でやっていかないとだめだということです。欧米型の個人主義、自律性、主体性、自己責任などの価値観が日本社会に押し付けられていきました。教育界でも「グローバル人材の育成」などと言って、主体的に行動し、自己主張ができる人材を育てようとしています。でも本当にそれでいいのでしょうか?日本人が長年、受け継いできたこの価値観を失ってもいいのでしょうか?私はちょっと違和感を持ちます。もちろん自分の意見や考えを言葉にして伝えること、議論をすることは大切ですが、「落としどころ」を見つける知恵も必要です。主体的に学び、行動していくことは大切ですが、周りと協調していく配慮も必要です。また、今世界を冷静に見渡すと、このグローバルスタンダードは行き詰ってきました。世界のいたるところで、自国の価値観、文化を取り戻そうという動きは様々な形で現れてきています。そしてもっと言うと、日本の伝統的な価値観が世界中で注目されています。私が訪問した発展途上国の多くでは、日本人の真面目さ、勤勉さ、正直さを尊敬の念を持って見くれました。「おもてなし」という言葉に代表される他人のことを気遣う優しい心が今、世界の人々を惹きつけています。ですから君たちには、是非、真面目で勤勉で礼儀正しく、人の気持ちを察することのできる優しい所商生でいてほしいと思います。それこそが君たちが「グローバル人材」に成長するための第一歩だと私は信じています。

 
 最後に日本人女性で初めて国連事務次長・軍縮担当上級代表に就任し、世界的に活躍している中満泉さんの言葉を紹介します。

「謙虚さや自己主張が苦手といった日本人の資質が国際舞台では足かせになるという考えを私は一蹴します。教育レベルの高さや勤勉さ、押しどころと引き際を心得たバランス感覚など、日本人であることは逆に強みになります。また、日本人は仕事を安心して任せられると思われていることも強みです。日本人は地道に努力して何でも一生懸命にやりますから信用されています。たとえば時間を守るとか、私たちの体に染みついているごく基本的なことが、国際社会で働くときには評価されるのです。」

 
 当たり前のことを当たり前にちゃんとやる、すなわち「凡事徹底」こそが「グローバル人材」になる第一歩かもしれません。

それでは2学期、行事が多く忙しい毎日になりますが、凡事徹底でがんばってください。


1学期終業式講話

                  歴史の重み

 今日で平成30年度1学期が終了します。皆さん、1学期はどうでしたか?満足できる時間を過ごしましたか?目標に向かって努力し、達成感を得ている人もいるでしょうし、そうでない人もいるでしょう。それぞれの成果と課題をしっかり見つめなおし、2学期に向かってください。特に成績で思いどおりにいかなかった人はしっかり反省し、この夏休みを過ごしてください。また、部活動を引退する3年生諸君は、部活動で学んだこと、経験を活かして、これからの進路実現に邁進してください。

 さて、今日は「歴史の重み」についてお話します。今年の夏の甲子園は100回記念大会です。7月7日の埼玉県大会の開会式で、埼玉県高野連の会長、所商の前校長の吉澤先生が「100年の歴史の中で、米騒動や戦争などで中止になったりして時代に翻弄される時もあった。しかし先人の努力で100回大会を迎えることができた。野球ができる幸せと『歴史の重み』を感じてプレーしてほしい。」と話されていました。調べてみると、大正7年には米騒動で中止、昭和17年から20年までは太平洋戦争のため4年間、甲子園は中断されました。確かに時代に翻弄されながらも先人の情熱と努力で、今年100回大会を迎えられたのだと思いました。所商も今年、50周年を迎えます。甲子園と同じように多くの先人、先輩方の情熱と努力で50年を迎えられたのだと思います。諸君も先輩の情熱と努力に感謝し、今この所商で学べる幸せと「歴史の重み」を感じてほしいと思います。また次の50年の歴史を積み上げていく一人ひとりであることを自覚してください。

 

 どんな行事や組織にも歴史があります。当然、国にも歴史があり、この日本という国にも長い歴史があり、私たちはその「重み」を感じなければなりません。諸君はSNSなどで、同時代に生きる人々との「横」のつながりに日々、夢中になっていると思います。もちろん、この同じ時代に生きる世界中の多くの人々と繋がっていくことはいいことです。しかし、私たちには、過去・現在・未来という時の「縦」の繋がりがあるわけです。よく考えてみると、そもそも私たちの命は、過去と繋がっている、つまり両親、祖父母、その両親と過去の人々の命があってこそ、私たちは今、ここに存在しているのです。そんな時間的な「縦」のつながりに思いを馳せることも大切でしょう。夏という季節は、我々日本人にとって、歴史を振り返るのに相応しい季節だと思います。8月6日の広島、9日の長崎への原爆投下、そして8月15日の終戦記念日と、先の太平洋戦争を思い返し、先人の体験した悲劇や苦労に思いをはせ、平和について考えていく機会を与えられる季節です。毎年、夏休み中には、先の戦争の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどが多くテレビなどで流されます。意識して関心をもって見てください。

  

 最後に私が最近読んだ本を一冊、紹介します。藤原ていという人が書いた「流れる星は生きている」という本です。この作品は、藤原ていさんが3人の幼い子をつれて満州から日本に引き揚げてきた時の実体験を綴った小説で、戦後直後ベストセラーになり、映画やドラマにもなりました。当時、満州の気象台の職員だった、ていさんの夫は、のちに作家になった新田次郎であり、3人の幼い子の一人、当時4歳だった次男は、「国家の品格」や「日本人の誇り」などを書いた数学者、藤原正彦さんです。終戦の日から満州を出発し、ソ連が占領した北朝鮮を南下し、38度線を越え、釜山に着き、そこから日本へ逃げ帰ってくる、およそ1年かけての壮絶な体験談です。途中で多くの仲間、一緒に逃げてきた多くの人々が死んでいき、藤原家の人々も何度も死にそうになります。この作品で感じるのは、極限状態にある人間のエゴと優しさが混在する姿。子どもを生かそうとする母親の執念、辛さのあまり自分の子を虐待死させてしまう母親。様々な人間の本性が描かれています。現代の私たちと共通する人間の本性あり、深く考えさせられる作品です。また、兵隊だけでなく、戦争とは関係のない市民が、こうやって戦争を乗り切り、命をつないできたという、まさに「歴史の重み」を感じさせる作品です。図書館に寄贈しますので、是非、読んでみてください。

  

それでは、9月3日に全員、元気な顔を見せてください。

 

所商PTAだより 第103号 あいさつ

             相互理解

 この度、第18代校長として着任いたしました鈴木啓修です。保護者の皆様には、日頃より本校の教育活動について、ご理解をいただき温かいご支援をいただいていることにまずは感謝申し上げたいと存じます。日々有難うございます。

 さて、私はこの3月末までの2年間、独立行政法人国際協力機構(JICA)に長期研修という形で出向しておりました。海外に目を向けない内向きな若者が増えてきていると言われる中(実際のところ青年海外協力隊の応募数は年々減少しています。)、少しでも国際協力人材を育成するため、学校や教育委員会と連携して国際理解教育、開発教育の推進をしていくことが私の主な仕事でした。教員になって32年、初めて学校という教育現場を離れ全くの別世界に身を置くことになり、戸惑うことも多かったのですが学びも多くありました。その1つに「学校の常識と学校外の常識は大きく違う」ということでした。JICAのオフィズで周りの人に「学校の先生は電子メールの返信が遅い。朝に送信したメールの返信が夕方になる。」とよく言われました。たしかにJICA職員はデスクワークですから電子メールでのやり取りが主で大変迅速です。しかし、教員は教室で授業をするのが仕事、デスクでメールをチェックするのは夕方になってしまうのは普通です。しかしデスクワークをしている社会人にしてみれば数時間以内に返信がないのは非常識なようです。怠けているのではないかと思われてはいけないので、私はJICA職員には学校の教員の働き方を一生懸命、説明するよう心がけました。このようなちょっとした文化、習慣の違いは、いくらでもあります。また、こうしたちょっとした違いがお互いの誤解を生む原因になるのかもしれません。

 保護者の皆様もきっと、「学校って、教員って私の常識と違う!」と思ったことがあるかもしれません。そんな時、遠慮せず学校に聞いてほしいと思います。お互いに言いたいことを言わず我慢してしますのが一番よくないと考えています。分からない事、理解できない事を率直に尋ね、話し合い、理解しあうことこそが、学校と保護者のよい関係づくりにとって、一番の方法であると私は信じております。

 学校教育は各ご家庭のご理解とご協力なくしては成り立ちません。是非、今後も学校と保護者が同じ方向を見つめ、子供たちのために、いい教育をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

1学期始業式講話


この度、新しい校長として着任した鈴木啓修と申します。どうぞよろしくお願いします。

 私は平成28年から29年度、つまりこの3月までの2年間、国際協力機構(JICA)という組織に出向していました。「青年海外協力隊」という言葉を聞いたことのある人はいますか? 39歳までの若者が2年間、発展途上国に行って、現地の人々と主に働き、自分の持つ技術や知識を伝え、その国の発展に協力するボランティア事業です。JICAがやっている事業では一番知られているものですが、JICAは他にもいろいろなことをやっています。皆さん、ODAって知っていますか?政府開発援助というものです。国の税金を使って発展途上国の援助をするものです。例えば、途上国にお金を貸す、有償資金協力(円借款)や、お金を返すのが難しい国には、お金を供与する無償資金協力、日本の専門家や技術者を途上国に派遣したり、途上国から日本に技術者や行政官を呼んで、研修をしたりする技術協力などがあります。私は、市民参加協力という分野で、おもに学校の先生と国際協力、国際理解教育を繋げる仕事をしていました。

今日は、そのJICAでの2年間の経験から得たことから2点、みなさんに伝えたいことを話します。

1点目は、「異質なもの、多様なものに心を開いて、興味を持ってほしい、そして理解してほしい」ということです。外国に行くと、日本の常識では、理解できないことにたくさん出会います。アフリカの多くの国で、芋虫やバッタを食べます。中東のヨルダンでは、ヤギの脳みそを食べます。この2年間で多くの途上国の学校に行きましたが、ほとんどのトイレには紙がありません。その代わりに大きなバケツに水が入っていて、それをヒシャクですくってお尻を洗います。日本人にはちょっと難しいです。ズボンがびしょびしょになってしまいます。私は、いつもホテルからトレットペーパーを持って、カバンに入れていました。お店にいくと、店員さんはスマホばかり見ていて接客しません。約束の時間に30分遅れても遅れたことになりません。日本人なら5分遅れてもイライラしますが、彼らは全く平気です。時がゆっくりと流れている感じです。それで、彼らは平和に暮らしています。幸せそうでよく笑います。幸せって何だろう、豊さってなんだろうと考えさせられました。このような日本と違った文化、習慣は日本と関係ないと思わないでください。大いに関係あります。その理由を話します。

 日本の社会の「内なるグローバル化」という言葉があります。今後、日本に多くの外国からの人々がやってきて、日本は多様な文化を持った人々が共生する社会になるということです。具体的な数字を挙げると、日本の生産年齢人口、働く人の数は、2010年に8,137万人だったものが、50年後の2060年には、なんと半分の4,418万人になります。でもこれは、そんな先の話でなく、今すでに起きていることです。この4月にいろいろな物が値上げになりました。納豆、牛丼、ビールなど。そのほとんどの原因は人手不足による人件費の高騰、物流費の高騰です。近い将来、日本の外から来る人々の力を借りないとこの社会は維持できなくなるのです。皆さんが社会に出て、会社の中心になって働く時には、外国人と一緒に働き、共に暮らしていくことが当たり前になるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ち、オープンな心で接し、理解しようとする態度を養ってほしいと思います。近い将来、世界中から集まる人々と共に、平和で豊かな多文化共生社会を築いていくのは、まさにみなさんなのです。

2点目は、資格取得や、技術をしっかり身に着けてほしいということです。先ほど、青年海外協力隊のお話をしましたが、実は応募する若者が年々、減っています。日本の若者が内向きになっているとよく言われますが、日本が安全でいい、テロとか危険がある外国には行きたくないと思う若者が増えていることは事実かもしれません。しかし、みなさんには是非、広い世界に出てほしいと願っています。世界の様々な場所へ行き、様々な人々と出会ってほしいと思っています。もし将来、青年海外協力隊などに参加し、世界の人々、特に途上国の人々の力になりたいと思った時、大事になるのは、みなさんが持っている技術や資格です。青年海外協力隊には、120以上の職種があります。例えば、看護師の資格があれば、途上国で看護の仕事の指導をします。教員免許があれば、学校にいって、現地の先生の指導をします。情報処理の資格があれば途上国で、コンピュータに関する技術指導ができます。スポーツで実績があれば、現地でスポーツ指導もできます。やはり、何をするにも技術、資格が大切です。そういう意味でも、この学校でしっかり勉強し、技術や資格を取得してください。

皆さんのような若者こそ、今、お話した異文化に対する柔軟な姿勢を持っていると信じています。期待しています。


第50回入学式式辞


式 辞

 

 若葉が萌える春、新しい緑が芽吹くこの佳き日に、PTA会長・坂田大作様、後援会会長・浦嶋健二様、同窓会会長・内藤和哉様をはじめ、多くのご来賓の皆様方、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、第50回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びと深く感謝申し上げます。 

 ただいま入学を許可いたしました239名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、みなさんを心から歓迎し、お祝いいたします。みなさんは自らの意志でこの所沢商業を選び、選抜を通り、本日、晴れて本校に入学することになりました。このことは小中学校の義務教育とは大きく違うところであり、

極めて重要な意味を持っています。自らの意思でこの学校の門をくぐってきたということを忘れず、充実した高校生活を築いていくよう努力してください。 

 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。入学する学校が決まるまで、祈るようなお気持ちで不安な日々を過ごされたことと存じます。本日、立派に成長されたわが子の晴れ姿をご覧になって、さぞかし頼もしく感じられ、安堵されていることでございましょう。心からお祝いとお喜びを申し上げます。

 さて、新入生のみなさん。いよいよ本日から3年間の高校生活が始まります。今、大切なことは、みなさんが新しく始まる高校生活に対して抱いている新鮮な気持ちをいつまでも忘れずに、全てのことに全力で取り組むことです。そのスタートとなる入学式にあたり、私から心掛けてほしいことを3点申し上げます。

 1つ目は、「大きな夢と高い志を持つ」ということです。この変化が激しく、予測のつかない時代を、みずからの力で切り拓き、夢をつかみ取るためには、みなさんひとり一人が学力をはじめ、しなやかな「生きる力」を身に付けなければなりません。大きな夢と高い志を持って、本校での三年間、未来のスペシャリストを目指して、精一杯努力してほしいと思います。自分が将来、「こうなりたい」という明確な理塑像を持ち、それに向けて努力すれば、資格取得や部活動で、さらにその先の進路実現においても大きな成果を得られることは、本校の多くの先輩方が証明しています。その原動力が「大きな夢と高い志」です。みなさんには十分な素質があります。一つ高いレベルへのチャレンジをしてください。

 2つ目は、「商業の専門科目はもちろん、普通科目にも全力で取り組む」ということです。みなさんは商業を学ぶために本校に入学しました。しかし、これからの社会で活躍するビジネス・パーソンになるためには、その基盤となる社会性や客観的なものの見方を養うと共に、さまざまな文化や学術について知識と教養を深めることが極めて大切です。高校で学ぶ内容は、これまでに比べ、広く深くなりますが、まじめに努力すれば、必ず自分の立てた目標に到達すると考えています。絶え間なく変化する社会の中で生きていくためには、商業の専門科目も普通科目もしっかりと学び、高い知性と幅広い教養を身に付けてほしいと思います。

 最後は、「多様な価値観を認める」ということです。グローバル社会、グローバル人材という言葉を聞いて「私には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかし、そうではありません。この日本の社会における「内なるグローバル化」は確実に進んでいます。現在、我が国には、約250万人の外国人が暮らしています。また、埼玉県内の外国人も増え続け、平成29年6月末で16万人、県の人口に占める割合は2.2%となり50人に1人は外国人です。今後、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックを契機に世界中から多くの人々が日本にやってきます。また急激に進む少子高齢化の影響もあり、この数は増え続けていくでしょう。みなさんが社会に出るころには、外国から来た人々と働き、共に暮らすということはあたりまえになるのです。ですからみなさんには、多様な文化、宗教、価値観に関心を持ち、オープンな心で接し、理解しようとする態度を養ってほしいと思います。近い将来、世界中から集まる人々と共に、平和で豊かな多文化共生社会を築いていくのはまさにみなさんなのです。

 以上、「大きな夢と高い志を持つ」、「専門科目も普通科目もしっかり勉強する」、「多様な価値観を認める」、この3点について心掛けてほしいと思います。

 最後に、保護者の皆様にお願い申し上げます。学校教育では、学校・家庭・地域の連携が重要です。特にご家庭の協力がなければ学校教育は成り立ちません。私たち教職員一同、「チーム所商」として一丸となって指導にあたる所存でございますが、各ご家庭におかれましても、本校の教育方針をよくご理解いただき、健康的な生活習慣や家庭学習の習慣等について、ご指導いただきますようお願いいたします。

 結びに、本年度は学校創立50周年の節目の年でございます。半世紀前、埼玉県下ではじめて「情報処理科」「貿易科」など、時代のニーズに合わせて開校し、本県商業教育のパイオニアとして今日まで発展してまいりました。その伝統校に入学した新入生のみなさんを心から歓迎すると共に、一人ひとりが充実した高校生活を送ることができますように念願し、式辞といたします。

                           平成30年4月9日

                       埼玉県立所沢商業高等学校長

                               鈴木 啓修


 

校長挨拶 ~ Fulfill Your Dreams at 所商!


       "Fulfill Your Dreams at 所商!"


  埼玉県立所沢商業高校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 「所商」は今年、創立51年目を迎える歴史と伝統のある地域に根ざした商業高校です。半世紀前、埼玉県で初めて、コンピュータや外国人講師による英会話の授業などを導入し、本県の商業教育のパイオニアとして発展してきました。現在は、国際流通科、ビジネス会計科、情報処理科の3学科からなり最新のコンピュータ機器でICT社会をリードする人材を育成しています。優秀な卒業生も1万2千人を超え、地元産業界のみならず、さまざまな世界で活躍していることは、所商の誇りであり、財産でもあります。

 ビジネスに関する知識・技術と高い教養を兼ね備え、持続可能な社会を担うビジネス・リーダーになるために、生徒は商業の専門科目のみならず英語や国語、数学などの普通教科にも全力で取り組んでいます。商業高校では珍しく、2人のALTが配置され、グローバルな感性を持ったビジネス人材の育成を目指しています。また、1年次には30人以下の少人数授業を展開し、基礎学力の向上を図っています。さらに各学科の特色を生かした資格の取得には、学校をあげて力を入れています。その資格を活用した大学進学や、伝統の強みを生かした就職など、多彩な進路先が100%保証されていることも所商の大きな魅力です。

 部活動では、3度の甲子園出場を誇る野球部をはじめ、17の運動部、12の文化部が日々活発に活動しています。

 恵まれた環境と熱心な教師陣、そして礼儀正しく元気な生徒が所商の自慢です。みなさんの夢の実現を目指して、勉強に資格取得に、そして部活動、学校行事に所商で青春を謳歌してみませんか。                   It's a great pleasure to have YOU on board!


               


校長 鈴木 啓修