厳しかった寒さが和らぎ、正門近くに並ぶ桜の膨らんだ芽にも春の訪れを感じる季節となりました。この今日の佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第52回卒業式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びと深く感謝申し上げます。ただいま卒業証書を授与した190名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
さて、振り返ると皆さんの高校生活は、新型コロナウイルスへの対応とともに過ごした三年間でした。三年前、入学式を何とか行ったものの翌日から臨時休校となり、皆さんは学校に通うことができませんでした。この先はどうなるのか、不安が大きかったことと思います。ようやく6月になって学校が再開したものの、分散登校となり半分の生徒しか学校に来られない日々が続きました。生徒の皆さんもわれわれ教職員も全く経験したことのないことばかりでした。その後も感染状況を見ながらの学校生活でした。この年は、遠足や体育祭、文化祭などあらゆる学校行事が中止となり、改めて学校行事の大切さを痛感した年でもありました。二年生では、活動を制限しながらでしたがようやく体育祭や文化祭などの行事を実施できるようになりました。修学旅行は、行先と宿泊数を変更して、12月に石川県へ一泊で行くことができました。三年生になってからは、概ね学校行事を実施できるようになりましたが、保護者や地域の皆様の来場を制限した状況は続きました。学級閉鎖も何度かありました。このような状況の中ではありましたが、それでも皆さんは、何とか進路活動に取り組み、それぞれ新しい進路先を見つけました。皆さんの頑張りには敬意を表したいと思います。この様々なことに耐えた3年間の思いを、今後の生活に生かし、ぜひ大きく羽ばたいていってほしいと思います。
それでは、今日は、卒業を迎える皆さんに2つお話ししたいと思います。一つは、「素直な気持ちをもってほしい」ということです。高校を卒業した皆さんが今後生活していくためには、素直な気持ちをもっていることが重要な要素の一つだと思います。日本の有名な家電メーカーの一つにパナソニックという会社がありますが、そのパナソニックの創業者「松下幸之助」さんは、素直な心の大切さを説いています。例えば、「過去の歴史を振り返ると、人間同士がしばしば争い合うようなことを繰り返してきている。このようなことは繰り返してはならない。和やかに幸せに暮らしていくためには、お互いが素直な心になるということがきわめて大切ではないか。お互いが素直な心になれば、「強く正しく聡明になる」と思う。」と述べています。このことは、われわれの日常生活など身近なところにも言えることだと思います。また、「素直な心を根底にもってお互いが生きていくところから、人それぞれに願い求めている真のよりよき共同生活も逐次実現し、お互い一人ひとりの幸せもしだいに高められていくのではないか」とも述べています。私は、われわれの日常生活についても、社会生活についても、素直な心をもつ、もとうとすることが、世の中が良くなっていくあるいは世の中を良くしていくことにつながる大切な要素であると思いました。
もう一つは、「力の出し惜しみをしない人になってほしい」ということです。これは、いつも私が伝えたいと思っていることの一つですが、これから皆さんがそれぞれの道を行く中で、今後様々なことに遭遇すると思います。そのときに、自分の力を出し惜しみして加減してことに当たっていると、そのうちに力の出し方が分からなくなり、力が出なくなってしまいます。能力があってもっとできるはずなのにいつも力を出し惜しみしているとそうなってしまい、それがその人の能力になってしまいます。逆に、いつも一生懸命力を出してことに当たっていくと、だんだんと力が付いてきてその人の能力は上がっていきます。可能性を秘めた皆さんですから、その可能性を最大限に引き出すためにもいつも力を出して対応していくことが皆さんの力をより高めることになり、より大きな仕事を成し遂げることにつながっていくと思います。これからの人生をより充実した豊かなものにするためにも、皆さんにはいつも精一杯物事に当たっていってほしいと思っています。
ここで保護者の皆様に、お子様の御卒業に対して心からお祝いを申し上げます。皆様には、三年間PTA会員として本校の教育活動に対し温かい御理解と御支援を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
終わりに、卒業生の皆さん、本日まで育てていただいた保護者やお世話になった皆様に感謝し、それぞれの世界に旅立ってください。卒業生の皆さんの前途を祝し、皆さんの御健闘と御活躍を心から祈念いたしまして、式辞といたします。
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