【校長先生からのメッセージ】5月1日(金)

校長メッセージ

校長先生の部屋へようこそ!

令和3年度入学式式辞

 新緑が輝きを増し、春の香りが満ち溢れるすがすがしい今日の佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、ここに埼玉県立所沢商業高等学校第53回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びと深く感謝申し上げます。

 ただいま、本校への入学を許可いたしました211名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、自らの意思でこの所沢商業高等学校を選択し、本日、晴れて本校に入学することになりました。教職員一同、皆さんを心から歓迎し、お祝いを申し上げます。本校は、昭和44年に開校され、三年前に創立五十周年を迎えた伝統ある高校です。また、学校の名前にあるとおり、商業教育に重点を置いて取り組む高校です。そのことを念頭において、自らの意思でこの学校の門をくぐってきたということを忘れずに充実した高校生活を送れるよう努力してほしいと思います。

 保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これまで、お子様を育ててこられました皆様の御尽力に敬意を表します。本日、お子様の晴れ姿を御覧になり、頼もしく感じられたことと思います。心からお祝いとお喜びを申し上げます。また、御臨席に際しまして、新型コロナウイルス感染症防止対策に御協力をいただきましたことに、お礼申し上げます。

 さて、新入生のみなさん、いよいよ今日から三年間の高校生活が始まります。今、皆さんが抱いている高校生活に対する新鮮な気持ちをいつまでも忘れないであらゆることに取り組んでいってほしいと思います。そこで、私から二つお話しします。

 一つ目は、「基礎学力と専門性をしっかり身に付ける」ことです。本校は、商業教育を担う専門高校ですので、職業人として必要とされる力を身に付けた人材、つまり将来のスペシャリストの育成という目的があります。そのためには、まずは基礎学力をしっかりと身に付けることが必要です。専門高校といっても国語や数学、英語など、いわゆる普通の教科の学習もあります。これをおろそかにしては、専門教科を学習してもしっかりと身に付かなくなってしまいます。普通教科を土台として、その上に専門性を積み重ねていくのだと考えてください。将来のスペシャリストになるためには、本校で学ぶ内容はどれも必要なものばかりですので、それらをしっかりと学び、本校で職業人としての基礎を身に付け、社会で活躍できる人材になってほしいと思います。

 二つ目は、「人間性を高める」ことです。人間性が豊かな人とは、他の人への気遣いができ、思いやりがあるような人で、周囲との人間関係がうまくつくれます。そうではなく、他の人への気遣いができなかったり、自己中心的だったりすると周囲の人たちとの人間関係がうまくつくれないことは分かると思います。人間性を高めるためには、どうしたらよいでしょうか。学習はもちろんのこと、部活動や学校行事などにも前向きに参加していくことだと思います。それにより、自然と人間性が磨かれていきます。これまでの自分を振り返り、少しでも人間性を高めていくにはどうすればよいのか、考えて生活していってほしいと思います。また、SNSの使い方などにも十分注意し、人間性を高めることによって、新しい仲間たちと充実した生活を送れるようしていってください。人間性を高めることも職業人として必要な資質の一つであることは言うまでもありません。

 次に、保護者の皆様にお願い申し上げます。本校において、生徒一人一人が高校三年間を有意義に過ごし、進路実現を果たすために教職員一同力を尽くしてまいりますが、学校だけでお子様の健やかな成長を達成することは困難でございます。御家庭との連携、協力が必要なことは申し上げるまでもございません。御家庭と学校が両輪となり、お子様の成長を支援してまいりたいと存じますので、各御家庭におかれましても、本校の教育方針を御理解いただき、基本的な生活習慣の確立や家庭学習の定着などについて、御指導くださいますようお願いいたします。

 結びに、新入生の皆さん一人一人が充実した高校生活を送れるとともに、健やかに成長できますよう祈念し、式辞といたします。

                         令和3年4月8日 埼玉県立所沢商業高等学校長 木村郁文

令和3年度第1学期始業式講話

 みなさん、おはようございます。新年度を迎え、いよいよ一学期が始まりました。新3年生の皆さんは最上級生になりました。進路を決める年です。就職するにしても進学するにしてもしっかりと自分の進路を見極めて、ぜひともこの高校生活最後の一年間を悔いのないように過ごしてほしいと思います。新2年生の皆さんには後輩ができ、学校の中心となって活躍する年です。勉強はもちろんのこと部活動や学校行事など様々な活動を経験して、力を蓄え3年生への準備をしてほしいと思います。これまで、たくさんの卒業生を輩出してきた所沢商業高校の50年を超える伝統を受け継ぎ、誇りをもって精進していってもらえればと思います。

 さて、生徒の皆さんにとって、昨年度の一年間はどのような一年間だったでしょうか。新型コロナウイルス感染症防止対策により昨年の3月から急に臨時休校になったまま4月が始まりました。生徒の皆さんはもちろんのこと、先生方も戸惑いながら様々な対応にあたってきました。普段からマスクを着用することやアルコール消毒が当たり前になり、食事をするときは会話を控えなければならなかったり、外出を控えなければならなかったり、ソーシャルディスタンスで隣の人との距離をとるようになったり、大勢での集まりがしにくくなったり日常の生活の仕方の急激な変更を余儀なくされました。常識が変わったのです。10年前の震災の時にもとんでもないことが起きたと思いましたが、今度は社会の常識が変わるほどの変化が、生活の仕方を変えなければならないほどの変化が社会に起きたのです。

 では、なぜ新型コロナウイルス感染症に対してどうしてこのような対応をしなければならないのでしょうか。改めて確認しますと、それは、今のところ予防ができないからだと言われています。どういうことかと言うと、一番の問題は、感染したにもかかわらず、いわゆる無症状の期間があることと、感染力の時期の問題ということのようです。通常、新型コロナウイルス感染症は、感染してから4~6日で発症することが多いようですが、無症状のままの人もいます。問題なのはいつから感染力があるかです。この感染症は、インフルエンザなどとは異なり、発症する2日前から人にうつす可能性があるそうです。また、無症状の人からも感染するようですので、防ぎようがないということです。そのため、すべての人が新型コロナウイルス感染者と考え、対応しなければいけないということです。さらに、重症化する場合があることや、インフルエンザなどと比べ致死率が高いこともあるようです。このように対策が取りにくいことから、生活様式を変えなければならないような様々な対応をするようになったのです。

 皆さんは、今起こっているこのような社会の変化に対応できていますでしょうか。また、withコロナとも言われていますが、この先、どのような社会になっていくと考えますか。あるいは、どのような社会にしていかなければならないと考えますか。皆さんは、近い将来社会に出て、これからの社会をつくっていく人たちです。今身の周りに起こっていること、このことをよく考えながら自分たちの進路についても考えていってほしいと思います。また、この先さらに思いつかないような出来事が起こるかもしれません。それでも、たくましく生きていける強さ、柔軟に対応できる柔軟さ、を身に付けていってほしいと思います。そのためには何をしなければならないのでしょうか。何か特別なことをしなければならない、ということではありません。普段からの学校の勉強、部活動、学校行事など、今、しなければならない当たり前のことにどれだけ真剣に取り組むか、結局そういうことが人間をつくっていく、人間を成長させていく基本であると考えます。何か特別なことができなければそういう人間になれないということは全くありません。

 まもなく授業が始まります。まずは、新学期を迎えたということで、気持ちも新たに勉強に向かうところから学校生活に取り組んでいってください。皆さんの元気な姿が見られることを期待しています。

令和2年度3学期終業式校長講話

                         思いやりある人に

皆さん、おはようございます。

 今日で令和2年度が終わります。この1年を振り返ってみると、本当に我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月から約3ヵ月も続いた臨時休業。1年生の皆さんにとっては、入学式に出席して以来、約2ヵ月学校が始まらず、高校生になった自覚や喜びも感じられないまま6月を迎え、突然高校生活が始まったという感覚だったでしょう。高校生としての心の準備もままならなかったと思います。その後の学校生活も我慢と不自由の連続でした。文化祭や体育祭も中止、部活動もかなり制限されました。そして何と言っても修学旅行の中止。2年生の皆さんは、本当に悔しい思いをしたと思います。そんなこれまで当たり前にできていたことができなかった制約と我慢の1年が今日で終わります。学校行事の形も変わりました。放送での始業式や終業式もすっかり定着してしまいました。

 この1年間、校長として始業式、終業式でいろいろ話をしてきました。ちょっと振り返ってみたいと思います。1学期の終業式には「コロナに打ち勝て」という話をしました。コロナのせいにしないで今やるべきことをしっかりやって、将来「コロナのおかげで今の自分がある」と言えるようにしてほしいと話しました。

  2学期の始業式には「ありがとう」という言葉の力、大切さについて話しました。終業式には「高校生らしさ」とは何か、「真面目さと素直さ」ではないかという話をしました。

 そして3学期の始業式では、アフターコロナの世界、エネルギーの大転換を図り脱炭素社会を目指す「グリーン・リカバリー」についてお話ししました。

 そして今日は今年度、最後の校長講話です。とってもシンプルで身近なこと、だけどとても大切なことをお話したいと思います。それは、「思いやりを持つ」ということです。思いやりのある優しい人間になってほしいということです。

 私は思いやりを持って接する対象は3つあると思っています。1つ目は「自分」2つ目は「周りの人」そして3つめは「社会」です。

 まずは自分。自分に対して思いやりを持って接してください。疲れている時、心が苦しい時、辛い時、無理しないでください。思いやりをもって自分の心と体を見つめ、そして対話をしてください。時には心と体を休めてほしいと思います。また何かいやなことがあった時、諦めたり自暴自棄になるのではなく、心を鎮め静かに1度立ち止まってください。そして丁寧に冷静にそのことに対処してほしいと思います。怒りや諦めは決して皆さんの生活を豊かにするものではありません。

 次に周りの人。悩んだり悲しんでいる人がいたら、そっと寄り添ってください。話を聞いてあげてください。一緒に悲しんであげてください。家族の誰かが忙しそうにしていたら何かできることを見つけて手伝ってください。白杖をついて歩いている人を見かけたら勇気を持って声をかけてください。皆さんが思いやりを持って笑顔でいれば周りの人も笑顔になります。そして、周りの人の心が穏やかになれば皆さんの心も穏やかになります。

 そして最後は社会。社会に思いやりを持って行動していますか。ゴミの分別をちゃんとやっていますか?電気や水を無駄に使っていませんか?献血をしたことがありますか?何かボランティア活動はしていますか?若い皆さんには思いやりの心を持てば社会のために今できることがたくさんあります。

 自分に、周りの人に、そして社会に思いやりを持つ。是非、心に留めて実践してください。もう少し続くコロナ禍の世の中には特に大切だと思います。そしてそのことが、みなさんの生活、人生を豊かで楽しいものにしてくれます。思いやりのある優しい人になってください。

 最後に4月はもうすぐです。4月になると2年生は最上級生、1年生は学校の中心的存在である2年生になります。そしていよいよ後輩が入学してきます。新年度の準備をしっかりしてください。今自分ができること、しなければならないことをコツコツと実行してください。もうしばらく我慢の日々が続くと思いますが、正しいやり方で行えば少しずつやれることが増えていくと思います。もし状況が許せば始業式は、体育館にみんなで集まれればと思います。希望を持って新年度を迎えてください。4月8日、元気に登校してください。

 

 

 

第50回卒業証書授与式校長式辞

                                                                                      式  辞

 只今、卒業証書を授与された224名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんにとって、高校生活最後の1年は、我慢することの多い大変な1年だったと思います。昨年3月からの約3ヶ月にもおよぶ臨時休業。希望をもって締めくくりの1年を迎えようと張り切っていたみなさんにとって、本当に辛いスタートだったと思います。それまで頑張ってきた部活動の集大成である最後の大会やコンクールも多くが中止になりました。また文化祭、体育祭など、仲間との最後の思い出づくりの場も奪われてしまいました。そして、それぞれの進路を決める活動についても少なからず影響があったと思います。もしかしたらコロナ禍の影響で、家庭においても何か辛い思いをした人もいるかもしれません。しかしそうした全ての事を乗り越えて、みなさんは今日の日を迎えることができました。改めて、心からお祝い申し上げます。

 卒業は、人生にとって大きな節目であり、新しい世界へ羽ばたく出発点であります。この輝かしい門出に当たり、私から二つのことをお話したいと思います

 1つ目は「意思決定プロセスへの参加」ということです。この1年コロナ禍の世界において、私たちの心を曇らせたことがあります。それは民主主義への攻撃です。香港では国家安全維持法が施行され、政府に異を唱える議員や活動家が次々と逮捕され、現在も香港の人々から自由や人権が日に日に奪われています。また2月には、ミャンマーでクーデターが発生しました。この10年、目覚ましい経済発展を遂げてきた民主的な政権が再び軍隊に乗っ取られてしまいました。そして1月6日のアメリカ連邦議事堂への乱入事件。世界の民主主義をリードしてきたアメリカ合衆国のまさしく民主主義の象徴である連邦議事堂を破壊し、乱入する暴徒の姿に誰もが目を疑いました。民主主義の脆さを目の当たりにした瞬間でした。このようにこの1年、世界の各地で民主主義が危機に陥りました。 

 では民主主義が脅かされる時、つまり政治や社会が、おかしな方向に進もうとしている時また進んでいると感じた時、みなさんはどうすればいいのか。それこそが「意思決定のプロセスに参加する」ことです。自らの意志を社会に示し、物事を決めるプロセスに参加することです。自分の意見を言葉にし、間違っていることには間違っているとはっきりと伝える。そして正しいと信じることを訴えていく。そうすることで、意思決定のプロセスに参加し、これからの民主的な社会を創り上げていく。それは皆さん一人ひとりの責任なのです。選挙で1票を投じること、つまり選挙権を行使することは勿論ですが、しかしそればかりではありません。平和的なデモに参加する、SNSで意見を発信する、アンケートに答える、会議で発言するなど自分の意志を示す方法はいくらでもあります。是非みなさんには、責任のある大人として民主的な社会の「守り手」になってほしいと切に願っています。

 2つ目は「所商で出会った友人を大切にしてほしい」ということです。コロナ禍はしばらく続くでしょう。しばらくは人との接触を避ける生活、会議や授業はオンラインで行われ、人との繋がりや親睦を深める機会がなかなか持てないでしょう。そうした生活の中で、もしかしたら寂しさや孤独を感じてしまうかもしれません。そんな時、大きな力となるのが、所商で出会った友人です。3年間、共に生活し育んだ友情は、たとえ皆さんがそれぞれ違う道に進むとしても変わることはありません。寂しい時、不安な時、遠慮することなく連絡を取り、お互いを励まし合い、助け合ってほしいと思います。所商で出会った友人は間違いなく、みなさんにとって一生の宝物です。大切にしてください。

 最後になりましたが、保護者、ご家族の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この3年間で立派に成長されたお子様の晴れ姿を目にされ、喜びもひとしおのことと存じます。

皆様には入学以来、本校の教育方針をご理解いただきまして、終始、温かいご支援とご協力を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

 結びに本日、このように第50回卒業証書授与式を保護者の皆様と共に挙行できましたことに感謝すると共に、224名の卒業生のみなさんの輝かしい前途を祝し、今後の限りないご活躍を心から祈念いたしまして式辞といたします。

 

   令和3年3月12日

   埼玉県立所沢商業高等学校長

        鈴 木 啓 修

 

第3学期始業式校長講話

                      「グリーン・リカバリー」

新年明けましておめでとうございます。冬休みはどうでしたか?充実した時間を過ごすことができましたか?今回は例年とちがった年末年始だった人も多いと思います。またいろいろと我慢をしなければならないこともあったと思います。しかしまずは大きな事故もなく、こうして3学期が迎えられることを大変嬉しく思います。

 新型コロナについては、現状は大変厳しい状況にあります。全国的にも感染者の数は増えていますが、特に私たちが住む1都3県の状況は大変深刻です。医療体制もひっ迫しており、皆さんも知っているとおり、昨日1都3県に対して「緊急事態宣言」が出されました。今回は学校の臨時休業はありませんが、学校生活における感染防止対策について、教育委員会から細かい指示が出ています。のちほど担任の先生や部活の顧問の先生からお話があると思います。指示をしっかり守って生活してください。

 さて、皆さんにとって勿論目の前の状況を正確に把握しつつ、正しい日々の生活を送ることは大切ですが、そればかりにとらわれていると心が疲れてしまいます。皆さんのような若い人々にはもっと先、コロナが収束した後の世界について思いを巡らしてほしいと思います。コロナは必ず収束します。治療の方法も以前に比べてわかってきているしワクチンも開発されました。このワクチンが普及し、多くの人々に行き渡れば、いずれコロナは収束します。コロナウイルスがこの地球上から消え去ることはないでしょう。しかし少なくとも社会が、そして人々が新型コロナをインフルエンザと同じような病気と捉えるようになるでしょう。その時がコロナの収束ということです。

 コロナ後の社会をどう作っていけばいいのか。新型コロナウイルス感染の世界的な拡大という一見マイナスな現象を、どうプラスに変えていけばいいのか。勿論すでに世界で180万人以上の人が亡くなっている現状を見れば、人類史上大変な惨事であることは事実です。しかしアフターコロナを生きていく若い皆さんには、是非「長い視点と広い視野」を持って生きていってほしいと思います。「長い視点と広い視野」を持ってコロナ後の社会をどう作っていけばいいのか考えてほしいのです。その一つのヒントとなるのが、「グリーン・リカバリー」です。

 実はコロナの影響で経済活動がストップしたおかげで、二酸化炭素の排出が削減されました。前の年に比べて17%ぐらい削減されたという報告が昨年の4月に出ています。さらに1年間でみると7%から8%ぐらいの削減になるのではないかと言われています。年間7~8%のCO2の排出削減がどれぐらいすごいかといえば、2009年のリーマンショックの時のピークでも2%も削減しなかった。それと比べると7~8%の削減というのがいかに大きいかが分かります。コロナ禍は環境にとっては大きなプラスの面があったのです。新聞やテレビで「大気汚染が深刻なインドで数十年ぶりにヒマラヤが見えた」とか「イタリアのベネチアで緑色に濁っていた運河の水が透明になった」といったニュースをみなさんも目にしたことがあると思います。

 ではコロナが収束した後どうするのか。コロナが終わったから、とにかく経済を回復させなくちゃいけない。環境を気にしている場合じゃない、とにかく経済を回すのだ!となってしまうのか。それではまずいわけです。せっかく減ったCO2の排出が、リバウンドでもっと増えてしまうということになります。それでは元も子もない。

 そこで重要な考え方が「グリーン・リカバリー」です。時間がないのであまり詳しくはお話できませんが、簡単に言うとアフターコロナの復興において、現在の社会や経済システムを持続可能なものへ変えていく。単にコロナ前の状況に戻るのではなく、より良い復興に向けて経済と環境問題への対策と結び付けるということです。

 また大切なことは、「社会のアップデート」という考え方です。温暖化対策って「がまん」だと思っている人がまだまだ多い。夏の暑い日にエアコンを止めるとか、設定温度を上げて、汗をダラダラ流しながら地球のためだと言っても長続きしません。今回のコロナ禍で学んだことは、「がまん」は長続きしないということです。「社会のアップデート」とは、例えばエネルギーシステムなどの変換です。つまり石油、石炭、天然ガスでエネルギーを作るのをやめて、太陽光とか風力とかで作って、バッテリーなどもうまく活用して社会にエネルギーを供給できるようにする。そういう新しいエネルギー文明に移行すること。また車や飛行機に乗って移動しなくても、遠くにいる人と会議ができる。話をすることができる。それが「社会のアップデート」ということです。もうすでに今回のコロナ禍で、遠くにいる人と会議をすることが当たり前になりました。

 世界はこれから、そういった方向に進んでいくのは確実です。アメリカも政権が変わり「グリーン・リカバリー」に大きく舵を切るでしょう。ヨーロッパは、すでに進んでいます。日本政府もようやく、昨年の10月に2050年までに脱炭素化社会の実現を目指すと宣言しました。脱炭素社会への方向は今後かならず加速していきます。

 それでは、今日からみなさんは何ができるか。高校生の皆さんは大きなことを考えなくてもいい。無駄にエネルギー使わないとかリサイクルをちゃんとするなど、身近にやれる環境に優しいことから始めてください。でも一番大切なことは、今この「グリーン・リカバリー」という言葉を覚えて意識することです。なぜなら若い皆さんが、これからの世の中の方向性をしっかり理解し意識するということは、とても大切だと私は思うからです。そして自分なりにさらに勉強してみてください。これからの社会を担っていく皆さんの高い意識に期待したいと思います。皆さんが社会に出て、働き盛りの20年後、ガソリンで走る車がこの世からなくなっていることに驚かないよう今からしっかり意識して勉強してほしいと思います。

 では、今日から始まる3学期、いろいろな不便や我慢の状況が続くと思いますが、「長い視点と広い視野」を持って、アフターコロナを見据えて日々頑張ってほしいと思います。

 

 

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